カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

道久製麺所

2012年01月20日 | 香川
「無言の、メッセージ。」

器と箸と、薬味を持って訪れなければならない、そう聞いてはいたものの、
実際のところ、薬味の持参が必須というわけではなかった、

そう感じるほどに、そのうどんからは漲る魅力が滲み出している。

噛み応えのある塩の風味の効いた艶のあるそのうどんは、
その場、その時でしか味わうことの出来ない代物である。

玉売りが基本の製麺所である、
それがゆえに食事処としての用意がまったくないその事実というのは、
実は、表向き、建前の言い訳にしか過ぎず、

その本心というのは、己の責任において、薬味なしでこのうどんを一度味わってみて欲しい、
そんな道久製麺所からの無言のメッセージであるかのようだ。

物理法則に基づくエントロピーの増大云々を論ずるまでもなく、すべての物質は刻一刻と変化し、
それを感じ、それを測る人の認識、そしてその記憶でさえも、同様に刻一刻と移ろい行く。

その美味しさを自分がその時どう感じたのか、
それはその時、その瞬間、その人にしかわからないことであって、

その記憶を頼りにその日の夜に思ったことと今思うことも同じではない、

万物はもちろんのこと、心象風景さえも、諸行無常は網羅する。

同じ人が同じ場所で作ったうどんであったとしても、時間の経過は刻々と変質をもたらし、
その時とその日の夜、そして次の日ともなれば、それはまったくの別物と化す。

その変化のもたらす何が良くて何が悪いと嘆いても、
それは非力な人間存在の無駄な足掻きでしかない。

本当にそれを求める気持ちがあるのならば、そのチャンスの存在する処へと赴き、
自分の足でその場に立たなければ、貴重な瞬間を得る望みなど到底叶わない。

今すぐにとは言わずとも、心の中で思い描き、それを常日頃、思い残しておけばよい。
それは、言い換えれば希望である。

道久製麺所うどん / 詫間駅
昼総合点★★★★★ 5.0