カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

お好み焼きハウス さんすい

2012年01月11日 | 京都
「さあ、宝探しを始めましょうか。」

お好み焼きというものが美しく見える瞬間があるとしたら、それはやはり、鉄板で焼く前、しかも、器の中で混ぜてしまう前、そこにならば、幾らかの華やかさを見て取ることも、出来なくはないように、思わないこともない。
だが、それとて取り立てて食欲をそそるという感覚ではなく、ただ、見栄えとして、生野菜や生卵の瑞々しさ、天粕のほっこりした風情があるというだけのことで、当然のこと、そのままの状態で食べる訳ではないのだから、ある意味、食欲とは関係のない美しさなのかも知れない、その在り様とは。

勿論、焼き上がってしまったお好み焼きに、外見的な美しさなど在る訳もなく、せめてもの彩りにと、マヨネーズで幾何学模様を描く御店もあるにせよ、そんなものは気休めでしかない、どってりとした、鈍臭いその外観、だがしかし、そこにこそ、食欲をそそる風情というものが、厳然として存在する。
そう、つまり、見栄えを気にしたお好み焼きなど、根本的に何かを勘違いしているとしか言い様はなく、お好み焼きなど、旨いかどうか、ただひたすらそれが全てなのである。

と、当たり前の話はさて置き、この御店のお好み焼きは、テイク・アウトのみであるので、焼く前がどうのという話は、何の関係もございません、実は。
とは言え、こちらの御店、随分以前のことではありますが、普通にそこそこの店舗を構えておられ、深夜までの営業であった為、学生の頃は本当に重宝いたしました記憶がございます。

で、まぁ、今更それもどうでもいいことなんですが、特筆すべきはそのボリュームで、その直径、そして厚みに関しては、以前通りのゴリッパな雄姿、フライパンを持って伺いますというレビューがあるのも頷ける、そんな風情のお好み焼きは、やはり、全く、見栄えはいたしません。

しかし、お好み焼きとしての本分、その旨さはナカナカのもので、個人的に甚く気に入っておるのは、広島焼きのスジ入りであります。
そこそこの味で、ただ大きいだけ、それだけのことならば、こんなにも長くこの御店に通い続ける理由には、おおよそならなかったこととは思いますが、個人的にこの御店に惹かれる最も大きな理由というのは、実は、そのスジの味付けの絶妙さにあるのです、細かい話ではあるのですが。

甘くもなく辛くもない、その絶妙の風味が、この巨大なお好み焼きの中に、そこそこの数、宝石の原石のように隠されていると、そういう訳です。
勿論、この大きさですから、華奢なお店のお姉さんが、満遍なく攪拌し、ひっくり返し、焼き上げるというのは非常に困難で、各具材が、各箇所に固まって入っている、そのような場合も多々あり、一応ひとつの料理の体裁ではあるものの、結局は持ち帰り、食べながら分解しつつ、バランスの良い味わいになるよう心掛けながら、大概は2人掛かりで、2日掛かりで戴く訳です。
山盛りのキャベツを頬張りながら、その風味のバランスを取る為に、何処に在るのか見当も付かないスジを、必死になって掘り返す訳です。
一人が多く見つければ、それを二人で分け合い、しかしそれが小さな欠片であれば、見つからなかったフリをして、素知らぬ顔で他の具材と一緒に食べてしまい、また掘削作業を続ける訳です。

まぁ、実際のところ、スジ焼きというメニューもある訳で、それだけ買って帰ればいいようなものではありますが、やはり、それだけ食べても、何か違う、何処にあるのかわからない、そんな状態から探し出した末に戴くスジと、安易に手に入れ、しかもそれだけ単体で戴くスジとでは、その有難味に雲泥の差があるのは、当然のことなのです。


お好み焼きハウス さんすいお好み焼き / 桂駅上桂駅
夜総合点★★★★ 4.0昼総合点★★★★ 4.0