北朝鮮がリビアで起こった事態に注目するのは、カダフィ政権が金正日(キム・ジョンイル)政権とあまりにもよく似ているからだ。独裁者個人の残虐な性格や、自分たちだけが生き残るために権力や資産を独占している点、自分たちの手先にはあらゆるメリットを与えている点なども似ている。チュニジアやエジプトで独裁者が追放されたとき、北朝鮮はこれといった反応を示さなかったが、リビアで内戦が激化するや、自分たちのことのように事態の成り行きを見守ってきた。反乱軍が守勢に立たされるや「革命に対する反逆者が立ち上がっても、結局は死が待つだけだ」と自信をのぞかせたが、フランスやイギリスなど国際社会の介入によってカダフィ大佐が追われるようになると口をつぐんだ。リビアで内戦が発生して以降、北朝鮮の体制を守る国家安全保衛部は警戒態勢に入り、今年6月からは平壌市内の全ての大学に無期限の休校令を発令した。
カダフィ大佐の死は、金総書記に夜眠れないほどの衝撃を与えたが、北朝鮮の住民たちには「暴力を背景にした抑圧的な政権は必ず滅びる」という教訓を与えた。しかし、北朝鮮で民主化運動が起こるというのは、岩に花が咲くのと同じぐらい困難なことだ。それは、ほかの独裁国家では例を見ないほどの暴力的かつ抑圧的な政権が完璧な形で確立し、いまだに多くの人々が目覚めていないためだ。さらに、隣の中国が北朝鮮の崩壊を防ぐため、脱北者たちを難民として認定しないという重大な事実も挙げられる。
北朝鮮で民主化運動を可能にするためには、次の三つの条件がある。一つ目は、暴力的・抑圧的な体制を緩和するため、強制収容所を廃止する必要があるという点。二つ目は、北朝鮮内部に、より多くの情報が流入しなくてはならないという点。そして最も重要なこととして、民主化勢力が政権と戦って負けた場合、逃げ道を作る必要がある点が挙げられる。そのためには、中国政府が認めようとしない脱北者に対する難民認定の問題を解決すべきで、これができなければ、北朝鮮での民主化運動は非常に困難だ。
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