韓国・延坪島 緊張漂う南北境界、豊かな海で銃撃戦の過去
ワタリガニ漁の最盛期を迎えた普段は静かな漁村に、時ならぬ緊張感が走っている。黄海の南北境界である北方限界線(NLL)一帯。核実験を強行した北朝鮮が、制裁への対抗措置として武力行使の可能性をちらつかせ、周辺海域を航行する船舶の安全を保証しないと言い始めたからだ。延坪島(ヨンピョンド)周辺で99年と02年に起きた南北艦艇の交戦は、いずれもカニ漁真っ盛りのこの時期だった。
延坪島は人口約1660人。ほかに韓国軍兵士約600人がいる。島周辺はワタリガニの好漁場で、約860世帯のうち半数が漁業に従事する。
韓国西岸の仁川港からは約130キロ離れ、高速船で2時間。一方、北朝鮮黄海南道の海岸まで約10キロ、NLLまでは約3キロしか離れていない。北朝鮮側で演習が始まると「ドーン」という砲撃音が聞こえてくるという。北朝鮮の「挑発」に備え、米韓連合軍司令部は境界線付近の監視体制を強化している。
過去2回の衝突は、いずれも6月だった。カニの産卵期を控え漁の最盛期にあたるからだ。カニを追う北朝鮮の漁船と共に警備艇も南下してNLLを越え、韓国軍の警備艇と銃撃戦に発展した。
島の役所によると29日現在、北朝鮮の漁船の姿は見えない。一方、NLL付近ではこの日、中国漁船97隻が操業中で「いつもより若干少ない程度で、撤収はしていない」(島の役所)という。
島民は中国漁船に警戒の目を向ける。カニの漁獲量は豊漁だった昨年に比べ、4月は約6割にとどまった。中国漁船の乱獲が原因とみられている。地元の漁業関係者の間には「北朝鮮が中国漁船に金をもらい漁をさせている」との見方もささやかれる。
韓国が大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加を表明したのを受け、北朝鮮は27日、朝鮮戦争の休戦協定の「拘束は受けない」と主張。延坪島などの法的地位や、周辺海域での一般船舶の安全も保証できないと強調した。韓国メディアによると、北朝鮮沿岸や近くの島には、延坪島を射程にとらえる海岸砲も多数配備されているという。
ある漁船主(52)は「海上は平穏で漁には出ているが、報道を見ていると不安にかられる」と語った。
◇北方限界線(NLL)
朝鮮戦争(1950~53年)の休戦協定で定められた軍事境界線は、陸上に限定されていたため、西側の黄海上に国連軍側が艦艇の行動北限としてNLLを設定した。北朝鮮はNLLを問題視しており、黄海で銃撃戦が起きた後の99年9月、「NLLは無効だ」として、NLLの南側に独自に「海上軍事境界線」を設定。ただ、休戦協定で国連軍側の支配地区と規定された延坪島など5島の支配権は、事実上認めてきた。
ワタリガニ漁の最盛期を迎えた普段は静かな漁村に、時ならぬ緊張感が走っている。黄海の南北境界である北方限界線(NLL)一帯。核実験を強行した北朝鮮が、制裁への対抗措置として武力行使の可能性をちらつかせ、周辺海域を航行する船舶の安全を保証しないと言い始めたからだ。延坪島(ヨンピョンド)周辺で99年と02年に起きた南北艦艇の交戦は、いずれもカニ漁真っ盛りのこの時期だった。
延坪島は人口約1660人。ほかに韓国軍兵士約600人がいる。島周辺はワタリガニの好漁場で、約860世帯のうち半数が漁業に従事する。
韓国西岸の仁川港からは約130キロ離れ、高速船で2時間。一方、北朝鮮黄海南道の海岸まで約10キロ、NLLまでは約3キロしか離れていない。北朝鮮側で演習が始まると「ドーン」という砲撃音が聞こえてくるという。北朝鮮の「挑発」に備え、米韓連合軍司令部は境界線付近の監視体制を強化している。
過去2回の衝突は、いずれも6月だった。カニの産卵期を控え漁の最盛期にあたるからだ。カニを追う北朝鮮の漁船と共に警備艇も南下してNLLを越え、韓国軍の警備艇と銃撃戦に発展した。
島の役所によると29日現在、北朝鮮の漁船の姿は見えない。一方、NLL付近ではこの日、中国漁船97隻が操業中で「いつもより若干少ない程度で、撤収はしていない」(島の役所)という。
島民は中国漁船に警戒の目を向ける。カニの漁獲量は豊漁だった昨年に比べ、4月は約6割にとどまった。中国漁船の乱獲が原因とみられている。地元の漁業関係者の間には「北朝鮮が中国漁船に金をもらい漁をさせている」との見方もささやかれる。
韓国が大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加を表明したのを受け、北朝鮮は27日、朝鮮戦争の休戦協定の「拘束は受けない」と主張。延坪島などの法的地位や、周辺海域での一般船舶の安全も保証できないと強調した。韓国メディアによると、北朝鮮沿岸や近くの島には、延坪島を射程にとらえる海岸砲も多数配備されているという。
ある漁船主(52)は「海上は平穏で漁には出ているが、報道を見ていると不安にかられる」と語った。
◇北方限界線(NLL)
朝鮮戦争(1950~53年)の休戦協定で定められた軍事境界線は、陸上に限定されていたため、西側の黄海上に国連軍側が艦艇の行動北限としてNLLを設定した。北朝鮮はNLLを問題視しており、黄海で銃撃戦が起きた後の99年9月、「NLLは無効だ」として、NLLの南側に独自に「海上軍事境界線」を設定。ただ、休戦協定で国連軍側の支配地区と規定された延坪島など5島の支配権は、事実上認めてきた。
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