大規模な合同結婚式で知られ、霊感商法などが社会問題化したことがある世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創始者、文鮮明氏が3日、肺炎などの合併症のため、韓国京畿道加平郡の病院で死去した。92歳だった。統一教会関係者が明らかにした。
文氏は7月、統一教会グループが主催した韓国のサッカー大会で開会宣言をするなど活動を続けていたが、8月初めに健康状態が悪化しソウル市内の病院に一時入院。退院後の14日に再び症状が悪化して入院し、危篤状態となり、31日に同グループ系の加平郡の病院に移送された。
1920年、現在の北朝鮮の平安北道定州出身。早稲田大学付属早稲田高等工学校に留学し、54年、統一教会を創設して教主に就任した。大学生らを中心に信者を増やし、58年に日本に進出したほか、米欧など世界各国に支部を設立。韓国メディアなどによると、世界に約300万人の信者がいるとも言われる。経済活動にも力を入れ、韓国では建設、自動車関連など多数の企業を保有して「統一グループ」を形成している。
一方、80年代以降、信者による霊感商法が社会問題化。高価なつぼや印鑑を買わされたなどとする被害が続出し、合同結婚式での結婚は無効だとする訴えが相次ぎ、統一教会の活動が物議をかもした。
92年には桜田淳子さんら有名人が、合同結婚式に参加したことで世間の注目を集めた。
文氏亡き後の統一教会はどうなるのか。宗教学者の島田裕巳氏は「カリスマ的な指導者が亡くなり、親族間などで後継争いが激化するのは間違いない。また、日本では霊感商法のイメージが根強いが、韓国では財閥という認識で受け取られているところもある。宗教色を強めるのか、ビジネス色を一層出していくのか。その辺も注目だ」と話している。
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