28日付の韓国紙、朝鮮日報は北朝鮮秘密警察、国家安全保衛部の柳京(リュ・ギョン)副部長が2010年末から11年初めにかけてソウルを極秘訪問、南北首脳会談開催へ向けた対話推進などで合意したが、帰還後に銃殺されていたと伝えた。北朝鮮事情に詳しい筋の話としている。
柳副部長をめぐり韓国外交当局は、02年9月の日朝首脳会談で田中均外務アジア大洋州局長(当時)と秘密接触を重ねたとされる北朝鮮側高官、「ミスターX」ではないかとみているほか、09年8月のクリントン元米大統領訪朝でも事前調整担当者だったと判断している。
報道では、南北は10年12月から昨年1月にかけ、柳副部長と国家情報院の高官を相互派遣。しかし柳副部長は帰還後、対立勢力から「対韓戦略を韓国側に漏らした」と問責され、さらに自宅から大量の米ドル紙幣が見つかったとしてスパイ罪で銃殺されたという。
柳副部長は国家安全保衛部の高官として体制内部を監視、問題行為者を摘発する強大な権限を与えられていたうえ、金正日総書記に極めて近かったとみられている。
また、南北関係の改善に積極的だったともされており、後継体制の構築過程で、南北対話反対勢力や、金正恩第1書記への権力集中を急ぐ勢力から警戒や反発を受け、排除された可能性がある。