硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

上京雑記 その2

2013-06-09 20:57:48 | 日記
メディアから伝わるサブカルチャーと「シュタインズゲート」の舞台を一目見ておこうと秋葉原の駅に降りるとさっそく「萌文化」を目にする。東京芸大美術館に立ち寄ったすぐ後なので、不思議な感じがするが、違和感がない。僕の変わった嗜好性による感覚かもしれないけれど、これも一つのアートと言えるのでは考える。

改札を出るとシュタインズゲートの世界であった。少し感動。でも、人の多さ、目眩がするほどの広告に圧倒される。これが日常である事が逆に不思議である。時間は14時前。お腹もすいていたので昼食を摂るべく飲食店を探す。しかし目に付くのは衣食住に関わりのないものが多数であるが、地方にはないモノが普通に陳列されている事には少しばかり羨ましさを感じる。

17号線に出て万世橋とは反対方向に歩く。しばらくするとメイドさんがチラシを配っている姿が見えた。ふむ。これも体験しておくかと、メイドさんに尋ね案内していただく。さりげなく聞いたつもりだが、実はかなり勇気がいった。

メイドさんの言葉はかなり早い出力で、恥ずかしさもあってか上手く聞き取れないまま狭いビルのエレベーターに案内される。
後からスーツ姿の青年数人がキャリアに荷物を載せ入ってきた。今の仕事を辞めるとか辞めないとか言いながらも8日に行われる総選挙のチケットを片手に、もう一方の手には「まゆゆ」の選挙ポスターを持ってさりげなくこちらに向け、明日のアリーナ行きの話していた。狭いエレベータなので目があったがなぜかお互いに「にやり」としてしまった。

エレベーターの扉が開くと、「おかえりなさいご主人さま!!」コールである。

嗚呼。来てしまったなと戸惑いつつも、メイドのお嬢さんに案内され後についてゆく。

歳の頃は、友達の娘くらい。それだけでもかなり抵抗があるが、いいおじさんであるので気持ちを見透かされないように爽やかに応対する。席に着くと目の前に座りこまれに少し上目使いにシステムの説明を「萌」っとされる。萌っとしながらもその料金システム自体はかなりクレバーである事に気づく。しかし「入国」してしまえば拒否することなど出来ない状況にもっていかれるので承認するよりほかに選択が無いのである。

メニューはシンプル。お腹もすいていたのでオムライスのセットを注文。

以外にもメイドさんのコスには不思議と萌っとしない。それは彼女らが懸命に職務を全うしようとする気持ちが伝わってくるからであった。そして目の前で飲み物や食べ物に「あい」を注ぐ儀式をインストラクションするお嬢さんは、この空間でのコミニュケーション以外は不器用であることが言葉や行動の節々に認められるので、心の中で「がんばれ!」と囁いてしまうのであった。

でも、頑張ってメイドさんと共に「もえもえ」と唱えると、不思議なものでおもわず顔がほころぶ。

空腹もあってか「猫の絵」が描かれたオムライスは美味しい。しかし、この空間には馴染めず地に足が付いていない感じがしていた。

しばらくすると海外のお客さんがみえた。「海外からも認知される文化なのだなぁ」と感心しつつ様子を窺っていると、一人のメイドさんが流暢な英語でシステムの説明を行い始めた。接客姿勢もスムーズで安定感があり、安心してみていられる。

そのスキルの高さに少しときめいてしまうが、やはり友人の娘さんと同じくらいの年頃なので気持ちはあっさりと消える。

オムライス美味しく頂戴し、レジへ赴くとセットの中の記念撮影がまだである事に気づかれる。システムの説明を受けた時点で理解していたけれど、このままスルーしてくれないかなと思っていたので、少し焦る。仕方がないと覚悟を決めメイドさんのいいなりになる。

写真に落書きまでしていただき。エレベータに乗り込むまで萌文化を十分堪能。

そして、またしばし考える。このような空間が唯一他者との交流場所でありオアシスであるという人も存在しなければ、この事業は成り立たなくなるのではと思いつつも、依存してしまうと喪失してしまった時に気持ちを補完は可能なのだろうか。執着は人を追い込む嫌いを抱いているのでそこに潜む危険性はどんなものであろうかと考えたのです。しかし、改めて考えなおすと人の心は移ろいやすいものでもあるので変な考えをしなくてもよいかとも思ったりしている。


狭いエレベーターの扉が開くと眩しいくらいのモノと空梅雨の日差しが差し込んでいた。通りに出ると改めて人の多さに驚くと同時に、突然目の前で鋭利刃物を振り回されたらかわす術はないのではと頭の中を過ぎると次第に前から歩いてくる人の動きに敏感になってゆく自身に驚く。

平和で、ある人にとっては夢のような時間と場所である。それが突然不条理な暴力によって現実に引き戻された時の絶望感を考えると胸が痛くなる。そんな事を考えながら次の目的場所までの切符を購入。

時刻表を確認せずプラットホームへ通じる階段を上るとやはり電車が入ってきた。素晴らしいと思いつつ、足早に乗り込み秋葉原を後にした。

昨日、帰宅後のニュースで5年前の昨日あの無差別殺人の事件があった事を知った。そして、なぜ人ごみのでそんな事を考えたのだろうかと不思議に思ったのです。