硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

サミットが終わり・・・。

2016-05-28 19:22:10 | 日記
伊勢志摩サミットが無事終わりました。メディアでも多く取り上げられ、三重県在住者として、三重県の知名度が少しでも上がればよいなと思いつつも、肝心のサミットの内容は分からないままであった。そこで、少し調べてみると、会議でなされた話は、全体を大きく捉えると、人類はいかにして「七つの大罪」から、脱することが出来るかであるようです。

今日の新聞に大きく取り上げられていた、オバマ大統領の広島訪問も、70年という年月を経て、ようかく踏み出せた一歩であるから、いかに、人が人を赦すこと、隣人を愛する事が、困難であるかが分かります。

私達の日常でも、嫌な事をされたら、嫌な思いは、なかなか消えません。
それが、戦争なら、いっそう根深く、心に残るでしょう。

誰もが、納得し、幸福を感じる世の中を、構築することはできないかもしれません。でも、国を代表する人たちが、努力を怠れば、また、暗黒の日々が繰り返されてしまうでしょう。

いつくしみふかき、ともなるイエスは、われらのよわきを、 しりて、あわれんでいてくださるのだろうか。

はつこい、なんです。 最終話

2016-05-27 21:04:38 | 日記
「堀越さんは、いじわるだなぁ」

「……せんぱいだって」

私の身体、引き起こすと、また抱きしめて、甘いキス。

高揚する私達、先輩、私の唇からはなれると、耳元で、囁いたんです。

「……したい」

私、ここが美術室であることも忘れちゃって、

「うん。……いいよ」

って、言っちゃったんです。先輩、すごくうれしそう。

「ほんと! ありがとう。じゃぁ……、後ろむいて、机に手をついてくれないかな」

「えっと、こう……かな」

「うん」

先輩、スカートをまくると、パンティを、荒々しく、膝まで下した。

お尻が丸見えになっちゃった。私、すごく恥ずかしいのに、お尻を、ぎゅって掴んで、後ろから、あてがうと、一気に、入ってきたんです。

「痛いっ! 」

「ごめん。力はっちゃった」

「ううん。大丈夫だよ。でも、初めてだから、ゆっくり動かしてね」

「うん」

先輩が、私の中で、ゆっくり擦れる。最初は、痛みを感じたけれど、頭を突き抜けるような快感が、また。

私、タオルを口に含んで、漏れる声を我慢したんです。

二人とも、野生動物になったみたいに、無我夢中。

机がギシギシ音を立ててる。私、いつの間にか、机の上で、仰向けに寝そべって、突かれてた。

「もぅ、出ちゃいそうだ」

先輩、すごく、切ない声。

「私もっ! 先輩、いっしょにっ! 」

って、無意識に言葉が出ちゃった。

「堀越さん! 大好きだよ! 」

「先輩、大好きっ! 」

私の中に、先輩の、熱いものが注がれると、また、しびれるような感覚に襲われ、意識がどこかへ行きそうになった。

また、痙攣してる。先輩と私、つながってるのが、わかる。それは、今までに感じたことのない、絶対的な幸福感。

「ありがとう」

先輩、私から、ゆっくり、はなれると、優しく、起こして、抱きしめてくれたんです。私も、先輩の背中に手をまわして、

「ううん。私こそありがとう」

って、いうと、先輩、私の画を見て、

「ねぇ。堀越さん。前から思ってたんだけど、この作品、ひょっとして」

って、言うの。

私の作品、真摯にカンバスに向かう、男性の画。

「……うん。先輩だよ」




はつこい、なんです。 10

2016-05-26 20:44:16 | 日記
「気持ちいいんだね。すごく濡れてる」

いぢわるな先輩、恥ずかしくって、答える事なんて、できないのに。

黙っていたら、私のお腹に入った指を、ゆっくりと、かき回し始めたんです。

漏れそうになる声、必死で我慢。

時間も、空間も忘れてしまいそう、そうしたら、突然、空中に浮いたような感覚に襲われて、身体が、びくびくっと、痙攣。

初めてなのに、達してしまったんです。

私ったら、エッチかも。

「イっちゃったの? 」

先輩ったら、ほんとに、いぢわる。

息を切らせながら、うなずくと、今度は、私の前に回って、身体を引き寄せ、ぎゅって抱きしめた。私も、先輩に負けないくらい力いっぱい抱きしめると、先輩、ズボンの上からでもわかるくらい、大きくなってた。

私、勇気を出して

「私も……」

って、自分でも信じられないくらい、大胆になって、先輩の前に、しゃがんで、ズボンを下ろしたんです。

紺と白のチェック柄の、麻のパンツの上から、すこし、見えた。すごくエッチだった。

ドキドキしながら、そのものを、じっと、見つめて、先輩の、パンツを下ろした。

そそり立った、先輩に、手を伸ばして、友達から聞いた事を、必死で思い出して、口に含んで、アイスキャンディーをなめるように、先輩の、味を、感じた。

「ああっ、堀越さん。すごくきもちいい」

先輩、そんな声、出すんだ。なんだか、可愛らしい。

美術室に、私が、先輩の、吸い込む音だけが響いてる。

「堀越さん。もうだめ。はなして」

ふふっ、先輩ったら、そんな甘い声出して、私、少しいじわるして、右手で、早く、動かしちゃった。

「ああっ。だめだよ。そんなことしちゃ・・・。ああっ」

肩を掴んで、私から離れると、さらに反り返って、波打ってた。


はつこい、なんです。 9

2016-05-24 21:09:28 | 日記
甘いファースト・キス。ほんのり、ミントの香り、先輩の唇、とても、やわらかい。

どれくらいの時間、唇を重ねていたのか分からないけれど、身体がとろけてゆきそう。

先輩、抱きしめていた手を、エプロンの間から、伸ばして、シャツの上から、私のお乳を、

「あっ」

とても、ゆっくり、触ってきたんです。

「痛くない? 」

「うん……」

好きな人に触られる事が、こんなに気持ちいいだなんて。

身をゆだねていると、先輩ったら、私のエプロンを脱がせて、シャツのボタンを、慣れない手つきで、はずし始めたんです。

「いやっ」

少し体を固めたけれど、手を止めてくれない。

シャツのボタン、全部はずされて、ブラが露わになった、先輩、私の、お乳を弄びながら、キス。

今度は、舌を入れてきたんです。最初はとても驚いたけれど、絡め合ってたら、理性なんて、どこかにいっちゃった。

先輩の手、ブラの間から、直接、

「ああっ」

思わず吐息が漏れる。すごく、固くなって、敏感になってる。

お乳を弄んでいた手が、スカートの裾をまくり、ぎこちなく、入ってきた、私、少し足を開いて、導いちゃった。

太腿を撫でながら、さらに、スカートの奥へ。

「ううぅっ」

とうとう、さわれちゃった。恥ずかしいくらいに、濡れてる。

「……恥ずかしいわ」

先輩、かまわず、濡れたパンティの上から、突起した部分を、触るんです。

思わず声を上げそうになって、とっさに首に巻いていたタオルを噛んだ。

底の入り口から、どんどんあふれてきて、頭の中、鈍くしびれてる。

私、すごく、がんばってるのに、先輩ったら、おかまいなしに、パンティの間から、直接、指を入れてきたんです。

「ダメっ! 」

入口に、指をあてがわれた時、怖くて、少し抵抗したけれど、先輩の指、するりと私の中に入ってきた、初めての感覚。一人でするときとは、違った感じ、私、思わず先輩の腕、ぎゅって掴んだ。

「痛い? 」

私、目をつぶったまま、首を横に振った。


はつこい、なんです。 8

2016-05-24 06:56:59 | 日記
土曜の放課後、誰もいない美術室。もうすぐ、文化祭。

教室に、長くなった、日の光が、差し込んでる。首に巻いたタオルで、汗ばむ額を拭く。遅筆な私、独りカンバスに向ってた。

音楽室から聞こえてくる、吹奏楽部が演奏する「スペインの市場」っていう曲、いつの間にか、メロディを口ずさめるようになったわ。

ドアが開く、そこには折原先輩。

「あれっ、堀越、今日もいるのかぁ、今日は、みんな帰って、誰も来ないぞ」

「あっ、ごめんなさい。でも、私、遅れてると、思うから」

「そうかぁ、あまり無理すんなよ」

「ありがとうございます……。どうしても、上手く色が出せなくて、ここだけは今日中にやりきっておきたくて」

「どれ、見せてみて」

先輩、私の背中に立って、画をじっと、見つめる。すごく、ドキドキ。

「う~ん、そうだなぁ。ここ、ここに少し藍を足して影をつければいいんじゃないかな」

「藍ですか」

「うん。失敗してもナイフで削ればいいから、思い切ってやってみて」

「わかりました」

私、先輩の言われたとおりにナイフに藍をのせて影をつけてみる。

「うん、いいね。でも、こうするともっと良くなるんじゃ」

先輩、私の背から手を伸ばし、ナイフを持つ私の手を持つと、パレットの色を合わせ、びっくりするくらいのタッチでカンバスに色を落とした。

「あっ、これです、こうしたかったんです」

私、おもわず興奮。で、横を見ると、先輩の顔があったんです。

心臓が張り裂けそうになっていた。

「堀越さん」

先輩、真顔になって、私の耳元で囁いた。

「前から、言おうと、思ってたんだけど……」

「えっ、なっ、なんですか」

「好きです」

予期せぬ、突然の告白、すごくうれしいんだけど、訳が分からなくなっちゃった。

「でも、加藤先輩と付き合ってるんじゃ……」

「あれは、噂だよ。加藤には、好きな人がいるんだよ」

「……でも、私なんかで、いいんですか。私、可愛くないし……」

「僕は、堀越さんが……、好きなんだ」

先輩、そういうと、私の手からナイフを放して、パレットの上に置くと、後ろから、抱きしめたんです。

静まり返った美術室に二人きりなんて、入部した時いらいだわ。

緊張して、身体が固くなってる、なのに、心臓は高鳴って、すごく、恥ずかしいけれど、身体の底の入り口から、分泌するのがわかったんです。

「堀越さん」

軽く頬にキス、私、勇気を出さなきゃって、先輩の方を向いて、目を閉じた。


はつこい、なんです。 7

2016-05-23 06:34:45 | 日記
もうすぐ、夏が終わる。西の空には、大きな入道雲が、きらきら輝いてる。

二学期に入ると、美術部は、先輩の言った通り、ポスター作りに追われた。

部長、人がいいから、断らない。しかも、なぜか、クオリティーにこだわるから、なかなかこなせなくて、困っちゃう。

でも、南先輩、部長とは、対照的に、計画を立て、進度を予定表にして、部員に作業を割り振り、確実に、進めているから、一安心。

それでも、来週まで、個人の作品に、手を付けられない感じなんです。

「きょうは、ここまでにしようか」

南先輩の、一声で、手が止まる。

「うううっ、背中が痛い」

「毎年の事だけれど、これって、なんとかならないの」

皆、思わず愚痴をこぼす。部長、にわかに立ちあがり、

「諸君、よく聞いてくれ。我々美術部が、脚光を浴びるのは、この季節だけである。ここで、頑張っておけば、美術部の評価は上がり、しいては良い画材が手に入るのである。これは、我々美術部にとって、死守せねばならない、働きであり、また、我々の一存では、変えぬことのできない、伝統なのである」
誇らしげに言う部長、片付けながら、あきれたように、南さん、

「なにいってんの。私が計画を立てなければ、とうに頓挫してたでしょ」

「むむっ、南さん。なにをおっしゃいますやら、これはでん……」

「はいはい、分かったから、早く片付けなさい」

南さん、皆まで言わせない。部長、寂しげに片付け作業を始めた。

窓の外を見ていた、小菅君、

「あれっ、雨が降り出した」

いつの間にか、雲が広がっていて、あっという間に大雨になった。

遠くで、雷が鳴っている。

部員全員で、慌てて窓を閉めると、加藤先輩、残念そうに、

「今日、雨降らないって言ってたのに」

 って呟いた。加藤先輩と、同じポスター制作を進めていた折原先輩、やっぱり、優しいんです。

「なんだ、加藤、傘持ってないのか」

「うん。だって、降らないっていってたもの。折原君は」

「おきっぱの傘があるから、大丈夫だぜ」

「じゃあ、いっしょに、傘に入れて行って」

「……まぁ、しょうがないかぁ」

「しょうがないじゃないでしょ。わ・た・しが、頼んでいるのよ」

そういうと、小菅君は、かならず、余計な事を言う。

「相合傘っスか、折原先輩、いいなぁ~。そんな無下にしたら、加藤先輩のファンから、石、投げられますよ」

「そんな、ぶっそうな」

「あら、ほんとよ」

突然、空に稲妻が走り、大地を切り裂くような大音響に、皆、耳をふさいだ。

「こわいよぉ~」

加藤先輩、それまで、無邪気に微笑んでたけれど、児童のように、半べそかいて、折原先輩の腕にしがみついる。

それを横目で見ていた、南先輩、あきれて、ため息ついてる。

私も、雷が怖いし、傘も持ってこなかったけれど、加藤先輩みたいに、上手に甘えられない。

折原先輩の事、誰にも負けないくらい好きなのに、意気地が無くて、何も、できないのが、悔しいな。


はつこい、なんです。 6

2016-05-21 19:51:41 | 日記
折原先輩と加藤先輩、イーゼルを取り出すと、私の右側に並んで、カンバスをのせた。

皆、カンバスに向かうと、スイッチが切り替わる。

折原先輩の作品は、今年の春にスケッチした、河川敷の桜並木の風景画、ジョン・コンスタブルのような写実的な画は、いつ観ても、引き込まれてしまう。

「堀越、どうしたの」

「あっ、その……。いつ観ても素敵な風景だなって」

先輩、少しうれしそう。

「そうかな? ありがとう」

慣れた手つきで、パレットにのせた絵の具を、ナイフで色を整え、カンバスに色を付けてゆく。

エプロンをつけ、キリリとした顔で、画と向き合う先輩、セクシーなんです。

そう思うと、いつも身体の芯が、熱くなっちゃうんです。こんな事、恥ずかしくて、誰も言えない。

 「祥子ちゃん、そんなこと言っちゃダメ。こいつ、すぐ調子に乗るから」

ラファエル前派の画が好きだという加藤先輩、美しい象徴的な人物画が出来上がりつつある。安藤先生が、ミレイを意識してるって、言ってたけれど、本当に、ミレイの画のように、素敵。

私、なんだか、悔しくって、つい、

「先輩の画、好きなんです」

っていっちゃった。

加藤先輩、少し、驚いてたけど、隣で微笑んでた折原先輩を、キッとにらみ、先輩の左足を、踏んづけた。

「痛って~っ! 加藤、なにすんだよ」

「調子に乗ってるからよ」

「素直に喜んだら駄目なのかぁ」

「ダメ! 」

「ダメって、なんで」

「ダメなものは駄目なの! 」

「わけわかんないよ」

とても、親しい二人。やっぱり、噂は、本当なのかなぁ。

はつこい、なんです。 5

2016-05-20 20:28:12 | 日記
「あいかわらずだなぁ」

「よく懲りないわねぇ」

そういって、入ってきたのは、折原先輩と、加藤先輩。

加藤先輩といえば、同級生の男子を通して、伝わってきた噂があるんです。

ほんとかどうかは分からないけれど、学校中の男子の憧れの的で、1年間で10人以上の男性から告白されて、みんな、断ったって言うんです。

それだけなら、いいんだけれど、加藤先輩、折原先輩と付き合ってるんじゃないかって、噂を聞いたとき、すごく落ちこんだ。

「堀越だけじゃないか、まじめにやってんの」

「祥子ちゃんを見習いなさいよ」

南先輩、それを聴いて、まだ機嫌が悪かったのか、

「いつもイチャイチャしている、あなた達に言われたくありません」

って、言い放ったけれど、私の胸は、やっぱり、キュッと、痛くなった。

「ああっ。やっぱり、そうなんスね、二人は付き合ってるんスね。ファンクラブの人達、がっかりしますよ」

小菅君は、やっぱり、空気を読まない人。私、加藤先輩に、ファンクラブがあることでさえ驚いたのに。

それでも、加藤先輩、余裕で、言うんです。

「ふふっ。いいのよ。私、十分、リア充だから」

「いやぁ、加藤先輩、ヤバいっすね」

「かとぉ~。火に油を注ぐようなこというんじゃないよ」

折原先輩、困ってる。でも、本人はまったく、気にしていなくて、

「あら、そうかしら」

って、あっさり。

南先輩、余裕の加藤先輩が悔しいみたいで、すぐかみついた。

「まぁ、イチャイチャするのはいいけど、外でやってね」

「あら、南さん、人の恋路を邪魔するつもり、馬に蹴られるわよ」

「なんですって、じゃあ、馬、連れてきなさいよ」

「まぁ、都都逸なのに、本気にしちゃって」

「平成生まれの私達が、都都逸なんて、知るわけないじゃない」

「私、知ってたも~ん」

「うううっ、なんだかくやしいわ。作品制作では、ぜったい、負けないから」

折原先輩、二人に挟まれて、すごく困ってる。

それまでの成り行きを、静かに眺めていた、芳川部長、満を持して、

「まあ、まあ、二人とも、いがみ合っちゃあ、その美貌が、もったいない」

って、いうんだけれど、南先輩と加藤先輩、

「部長はだまってて! 」

って、思わずシンクロ。

部長、二人が怒ってるのに、にやにやしながら首をすくめて、

「おおっ、このままでは石にされてしまう」

って、いうんです。折原先輩、横で、苦笑いしてる。

美術部は、部員が集まると、いつもこんな感じ。

でも、どこまでが冗談なのか、未だにわからないわ。

はつこい、なんです。 4

2016-05-19 22:36:30 | 日記
放課後、いつものように美術室に行くと、窓際の席で部長が、気持ちよさそうに居眠り。

安藤先生は、また、いらっしゃらないみたい。

私、そっと入って、イーゼルを立てて、書きかけのカンバスをのせると、椅子に座り下書きの続きをはじめた。

テーマは「真摯」

静かな美術室、絵の具の匂い、カーテンを優しく揺らす風、すべてがとても心地いいんです。

黙々と鉛筆を走らせていると、ドアを開いた。南先輩だ。

「堀越、きょうもはやいね」

ほっそりとした身体、長い手足、肩まで伸びた黒髪をなびかせて、颯爽と歩く、凛とした姿は、私のあこがれ。

でも、少し尖がっている性格が、玉に瑕。

「ぶちょう! 芳川ぶちょう! ほら、もう起きる! 」

部長の芳川先輩、もじゃもじゃ頭をかきながら、

「おおっ、おはよう。南ちゃん、きょうもすてきだね」

それは、南先輩に対する決まり文句なんだけど、気に入らないみたいで、いつも不機嫌になる。

「そんなことはいいから、早く、作品制作にとりかかりなさい」

実質の部長は南先輩。部員の中では、周知の事実。

「なにいってんの。それ見てごらんよ」

そういって、指さす方向には、30センチほどの、小便小僧の石膏像。

「んんっ」

南先輩、凝視すると、

「なっ。これ昨年につくったやつじゃん! 」

って、怒ったんです。それでも部長ったら、

「いやぁ。ばれてしまいましたか」

何食わぬ顔で、へらへらしている。南先輩、小便小僧像を持ちあげると、部長の顔の前に近づけ、

「嘘をついては、い・け・ま・せ・ん。恥ずかしくありませんか」

と、小便小僧を通して説教。部長、懲りたのか、

「うへっ。ごめんなさい」

といって、あやまった、何とも不思議な二人。

「おぃ~す」

次に、ドアを開けたのは、A組の小菅君、ちょっとチャラいけれど、ガチのアニオタ、作品も何とかと言うアニメのヒロイン。でも、絵、色彩、群を抜いて上手いんです。

「またやってるんっスか。すきだなぁ。ほんとは、二人、つきあってるんじゃないスか」

小菅君、ほんと、空気読まない人、私が焦ってしまう。

「こ~す~げ~。おまえ、そんなこと言っていいとおもってんのかぁ~」

南先輩、小菅さんのこめかみ、両手をぐうにして、ぐりぐりしている。

「うううっ。すいません。もういいません。ごめんなさい」

部長、その様子を見て、微笑んでる。どこまでも、のんきな人だわ。

はつこい、なんです。 3

2016-05-18 18:34:17 | 日記
今日は、寝坊しちゃった、携帯のタイマー入れるの忘れて。お母さんも、今日は、ゆっくりでいいのかしら、と思ってただって。

いつもより、二本遅れの電車に乗り込む。すると、そこには、折原先輩。

「あれっ、堀越さん。おはよー」

「あっ、先輩! おはようございます」

「堀越さんて、この電車だったの」

「はい」

「電車で会うのって、初めてだよね」

「あぁ、そうですね。私、いつも、20分前の電車に乗ってゆくんです。でも、今日は寝坊しちゃって」

「そうなんだ。もっと早く聞いておけばよかったね」

先輩と、同じ電車に乗って通学できるなんて、寝坊してラッキーだわ。

「そうだ、line交換しない」

「えっ! いいんですか」

「うん、部活の事も、lineで教えられるしね」

「ああっ、そうですね。はい。よろしくお願いします」

 携帯、カバンから取り出して、先輩とID交換。男子とID交換するの初めてで、どきどきしちゃった。
 

次の朝、lineが来る、先輩からだ。

「おはよう。起きてる」

「おはようございます。もう起きてますよ」 

「今日も、昨日と同じ電車に乗る? 」

「はい。そのつもりです」

「じゃあ、待ってるね」

「はい。乗り遅れないように、行きますね」

交わす言葉は、少ないけれど、他愛のないlineのやり取りが、すごくうれしくて、落ち込んだ朝でも、元気が出てくるんです。

いつもより20分後の電車を、プラットフォームで待つ。私、時間、変えちゃった。

前から三両目の前の入り口。

窓越しに手を挙げている。

「おはよう」

「おはようございます」

ドアが閉まると、クーラーの冷たい風で、汗ばんだシャツが、少しひんやりした。

下着、透けてないかな。先輩、気づいてないかな。

「期末試験、どうだった」

「……それがぁ、余りできなくて。先輩は? 」

「そうだなぁ、まあまあかな。でも、自力じゃないからなぁ」

「塾とか? 」

「ううん。加藤が優秀だから、たまに教えてもらってる。それがなけりゃ、駄目かも」

胸がチクってした、こんな気持ち知られたくないな。気にしないふり、気にしないふり。

「でも、まあまあなんて、さすがですねぇ。私、夜更かしできなくて、どうしても寝ちゃうんですよね」

先輩、「フフフッ、それ、僕も」って、笑ってる。笑顔、可愛い。

「文化祭の出展作品はどう? 」

「順調ですって言いたいところなんですが、私、遅筆なので、遅れてます」

「そうかぁ。でも、一年目だから、そんなもんだよ。部長の芳川さんなんか、一年生の時、未完のまま出展して、先輩から、こっぴどく注意されたって聞いてる。」

「そうなんですか」

「うん。あの人のマイペースぶりは、天才的だからね」

「なんだか、わかる気がします」

先輩との雑談も、自然にできるようになって、私、少し成長したみたい。

電車が駅に近づき、減速、私、体のバランスを崩して、先輩の胸に、よりかかったんです。
「大丈夫? 」

先輩、私を優しく抱きとめた。

「あっ、ありがとう。ふらふらしてすいません」

「いいよ」

あれっ、先輩、耳が赤い。照れているのかしら。


はつこい、なんです。 2

2016-05-17 22:53:51 | 日記
もう、すっかり初夏。梅雨の合間の日差しは、びっくりするほど暑いけれど、衣替えした、淡いピンクの七分袖シャツとスクールリボンの夏服、可愛くって、他の高校の女子にも人気なんです。

高校生活にも、ずいぶん慣れ、少ないけれど、友達もできた。

部活も楽しくて、基本、出席自由なんだけれど、いつも、誰かがいて、今日は、珍しく、安藤先生が、カンバスに向かう女子部員を指導していたんです。

「いい感じだな。ミレイを意識しているのが、伝わってくるよ。まだ、オリジナリティなんて、意識するな。助走は長いほどいい、どんどん真似をしていきなさい」

「ありがとうございます」

女子部員さん、とても喜んでる。私、そっと、入って、その人が描く画を、後ろから観た。

言葉を失って、しばらく見つめていた。

「すごい巧いだろ」

って、折原先輩。

「はい。引き込まれてしまいます」

私、感動しちゃった。

「折原君、見てたの? 」

そういって、振り返る女性は、女優さんのように光ってた。

「うん。今日は、バスケ部、休み? 」

「うん。試合も終わったしね」

「すごいなぁ、僕には掛け持ちなんて、できないよ」

「断り切れなかっただけだよ。私がやりたいのは、変わらず、画だもの」

「そうだったな、バスケ部って、頼まれて、やってたんだっけ」

「中学3年間、やってからねぇ」

「で、作品のテーマは」

「それは、まだ、ヒ、ミ、ツ。でも、今まで、バスケに時間取られていたから、全力でやってるよ。二学期に入ったら、部長、きっと、学祭のポスター引き受けちゃうし、それに時間、とられちゃったら、作品展に間にあわなくなるでしょ。」

「ああっ、そうだ。また、あの、忙しい日々がやってくるんだなぁ」

先輩と親しげに話す美人は、いったい誰。すごく気になっちゃう。

「そうだ、彼女、初対面だったね、紹介しておくよ、今年入部した、堀越 祥子さん」

「1年 C組、堀越 祥子です。よろしくお願いします」

「私は、折原君と同級の、加藤 結です。部活掛け持ちしてて、なかなか来れなかったけど、よろしくね」

 安藤先生、腕組して、加藤さんの画を観ながら、

「堀越、加藤の画は良い手本になるから、よく見ておくといいよ。ここから、どう変化してゆくのか、その工程を覚えておきなさい」

って、ほめると、加藤さん、顔がほんのり赤くなった。

「いやだぁ、先生、何言ってるんですか。私なんか手本になりません。折原君の方が、ずっと手本になりますよ」

「いやいや。加藤の方が、巧いよ。時々来て、このレベルだから。僕なんか、ほぼ毎日来て、線引き直して、やっと観られるようになるんだからさ」

「謙遜しちゃってぇ。でも、褒めてくれてありがとう。嬉しい」

先輩も加藤さんも、すごく楽しそう、なんだか、お似合いの二人。

はつこい、なんです。

2016-05-16 21:47:24 | 日記
私、女子高生。一応、大学、目指してて、勉強に、クラブ活動に、忙しいけれど、好きな人がいて、はつこい、なんです。

出逢いは、4月。私、絵、描くのも、観るのも好きだから、進学したら、美術部へと思ったけれど、いざとなると、勇気がなくて、美術室の前で、もじもじ。

「入部希望 ? 」

振り向くと、先輩、爽やかに微笑んでた。私、うなずくだけで精一杯。

「じゃあ、一緒に入ろうか」

ドアを開けて、私の背中を軽く押すと、奥の椅子に腰掛けて、アートの本を開いていたのは、顧問の安藤先生。

「安藤先生。こんにちは」

「おおっ、折原か……。んっ、その子は」

挨拶しなきゃと、思ったけれど、すごく緊張して、言葉が出てこないんです。

そしたら、先輩、察してくれて、

「安藤先生、この子、入部希望だそうです」

って、紹介してくれたんです。私、本当に、あがり症で、人前であいさつするの、苦手なんだけど、優しさが、うれしくて、テンション上がっちゃって、

「・・・堀越 祥子です。入部したいです。よろしくお願いします」

って、自己紹介、出来たんです。

「本年の入部、第一号だな。堀越は、何組だ」

「あっ。C組です」

「……駿河先生のクラスだな。じゃあ……。あれっ、おい、芳川はどうした」

先輩、少しあきれ顔。

「先生~、芳川部長は今日も欠席です……、いつものことじゃないですかぁ」

「おおっ、そうだったな。このクラブはまとまりがなくて、どうも遺憾。じゃぁ、折原、いろいろ教えてやってくれ」

先生、そういうと、本を閉じて、部室から出て行ったんです。大丈夫なのかしら。

二人きりの部室、わずかな沈黙、音楽室から管楽器の不慣れな音が聞こえてくる。先輩、ふぅと息を吐くと、

「えっと、僕は、2年B組の折原 啓太です。よろしく」

といって、握手を求めてきたんです。

私、握手、求めらたの初めてで、はずかしくって、うつむいたまま、手を出した。

先輩の手、華奢にみえたけれど、意外にごつごつして、固い。

男の人の手って、不思議と魅力を感じちゃう。私、変なのかしら。

気持ち、悟られないように、美術部の年間行事だとか、備品の使用についてだとか、思いつくまま、質問したら、先輩、とても丁寧に教えてくれたんです。

私、言葉を逃さないように、必死でメモってたら、

「やぁ、折原くん……。その子は? 」

といって、部室に入ってきたのは、素敵な女性。

「えっと、1Cの堀越 祥子さん、入部希望です」

美術部員なんだ。私、また、緊張。

「あっ、堀越 祥子です。よろしくお願いします」

「私は、美術部の副部長、南です。よろしくね」

微笑んだ、笑顔も素敵、男性なら、好きになっちゃうんだろうな。

「そういえば、さっき、安藤先生とすれ違ったけど、先生から、何か聞いた」

「いえ、すぐに部室から出ていかれて……」

「じゃあ、説明は、折原君が? 」

「うん。まあ、いつものことだけどね」

「えっ、そうなんですか」

「安藤先生って、いつもあんな感じなのよ、でも、腕は確かで、若い時に個展開いたことある人なのよ」

「へぇ! すごい方なんですね」

「でもさぁ、あれって本当なのかなぁ」

南さん、ニヤッとして、

「私達は観たことがないし、自己申告だからねぇ」


宇能 鴻一郎さんに憧れて。

2016-05-16 21:45:08 | 日記
昨年、平松洋子さんの「野蛮な読書」を図書館で見つけ読んだところ、とても面白く、中でも、宇能 鴻一郎さんを紹介する「わたし、おののいたんです」にはとても衝撃を受け、すぐに書店で宇能さんの本を探すも全く見当たりませんでした。しかし、そんな欲望を察してか、宇能さんの「むちむちぷりん」が再刊されていて、書店に並んでいたのです。
早速、購入し、一気に読破。官能小説なんだけれど、芥川賞受賞作家の片りんを示す表現やリズムのある文体に感動。

こんな風に文章が書けないかなあと考えていたら、創作意欲が湧いてきたので、宇能鴻一郎さんのお力を拝借して、短編を描いてみようと思い立ちました。もちろん「官能」的な部分も描いてみようと思いますので、しばらくお付き合いくださいませ。

ベッキーさん。

2016-05-13 22:19:45 | 日記
少しだけ番組を観た。テレビの向こう側で生きる人たちは、夢中で人を好きになる事が難しい職業なんだと改めて感じた。

タレントとは、独りの人である前に、存在自体が対価になっているという生き方であり、それを選択した以上、恋愛するのであれば、対価になりつづける事を諦めるか、自身の気持ちを押し込めて、世間が思うイメージに沿った恋愛をするしかないように思う。

彼女は、最初、前者を選んだけれども、こうなってしまったのは、彼女が、テレビの向こう側の人として生きてゆくことを望んだ人たちが、たくさんいたのだと思う。

確かに、誰も幸せにならない選択は、躓きであるけれど、恋愛に夢中になる事を、関係のない人たちが批判することは、間違っているし、それを対価にしてしまう人達も間違っていると思う。

真相は当事者にしかわからないし、無かったことにはならないが、この苦難を乗り越えて、素敵な恋愛をして、幸福になってほしいと思う。


この事実をどう受け止めればいいのだろう。

2016-05-05 21:14:36 | 日記
レクリエーションの素材作りの為に、尋常小学校の国語を調べていたら「稲むらの火」という物語に出会った。

それは実際にあった話をラフカディオ・ハーンさんが明治29年に物語として著したもので、その後、中井常蔵さんが翻訳、再話。それが、文部省の教材公募に入選し、昭和12年から10年間、小学校の国語の教科書に掲載されていました。

その物語が、再び2011年の春から国語の教科書に掲載されることになった事を、NHKの番組で取り上げられているのを知りました。

しかし、その記事が記載されていたのは、2011年の2月14日だったのです。

人文学や文学は、株価やGDPには反映されにくいけれど、人は躓くものなので、その危険性を軽減するために、未来の人達のために、なくてはならない学問なのだと思うのです。