『心の旅路』(42)(1989.1.8.)
テレビは2日間天皇特番一色。そんな中、教育テレビの「世界名作劇場」で放送されたこの映画がキラリと光った。
『哀愁』(40)などを代表作に持つ、マービン・ルロイ監督お得意の大メロドラマで、主演はロナルド・コールマンとグリア・ガースン。見る前は、日本で言えば、新派大悲劇といった感じで、古くささは否めないだろうと思っていた。
ところが、この古い古いメロドラマ、しかも主人公(コールマン)が二重の記憶喪失に陥るというとんでもない設定であるにもかかわらず、特にばかげた話とは映らなかった。
そればかりか、今のSFXや過激なアクションが主流の映画にはない、しっとりとした味わいがあり、何か新鮮なものを見せられた気さえしたのである。
これは当時のハリウッド映画は、あくまでストーリー主体であり、これは夢のある嘘をいかに本物らしく見せるかに心血を注いだ結果なのではないだろうか。
映画もドラマも、基本はストーリーにあるはず。それなのに、今の映画はあまりにも映像で見せることに固執し過ぎてはいないだろうか。そんな疑問を感じさせてくれる映画だった。
グリア・ガースンのプロフィール↓
ロナルド・コールマンのプロフィール↓
パンフレット(47・スバル興業宣伝部(Subaru9))の主な内容
「心の旅路」物語(清水千代太)/原作と映画(双葉十三郎)/鑑賞講座「心の旅路」(田村幸彦)/やるせなき愛感(五所平之助)/記憶喪失症の映画(式場隆三郎)/原作者ヒルトンについて(植草甚一)/監督者マービン・ロルイ(淀川長治)/ハリウッドと欧州映画人(野口久光)
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