『深夜の告白』(44)(1991.5.1.)
保険外交員のウォルター(フレッド・マクマレイ)は、人妻のフィリス(バーバラ・スタンウィック)から夫に傷害保険をかけたいと相談される。ウォルターは不審に思うが、フィリスの魅力に心を奪われ、夫殺害の共犯者となる…。原作はジェームズ・M・ケインの『倍額保険』。
戦前のビリー・ワイルダー監督作。主人公の告白で始まる、暗く陰惨で救い難い話なのに、語り口の巧みさや、回想シーンの挿入のうまさで見せ切るという手法は、後の『サンセット大通り』(50)にもつながるものがある。この映画の脚本は何とレイモンド・チャンドラー。ワイルダーとチャンドラーとは意外な組み合わせではないか。
さて、当時は、これでも十分に衝撃的であったであろう話が、今見ると、犯罪の経緯などが幼稚に見えてしまうのは、ワイルダーのせいではなく、この手の犯罪がより複雑になり、巧妙に行われるようになったからだろう。
それが証拠に、多発される2時間ドラマなどで扱われる犯罪の手口やトリックは、この映画が描いたものよりも、何倍も手が込んでいる。ただ、それが映画やドラマとしてよくできているかどうかは、また別の問題になる。この映画の見事な語り口を見ると、そんなふうに思わされる。
バーバラ・スタンウィックのプロフィール↓
ビリー・ワイルダーのプロフィール↓
パンフレット(53・国際出版社)の主な内容
解説/ストーリー/撮影余話/スタアMEMOフレッド・マクマレー、バーバラ・スタンウィック/エドワード・G・ロビンスン(『恋ざんげ』解説/物語/此の映画に寄せられた批評/ジャン・クロード・パスカル、アヌーク・エメ)
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