『舶来音楽芸能史―ジャズで踊って』(瀬川昌久・草思社文庫)を読み始めたら、エノケン=榎本健一のことが出てきたので、久しぶりにエノケンの映画を見直してみた。
『エノケンの近藤勇』(35)
ジャズソングを盛り込みながら、エノケンが近藤勇と坂本龍馬の二役を演じた幕末コメディ。監督は山本嘉次郎。
見どころは、高下駄を履いた近藤=エノケンの立ち回り。龍馬(なぜか“りゅうま”と呼ばれている)と桂小五郎(二村定一)が歌う「ララバイ・イン・ブルー」。池田屋騒動では「ボレロ」と「ピーナッツ・ベンダー=南京豆売り」が効果的に使われ、『蒲田行進曲』(82)で有名になった“階段落ち”のシーンもちゃんとある。
笑いは生ものだから、今の目から見るとギャグの数々に古色蒼然とした印象を受けるのは仕方ないが、音楽の使い方は今見ても十分に面白い。広島で原爆に被ばくして亡くなった、さくら隊の丸山定夫が山岡鉄舟役で出演している。
「アラビアの唄」 エノケンとその仲間たち
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c5c5c9c9e274cc51e260d9cdea01cd0a