『孫悟空』(40)(1986.1.2.NHK)
皇紀二千六百年に沸く昭和15年に作られたレビューミュージカルコメディ。三蔵法師のお伴をして孫悟空が天竺に旅するおなじみの話。監督・山本嘉次郎、特殊撮影・円谷英二、音楽・栗原重一と鈴木静一。
主なキャストは、孫悟空(榎本健一)、猪八戒(岸井明)、沙悟浄(金井俊夫)、三蔵法師(柳田貞一)、奇怪団珍妙大王(高勢実乗)、金角大王(中村是好)、銀角大王(如月寛多)、狆々姫(高峰秀子)、百科辞典の精袖珍(中村メイ子)、天文博士鰐々居士(徳川夢声)、ナイチンゲール金鈴(渡辺はま子)、煩悩国香蘭(李香蘭)、玄宗王(藤山一郎)
オリジナルの「孫悟空の歌」のほか、「世紀の楽団」(アレキサンダース・ラグタイム・バンド)「アラビヤの歌」、そしてディズニーの「星に願いを」や「ハイ・ホー」も流れる。翌年の日米開戦を思えば、奇跡的に作られた映画だともいえる。
『エノケンのちゃっきり金太』(37)(1986.1.3.NHK)
山本嘉次郎監督が、ジョンストン・マッカレイの探偵小説『地下鉄サム』を翻案し、舞台を幕末の東海道に置き換えた。スリのサム=巾着切りの金太(エノケン)とクラドック刑事=岡っ引きの倉吉(中村是好)が、追いつ追われつの展開を繰り広げる。
その他、飴屋を装う徳川方のスパイ・三次(二村定一)、金太がひいきにしている居酒屋の亭主(柳田貞一)、金太の命を狙う薩摩藩士の小原葉太郎(如月寛多)らが2人に絡む道中喜劇。
現在見ることができるのは、終戦後にダイジェストとして再編集されたバージョン。それ故か、語られている伝説ほどには面白く感じられず、ちょっと困った。