「CINEMAレベル9」『不良少年の映画史』『美藝公』
(2004.12.17.)
ハヤフサヒデトのことを調べていたら、“幻の映画たち”について書かれたSF小説? 筒井康隆の短編「CINEMAレベル9」(『夜のコント冬のコント』(新潮文庫所収)のことを知り、ブックオフへ。
舞台は神戸の地下9階にあるという“幻の映画”だけを上映する映画館。筒井自身の分身と思われる映画狂の主人公と、往年のスターを真似る映画館の支配人のやりとりが面白い一編。ここならハヤフサヒデトの映画も観られるだろう。まさに映画狂=偏執狂の夢が生んだ好短編だった。
続いて、『不良少年の映画史』(文春文庫)を拾い読み。映画狂・筒井の面目躍如の“幻の映画”のオンパレード。特にエノケン、ロイドを始めとする失われたコメディー映画の記述が多いのがうれしい。DVDに合わせた発掘で、どこからかこれらの“完全版”が姿を現す日がくるかもしれない。
そういえば昔読んだ筒井作品で、映画産業が国を支える空想小説『美藝公』(文春文庫)は楽しかったなあ。