田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

「ジョン・カーペンターレトロスペクティブ2022」『ザ・フォッグ』

2022-01-03 23:11:07 | 新作映画を見てみた

「ジョン・カーペンターレトロスペクティブ2022」1月7日から。3本とも90分台の上映時間というのがうれしい。
https://longride.jp/johncarpenter/

『ザ・フォッグ』(79)(1984.7.12.木曜洋画劇場)

 街の誕生100周年に沸く小さな港町アントニオ・ベイ。ところが、街では奇怪な現象が起こり始める。それは、100年前の怨みを晴らすため、怪しげな霧と共に現れた亡霊たちの仕業だった。

 製作・脚本デブラ・ヒル、監督・脚本・音楽ジョン・カーペンター、撮影ディーン・カンディによる、アイデアの良さとカメラワーク(見せ方)の工夫が光るB級ホラーの鑑のような一作。キーワードは、港町、教会、怪談、霧、亡霊、怨念、伝染病、ラジオ…。

 亡霊の怨念は『八つ墓村』(77)、神出鬼没ぶりは『美女と液体人間』(58)『ガス人間第一号』(60)を思い起こさせるところもある。カーペンターは日本映画が好きらしいから、案外アイデアを頂いていたりして。

 元カーペンター夫人でDJ役のエイドリアン・バーボーのほか、ジャネット・リー、ジェイミー・リー・カーティスの母娘共演や、ハル・ホルブルック、ジョン・ハウスマン、トム・アトキンスといった渋い脇役たちも面白い。

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『最後の銃撃』

2022-01-03 08:55:26 | 復刻シネマライブラリー

『最後の銃撃』(56)復刻シネマライブラリー

 かつては腕利きのバファローハンターだったサンディ(スチュワート・グレンジャー)。今は小さな牧場を営んでいるが、バファローの暴走によって、牛たちが踏みつぶされ、生活は困窮していた。

 そんな中、チャーリー(ロバート・テイラー)という男がサンディをバファロー狩りに誘う。だが、バファローの群れに遭遇すると、狂ったように撃ちまくるチャーリーに対し、サンディはためらいを感じる。やがて、独善的なチャーリーの行動に嫌気がさしたサンディは、毛皮を持って、一人で町へと戻っていくが…。

 テイラーがニューロティック(神経症)的な異様な男を怪演するダークな西部劇。製作ドア・シャーリー、監督・脚本はリチャード・ブルックス。バファローは、サウス・ダコタの国立公園で保護されているものを映したらしい。

 チャーリーとサンディのほか、主な登場人物は、バッファローの皮はぎ名人のウッドフート(ロイド・ノーラン)、白人とインディアンとの混血少年ジミー(ラス・タンブリン)、インディアン娘(デブラ・パジェット)。それぞれが好演を見せるが、『折れた矢』(50)に続いてインディアン娘を演じたパジェットが可憐だ。

 この映画では、インディアンにとって神聖な精霊の使いとされる「白いバッファロー」の存在がクローズアップされるが、これは後にチャールズ・ブロンソン主演の『ホワイト・バッファロー』(77)でも描かれた。また、バファローの乱獲の様子はケビン・コスナー監督・主演の『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)にも登場する。

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『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

2022-01-03 07:18:53 | 新作映画を見てみた

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』(2021.12.6.ソニー・ピクチャーズ試写室) *ネタバレあり

 『ゴーストバスターズ』(84)『ゴーストバスターズ2』(89)の続編。今回は、両作の監督アイバン・ライトマンの息子のジェイソン・ライトマンが監督をした。

 住む場所を失ったシングルマザーのカリー(キャリー・クーン)と息子のトレバー(フィン・ウルフハード)と娘のフィービー(マッケナ・グレイス)は、亡くなったイゴン・スペングラー博士から相続したオクラホマ州サマービルの荒れ果てた農家に引っ越す。

 スペングラー博士(ハロルド・ライミス)はかつてゴーストバスターズの一員だった。彼らがニューヨークでゴーストたちを封じ込めてから30年。ゴーストたちがサマービルに出現する。フィービーと仲間たち(ポール・ラッド、ローガン・キム、 セレステ・オコナー)はゴースト退治を試みるが…。

 これまでは父の映画とは一線を画すようなインディーズ系の映画を主に撮ってきたジェイソンが父にすり寄った感じがした。根底にあるのは、家族の絆の再生であり、祖父の秘密を知り、後継者たらんとする主人公のフィービーはジェイソンの分身なのかもしれないと思った。

 さらに、オリジナルはもとより、1980年代のテイストが満載。特に、子どもたちの宝探しを描いた『グーニーズ』(85)や怪物が田舎町を荒らす『グレムリン』(84)といったアンブリンの製作映画をほうふつとさせる。ロブ・シモンセンの音楽もジョン・ウィリアムズ風に聴こえる。

 ほかにも、『クジョ―』(83)『チャイルド・プレイ』(88)の引用もあり、ラストは『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』(83)を思い起こさせるのだから念が入っている。ジェイソンが子ども時代に見て楽しんだ映画を思い切り入れ込んだ感じがする。

 おまけに、オリジナルメンバーの、ビル・マーレー、ダン・エイクロイド、アーニー・ハドソン、シガーニー・ウィーバー、アニー・ポッツが総登場し、ライミスも意外な形で現れるに至ると、「ずるいぞ」と思いながらも、ほろりとさせられた。

 そして、タイトルの「アフターライフ」には、メンバーの中でただ一人亡くなったライミスへの追悼の意が込められていることに気付くのだ。

 ただ、これは懐かしさからくる感慨であり、オリジナルを知らない若者たちの目にはどう映るのだろうかと思った。惜しむらくは、ちょっとシリアスになり過ぎて、コメディ味が薄れたところか。

 そういえば、メインキャストの4人を全員女性にした女性版の『ゴーストバスターズ』(16)が作られたが、あれはなかったことにしたのかな。

『ゴーストバスターズ』から『ゴーストバスターズ2』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0f18add7c816a94df3cd707926616924

『ゴーストバスターズ』(16)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/31d50ab32823b5545d36a588c729ec82

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