田中雄二の「映画の王様」

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『ソローキンの見た桜』

2019-01-09 09:02:08 | 新作映画を見てみた
 日露戦争下、松山に実在したロシア兵捕虜収容所を舞台に、日本人の看護師ゆい(阿部純子)と、ロシアの将校ソローキン(ロデオン・ガリュチェンコ)の許されない愛を描く。基は史実とフィクションを融合させたラジオドラマで、惹句は「日露戦争時代のロミオとジュリエット」。



 監督・脚本の井上雅貴は、アレクサンドル・ソクーロフ監督の『太陽』(05)にスタッフとして参加し、ロシアで映画修業。先に自主映画の『レミニセンティア』(16)監督でデビューを果たした。また、この映画で収容所の所長を演じたイッセー尾形は『太陽』で昭和天皇を演じた。ロシア通の彼らが中心にいることが、この映画の強みだ。

 井上監督とは『レミニセンティア』上映の際に少し話をした。あの映画は、奥さんのイリーナさんがプロデュースし、娘の美麗奈ちゃんが重要な役で出演していた。いわば、ロシアを舞台に“家内制手工業”で作られた映画だったのだが、そこからこの映画のことを考えると、何だか旧知の人が出世したのを目の当たりにしたような気がしてうれしくなった。

 これは、デビュー作『フルートベール駅で』(13)の日本公開を前に、小さな試写室で少し話をしたライアン・クーグラーが、その後手掛けた『クリード チャンプを継ぐ男』(15)『ブラックパンサー』(18)を見た時の感覚に通じるものがある。

『レミニセンティア』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a2c6aee503d2791fdd5ab660086cda4b

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