久しぶりの日本人横綱稀勢の里の誕生合わせたかのように文庫化された歴代の横綱経験者たちへの貴重なインタビュー集。女性が聞き手というのが新鮮だ。
登場するのは、若乃花(初代)、大鵬、栃ノ海、佐田の山、北の富士、琴櫻、輪島、北の湖、若乃花(二代)、三重ノ海、千代の富士、隆の里、双羽黒、北勝海、大乃国、旭富士、曙、武蔵丸、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜。
初代若乃花以外は、現役時代を知っているので、こちらの思い入れや懐かしさも手伝って一気に読んでしまった。若乃花が栃錦を、大鵬が柏戸を、北の富士が玉の海を、輪湖が互いを、武蔵丸が貴乃花を、とライバルを語る時が最も生き生きとする。その意味では、本書の惜しむべき点は、若貴が語る曙、武蔵丸がなかったことか。白鵬の悲劇は良きライバルを持てなかったことにあるのではないかとつくづく思う。