これも41年ぶり
舞台は1873年の米ネバダ州。騎兵隊の砦でジフテリアが発生し、部隊の全滅が危ぶまれる中、補充隊員を乗せた軍用列車内で連続殺人事件が起きる。原題が「ブレークハート峠を越えろ」とあるように、SLが走る鉄道が陰の主役。『レッド・サン』(71)『ホワイト・バッファロー』(77)と並ぶ、チャールズ・ブロンソン主演の“変化球ウエスタン”だ。
ブロンソン演じる、けちな賭博師、実は秘密捜査官のディーキンが事件を解決に導くのだが、この男、医術の心得があるばかりでなく、巨漢のコック(ボクシングの元ライトヘビー級王者アーチー・ムーア)を列車の屋根から突き落とし、最後はSLまで運転してしまう…という八面六臂の大活躍を見せる。おまけにいつもの通り、愛妻のジル・アイアランドが共演し…とまさにブロンソンの独り舞台映画になっている。
その性か、監督トム・グリース、原作、脚本アリスティア・マクリーン、撮影ルシアン・バラード、音楽ジェリー・ゴールドスミス、アクション監督ヤキマ・カヌット、という強力スタッフによる、『オリエント急行殺人事件』の西部劇版を期待させた割には、平凡な作品になってしまった。
とは言え、今回は、ベン・ジョンソン(保安官)、チャールズ・ダーニング(列車長)、エド・ローター(騎兵隊指揮官)、ビル・マッキニー(牧師)、デビッド・ハドルストン(医師)、ロイ・ジョンソン(機関手)といった脇役たちと再会できたことがうれしかった。中でも珍しく善人役を演じたローターの活躍がピカイチ。