小泉八雲の「むじな」で思い出したのだが、昔の教科書に載っていた小説や詩、エッセー、評論の中で、心に残っているものがたくさんある。
小学校編(『小学校国語』学校図書)
赤いろうそくを拾った猿と動物たちとのやり取りをユーモラスに綴った
「赤いろうそく」(新美南吉)
貧しい老夫婦が、雪の中、道端の地蔵にすげ笠をかぶせてやると…という昔話
「かさじぞう」(瀬田貞二)
堤防の穴を見つけたオランダの少年ハンスが、一晩中腕を穴に差し込んで村を洪水から救ったという実話
「ハーレムの少年」(作者不詳)
*どうやら、メアリー・ドッジという米国の作家が創作した話らしい。
ずっと実話だとばかり思っていた。
自分が摘まれることで雨を降らせて小魚を助けたいと願うヒルガオの自己犠牲を描いた童話
「はまひるがおの小さな海」(今西祐行)
タンボはハンターから動物を救うため、得意の太鼓を合図に使う。自然への畏敬と命の尊さを描いた
「アフリカのたいこ」(瀬田貞二)
イタリアを舞台に、10歳の少年の日記という形で進行する連作集からの一編
「争い~『クオレ』」(エドモンド・デ・アミーチス)
十和田湖でのヒメマス養殖に尽力した和井内貞行の評伝
「十和田のひめます」(関英雄)
算数の問題に苦しむ少年が答えを見つけ出すまでを描く
「ひとりでとけた問題」(ニコライ・ノーソフ)
「私」と猟師が見た月の輪グマの母子の愛情を描いた
「月の輪ぐま」(椋鳩十)
夏の盛り、身重のお母さんのために少女が夏みかんを買いに行く様子を綴った
「夏みかん」(壷井栄)
秋田の八郎潟にまつわる民話を自己犠牲の精神から描いた
「八郎」(吉沢和夫)
トキの学名がなぜニッポニア-ニッポンになったのかを探る
「ニッポニア-ニッポン」(作者不詳)
厨子作りに没頭する若い仏師の姿を描いた
「玉虫のずしの物語」(平塚武二)
可能性の大きさを綴った詩
「ここに手がある」(江口榛一)
マリアナ海溝に潜った深海探査船のドキュメント
「一万一千メートルの深海へ」(ジャック・ピカール)
1本の楡の木の視点で北海道の変遷を描いた
「にれの町」(百田宗治)
老狩人と利口な雁の知恵比べを描いた
「大造じいさんとがん」(椋鳩十)
幕末から明治にかけて、数奇な運命をたどった中浜万次郎の評伝
「ジョン万次郎」(野村純三)
火山弾のベゴを擬人化し、その泰然自若な姿に賢治自らの理想を反映させた
「気のいい火山弾」(宮沢賢治)
国境に派遣された老人と若者の出会いと別れの中に、戦争の空しさを静かに描き込んだファンタジー
「野ばら」(小川未明)
アルザス地方を舞台に、戦争のため、最後の授業となったアメル先生の教室を描いた
「最後の授業」(アルフォンス・ドーデ)
廃業した造り酒屋の隠居と孫のふれあいをほのぼのと描いた
「分銅屋のえんとつ」(氏原大作)
満点の星が輝くモンゴルを舞台に、日本人の「私」と中国人のチャンくんとの友情や正義感について描いた
「カルガンの星の歌」(佐々木望)
ラジウムを発見したマリ・キュリーの評伝
「キュリー夫人」(作者不詳)
人間の顔に見える岩肌に、そっくりな顔の偉人が現れるという言い伝えを描いた不思議話
「いわおの顔」(ナサニエル・ホーソーン)
以前、教科書図書館を訪れて“再会”した時は感慨深いものがあった。↓
http://www.textbook-rc.or.jp/library/index.html