TAMO2ちんのお気持ち

リベラルもすなるお気持ち表明を、激派のおいらもしてみむとてするなり。

歴史を切り開いた人は大抵犯罪者である

2013-11-21 19:58:00 | 幻論
 多くの明治の元勲の写真を見れば、分かる人には分かる。「あ、人殺しの面だ」と。さて。日韓馬鹿対決が丁々発止と政府高官レベルで行なわれている今日この頃、さすがの俺も韓国側の肩を持ちたい騒動が起きている。言うまでもなく安重根に対する評価を巡ってだ。

 小生の眼から見て、安重根による伊藤博文暗殺はアジアにおける大きな悲劇だと思う。伊藤公は、日韓併合に反対していたが、首相という立場ゆえに殺された。伊藤の死の理由は、彼個人の思想とは全く関係がない。だが、彼の政治とは不可分であった。政治、歴史とはこのような悲劇の重なりが随所に見られる。アジア主義の日本の右翼は、暗殺後、安重根の除名嘆願活動などを行なったという。当然のことであり、彼ら右翼こそが、近代日本の最良質の精神を育んでいたと小生は思う。

 安重根は、ささやかながらも抗日義勇軍である「大韓義軍」を組織し、そのメンバーとして暗殺を実行した。その点では、成果を挙げた優秀な闘士であると言えよう。小生が尊敬する数少ない戦後右翼の野村秋介氏も、安重根を尊敬していたとのこと。安重根の看守らは、彼の人格と見識に触れ、尊敬するようになっていったとのこと。まあ、こういうことは歴代のテロリストに多く見られることである。

 さて、安重根を「犯罪者」として単純に退ける日本政府の態度にはどのような意味があるのだろうか? テロは言うまでもなく犯罪である。だが、「犯罪者だから全て否定すべき」となれば、多分歴史上の人物の殆どは全て否定されるべきであろう。まず始めに、最初に書いた明治の元勲。どれだけ人殺しに手を染めていたか。「八重の桜」でも見るがいい。で、問題は誰にとっての犯罪か?ということになる。その時の支配者、あるいは政府にとって、である。そして苛烈で可塑性のない政策こそが、テロを生むのだ。これを無視する人間は偽善者か悪党かバカである。大日本帝国は大東亜戦争により手ひどい打撃を受け、敗北し、それを総括・清算することで天皇=国体は生きながらえることをアメリカに許され、そして戦後はある。ちなみに朝鮮は南北に分断され──「分断し」と小生は言いたいのだが──、南朝鮮は「大韓民国」を名乗り、アメリカの軍事的庇護の下に存在している。現在の日本国は(アメリカの力によって)戦前を否定することで存在を許されているのだ。だから、戦前に「犯罪者」とされた者の評価については、極めて慎重に行なわれなくてはならない。小生は、犯罪と評価は分けられるべきであると思う。

 こういう点から、現政府が安重根のことを単純に犯罪者呼ばわりすることの深刻な意味が分かることと思う。世界、特に日本の宗主国(笑)に対する挑発行為であるのだ。そして、大日本帝国の時代のルサンチマンを、今も抱えていることを示しているのだ。安倍首相は、意識してかそうでないかはともかく、反米的表出を行なっている。今回もそのようなものとして考えなくてはならない。少なくとも、国際社会はそう受け取るだろう。

コメント (9)
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