『「ファインマン物理学」を読む 普及版 ──電磁気学を中心として』(駐煬O著、ブルーバックス)
電磁気学の初学者が、「なんだか良く分からない」という状態になったとき、読むと良さそうな本。ファインマン先生の本に倣い、いきなり時間の偏微分項を含むマクスウェルの方程式から入る。div, rotなどを知っていたら、右ねじの法則などで理解出来るだろう。符号の意味も分かりやすく書いている。そして、これが大事なのだが、「電場(E)」と、「磁束密度(B)」と真空の誘電率ε0、光速cのみで表現している。多くの教科書は電束(D)、磁場(H)、電気分極(P)、真空の磁化率(μ0)が入ってとてもややこしく、訳が分からなくなる。この本は枝葉の説明は少しにし、EとBのみで殆ど説明している。なので、色々な物がすっきりと入ってくる。但し、ある程度は電磁気学やベクトル解析を理解していないと厳しいかも。そして、最初から電磁気学は相対性理論と無縁ではないことが分かりやすく説かれている。「正の電荷が導線を流れる電流と同じ方向で動けば引き合うが、だが座標を正の電荷と同様に動かすと、反発する」という矛盾は、相対性理論なしでは解決不能。古典的電磁気学は、相対性理論を加味した電磁気学と、量子電磁気学の近似なのだ。
前半は教科書っぽいが、後半は面白くて「ほぉ!」という話ばかり。偏光とは何か。ファインマン図。くりこみ理論。電磁気学は古典であれ、量子電磁気学であれ、「電子は無限のエネルギー」ということになるが、それを回避するための理論らしい。「裸の」電子の質量は9.1x10^(-31)kgではないという話は面白い。また、「くりこみ」なので、0次、1次、2次、、、、と無限に求めることが出来るというのも興味深い。
最後に、ファインマン先生がロスアラモスで原爆開発に携わった苦悩は、理論物理学者と雖も歴史の理不尽から逃れられない話と思った。
電磁気学の初学者が、「なんだか良く分からない」という状態になったとき、読むと良さそうな本。ファインマン先生の本に倣い、いきなり時間の偏微分項を含むマクスウェルの方程式から入る。div, rotなどを知っていたら、右ねじの法則などで理解出来るだろう。符号の意味も分かりやすく書いている。そして、これが大事なのだが、「電場(E)」と、「磁束密度(B)」と真空の誘電率ε0、光速cのみで表現している。多くの教科書は電束(D)、磁場(H)、電気分極(P)、真空の磁化率(μ0)が入ってとてもややこしく、訳が分からなくなる。この本は枝葉の説明は少しにし、EとBのみで殆ど説明している。なので、色々な物がすっきりと入ってくる。但し、ある程度は電磁気学やベクトル解析を理解していないと厳しいかも。そして、最初から電磁気学は相対性理論と無縁ではないことが分かりやすく説かれている。「正の電荷が導線を流れる電流と同じ方向で動けば引き合うが、だが座標を正の電荷と同様に動かすと、反発する」という矛盾は、相対性理論なしでは解決不能。古典的電磁気学は、相対性理論を加味した電磁気学と、量子電磁気学の近似なのだ。
前半は教科書っぽいが、後半は面白くて「ほぉ!」という話ばかり。偏光とは何か。ファインマン図。くりこみ理論。電磁気学は古典であれ、量子電磁気学であれ、「電子は無限のエネルギー」ということになるが、それを回避するための理論らしい。「裸の」電子の質量は9.1x10^(-31)kgではないという話は面白い。また、「くりこみ」なので、0次、1次、2次、、、、と無限に求めることが出来るというのも興味深い。
最後に、ファインマン先生がロスアラモスで原爆開発に携わった苦悩は、理論物理学者と雖も歴史の理不尽から逃れられない話と思った。