TAMO2ちんのお気持ち

リベラルもすなるお気持ち表明を、激派のおいらもしてみむとてするなり。

読書メモ:『リンダ リンダ』

2005-11-05 23:31:56 | 読書
『リンダ リンダ』(鴻上 尚史著、白水社)

 時代感覚的にはすっとぼけた若者がロックをしていて、その生き方もロックでなければならないというこれまた時代遅れの感覚でもって、仲間を取り返すために鞫§p(作品ではアザハヤ湾)のギロチンを爆砕しようと決意する。

 それを口走っているだけだったら良かったのだが、元新左翼党派幹部のテロ実行隊員と思しきおじさんに聞かれ、革命的警戒心(笑)の欠如を咎められつつ、仲間規定されて爆弾作りに走ってしまう。仲間も巻き込まれる。さらにさらに、現役警察官も「本物のロッカーだ!」ということで、巻き込まれる。爆弾技術は、コンサートの仕鰍ッだと信じて。

 場面場面では適切にブルーハーツの歌をちりばめ、走るような、場面転回をしながら話は進む、軽快な青春小説である。その中に、「闘争″チ折」ばかりの戦後のドンツキの思想(難しいものじゃなく、大衆の実感レベルの)状況を反映させる。闘っても無駄、権力に対抗するのは無駄、そんなことを夢想しても人生を棒に振るだけだ。ギロチンは下がったままじゃないか。漁師の訴えは聞かれず、漁師は漁を捨て、堤防作りの会社を興す。

 確かにそうだ。だけど、それで満足か? やっぱり、爆破したいじゃないか。使われなかったブルーハーツの歌にこんなのがある。

 世界のまん中

 朝の光が 待てなくて
 眠れない夜もあった
 朝の光が 待てなくて
 間違った事もやった
 僕が生まれた所が世界の片隅なのか
 誰の上にだって お日様は昇るんだ

 (略)

 うまくいかない時
 死にたい時もある
 世界のまん中で生きてゆくためには
 生きるという事に 命をかけてみたい
 歴史が始まる前
 人はケダモノだった


 若い日、滅茶苦茶な世の中の実相を知ると、それを破壊したくなる。次に、その実相がそれなりに根拠もあり、それを破壊することの「危険」を知ると、臆病になる。だが、さらに実相を知ると、どうにかちったあマシに変えられるじゃないか、性急じゃないにせよ、と感じられる。小生は、今はこの段階。次は知らぬ。

 この小説では警察官メンバーが「証拠隠滅マン」となって、破滅を防いだ。その終り方の是非はあろう。だが、大人の態度と見ることも出来る。破滅は防いだが、何も変わらなかったとも。だけど、この方法は問題解決の先送りに過ぎない。トロツキー流に言おう。「次は何か?」


 そうそう。この小説のネタのひとつであった、三里塚管制塔占拠事件の被告への損害賠償請求という筋の通らぬ話――というのは、この闘争の原因は国家の側にあったことを国家が謝罪したにも係わらず、損害賠償を請求すると言うことは、本心では謝罪していないということを示す――に、心を通わせた数千の人々のカンパが、被告たちの生活防衛という「闘争」を成功裏に終結させそうである、ということを記しておきたい。2ちゃんねるのニュー速+の関連スレを少しだけ見たが、奴隷の理論をインプラントされている人の何と多いことか。小生のような極右は無縁でありたい。最近仲良く?議論している某右翼氏が「2ちゃんねる的ウヨが一杯増えても、右翼の力が増したとはとても言えないですよ」と言ったのは、根拠がある。右翼は本質的に今あるシステムへの反逆者だからだ。それには右も左もない。
コメント
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