6月13日 11時 有楽町マリオン前でのリレートークに参加しました。いま参議院で審議されている「海賊対処法案」を廃案にさせるためのものです。自由法曹団とマスコミ関係者(日本ジャーナリスト会議、マスコミ文化情報労組会議、マスコミ関連九条の会連絡会)によることし3回目の行動です。
海賊対処を名目にしていますが、なんのことはない いつでも、どこへでも、自衛隊を海外に派兵できるようにするための露払いの法律なのです。誰かが計算していましたが、いままでにかかった一隻あたりの護衛費は5000万円といいます。
アデン湾、スエズ運河を通ると通行料金などでかかる費用は2000万円。「海賊」を避けて、アフリカ南端を回っていくとしても2000万円(燃料費でしょうね)だといいます。一隻5000万円なら、余った3000万円をソマリアの安定のために使った方が効果があるおいう計算です。納得ですよ。
リレートークでは、弁護士さんとマスコミの仲間がいろんな角度からこの法案の問題点をアピールしましたが。ぼくは「足利事件と日本テレビ」という切り口でこの法案を廃案に追い込もう、みなさん関心をもってくださいよ と訴えたのです。
足利事件と「海賊対処法案」にどんな関係がある?
事件と法案の内容ではなく、重要な問題とテレビ報道についてなのです。
日頃、あまり見ていない日テレのニュースを たまたま見ていたら、17年ぶりに釈放された菅家利和さんが、晴れ晴れとした表情で生出演していたのです。どうやら日テレが最初のようです。「おや!」と思いましたね。
友人のノンフィクション作家Tさんと久しぶりに会った時、「日テレの取材はすごいね。地道な調査報道が、再審前に釈放という画期意的な事態をつくりだしたのだよ」と教えてくれたのです。知らなかったでは済まされませんね。
あわてて取材担当者を探し始めましたよ。
やっと探し当てて、はじめて日テレの新社屋を訪ねましたが、セキュリティーが厳しくなっていましたねえ。昔はこんなことはなかった。外部の人が不愉快になるようなことはありませんでしたからね。
ま そんなことはここでは重要ではありません。大事なことは日テレの報道なのです。
足利事件の再審請求即時抗告審で、無期懲役刑の執行停止によって、逮捕から17年ぶりに釈放された菅家利和さんについて、最高検の伊藤次長検事は6月10日、記者会見して、「検察としては、真犯人と思われない人を起訴し、服役させたことは、大変申し訳ないと思っている」と述べて、検察として初めて謝罪したことはご存知ですね。再審前に、無罪を前提に検察が謝罪するのは極めて異例のことだと思います。
どうして「極めて異例のこと」が起きたのか。
弁護団や国民救援会などの長年にわたる努力の結果であることはもちろんですが、ここでは、日本テレビ報道局社会部の「未解決事件取材班」の地道な調査報道活動に注目したいのです。
日テレがこの事件に関わり合うようになったきっかけは、昨年1月6日にスタートした報道特別番組『アクション』です。社会的問題を取り上げて、「それが1年後にどうなっているか」を検証するというのが番組企画意図です。5~6本のテーマの中に、栃木・群馬県境20キロ圏内で5つの幼女事件が、「北関東連続幼女誘拐・殺人事件」として入っていました。連続事件と仮定されていた中で、「なぜか1件だけ解決しているのは、おかしい」(取材班キャップのS記者)ことに注目したのが足利事件でした。S記者とSレポーターの調査がはじまります。
すでに発売されていたノンフィクション作家・小林篤さんの「幼稚園バス運転手は幼女を殺したか」も参考にされたようです。小林さんが書くきっかけになったのは、ある雑誌社の編集者のデスクの上に無造作に置かれていた足利事件「控訴趣意書」です。このことに触れると長くなりますので、ここでは省略します。
S記者の話には惹きこまれましたね。小林篤さんが言っていた「取材班の独自調査は半端じゃなかった」という言葉通り、DNA鑑定についてのアメリカ取材、被害者の母親への取材、目撃者探し、そして取材は徹底していましたね。警察当局の取材拒否にもあっています。
取材結果は、日テレの夕方の番組『リアルタイム』、夜のニュース『ZERO』、日曜日の特番『バンキシャ』で、22回にわたってその都度放送されていたのです。
番組のブログもあるというので見ました。そこでの報告は28回です。警察当局が、「なんだあの番組は」「おれたちの敵だ」と言っていたそうですよ。
S記者と菅家さんとの付き合いは、文通ではじまっています。受刑者と会うことはできなかったのです。長い間の文通で、信頼関係は着実につくられていきました。
菅家さんが釈放され、マイクロバスで送られますが、マイクロバスの中にはS記者がカメラを持って乗っていました。報道番組に出演したのは日テレが最初です。
菅家さんは、「コーヒーを飲みたい。寿司を食べたい。カラオケにいきたい」と。
カラオケでは橋幸夫、石原裕次郎などの歌をたてつづけに20曲うたったそうです。これらのスクープ映像は、信頼関係なしにはせいりつしません。
一般には、「スクープ」が評価の対象になっていますが、ここでの評価はそうではありません。地道な調査活動と連続放送なのです。
テレ朝の『サンデープロジェクト』が注目しはじめたのは、日テレの放送から6か月経ってから。その他の社は「冷めていた」のです。
各社が扱いはじめたのは、DNAの再鑑定の動きからです。
ぼくが聞いたS記者の話は、ほんの一部でしょう。取材班の苦労はまだまだあるはずです。
ある集会で、東京新聞の半田滋記者が、「最近の報道の劣化はどこからきているか」という質問に対して、「記者は事実の検証を怠っている」「事実から遠ざけられている」「疑ってかかることをしない」と言っていましたが、たしかに その日その日に追われて、地道な調査活動から遠ざかっているのが現状なのでしょう。
日テレの足利事件報道は、「おかしい」と言い続けたのです。検察の「異例の謝罪」をつくったといってもいいすぎではないでしょう。
日テレは、「岐阜県庁裏金問題」で一時ミソをつけたことがありましたが、今回の調査報道で一気に息を吹き返したといえるでしょう。日テレの「未解決事件取材班」に、こころから拍手です。
有楽町マリオン前で、「報道が社会を変えるきっかけをつくることができる」「海賊対処法案」も、調査報道の如何にかかっている」と発言させてもらったのです。そのあと、川崎の革新懇話会でも話をしましたが、そこでも同じ話題に触れました。いま、テレビ報道も頑張り時です。
海賊対処を名目にしていますが、なんのことはない いつでも、どこへでも、自衛隊を海外に派兵できるようにするための露払いの法律なのです。誰かが計算していましたが、いままでにかかった一隻あたりの護衛費は5000万円といいます。
アデン湾、スエズ運河を通ると通行料金などでかかる費用は2000万円。「海賊」を避けて、アフリカ南端を回っていくとしても2000万円(燃料費でしょうね)だといいます。一隻5000万円なら、余った3000万円をソマリアの安定のために使った方が効果があるおいう計算です。納得ですよ。
リレートークでは、弁護士さんとマスコミの仲間がいろんな角度からこの法案の問題点をアピールしましたが。ぼくは「足利事件と日本テレビ」という切り口でこの法案を廃案に追い込もう、みなさん関心をもってくださいよ と訴えたのです。
足利事件と「海賊対処法案」にどんな関係がある?
事件と法案の内容ではなく、重要な問題とテレビ報道についてなのです。
日頃、あまり見ていない日テレのニュースを たまたま見ていたら、17年ぶりに釈放された菅家利和さんが、晴れ晴れとした表情で生出演していたのです。どうやら日テレが最初のようです。「おや!」と思いましたね。
友人のノンフィクション作家Tさんと久しぶりに会った時、「日テレの取材はすごいね。地道な調査報道が、再審前に釈放という画期意的な事態をつくりだしたのだよ」と教えてくれたのです。知らなかったでは済まされませんね。
あわてて取材担当者を探し始めましたよ。
やっと探し当てて、はじめて日テレの新社屋を訪ねましたが、セキュリティーが厳しくなっていましたねえ。昔はこんなことはなかった。外部の人が不愉快になるようなことはありませんでしたからね。
ま そんなことはここでは重要ではありません。大事なことは日テレの報道なのです。
足利事件の再審請求即時抗告審で、無期懲役刑の執行停止によって、逮捕から17年ぶりに釈放された菅家利和さんについて、最高検の伊藤次長検事は6月10日、記者会見して、「検察としては、真犯人と思われない人を起訴し、服役させたことは、大変申し訳ないと思っている」と述べて、検察として初めて謝罪したことはご存知ですね。再審前に、無罪を前提に検察が謝罪するのは極めて異例のことだと思います。
どうして「極めて異例のこと」が起きたのか。
弁護団や国民救援会などの長年にわたる努力の結果であることはもちろんですが、ここでは、日本テレビ報道局社会部の「未解決事件取材班」の地道な調査報道活動に注目したいのです。
日テレがこの事件に関わり合うようになったきっかけは、昨年1月6日にスタートした報道特別番組『アクション』です。社会的問題を取り上げて、「それが1年後にどうなっているか」を検証するというのが番組企画意図です。5~6本のテーマの中に、栃木・群馬県境20キロ圏内で5つの幼女事件が、「北関東連続幼女誘拐・殺人事件」として入っていました。連続事件と仮定されていた中で、「なぜか1件だけ解決しているのは、おかしい」(取材班キャップのS記者)ことに注目したのが足利事件でした。S記者とSレポーターの調査がはじまります。
すでに発売されていたノンフィクション作家・小林篤さんの「幼稚園バス運転手は幼女を殺したか」も参考にされたようです。小林さんが書くきっかけになったのは、ある雑誌社の編集者のデスクの上に無造作に置かれていた足利事件「控訴趣意書」です。このことに触れると長くなりますので、ここでは省略します。
S記者の話には惹きこまれましたね。小林篤さんが言っていた「取材班の独自調査は半端じゃなかった」という言葉通り、DNA鑑定についてのアメリカ取材、被害者の母親への取材、目撃者探し、そして取材は徹底していましたね。警察当局の取材拒否にもあっています。
取材結果は、日テレの夕方の番組『リアルタイム』、夜のニュース『ZERO』、日曜日の特番『バンキシャ』で、22回にわたってその都度放送されていたのです。
番組のブログもあるというので見ました。そこでの報告は28回です。警察当局が、「なんだあの番組は」「おれたちの敵だ」と言っていたそうですよ。
S記者と菅家さんとの付き合いは、文通ではじまっています。受刑者と会うことはできなかったのです。長い間の文通で、信頼関係は着実につくられていきました。
菅家さんが釈放され、マイクロバスで送られますが、マイクロバスの中にはS記者がカメラを持って乗っていました。報道番組に出演したのは日テレが最初です。
菅家さんは、「コーヒーを飲みたい。寿司を食べたい。カラオケにいきたい」と。
カラオケでは橋幸夫、石原裕次郎などの歌をたてつづけに20曲うたったそうです。これらのスクープ映像は、信頼関係なしにはせいりつしません。
一般には、「スクープ」が評価の対象になっていますが、ここでの評価はそうではありません。地道な調査活動と連続放送なのです。
テレ朝の『サンデープロジェクト』が注目しはじめたのは、日テレの放送から6か月経ってから。その他の社は「冷めていた」のです。
各社が扱いはじめたのは、DNAの再鑑定の動きからです。
ぼくが聞いたS記者の話は、ほんの一部でしょう。取材班の苦労はまだまだあるはずです。
ある集会で、東京新聞の半田滋記者が、「最近の報道の劣化はどこからきているか」という質問に対して、「記者は事実の検証を怠っている」「事実から遠ざけられている」「疑ってかかることをしない」と言っていましたが、たしかに その日その日に追われて、地道な調査活動から遠ざかっているのが現状なのでしょう。
日テレの足利事件報道は、「おかしい」と言い続けたのです。検察の「異例の謝罪」をつくったといってもいいすぎではないでしょう。
日テレは、「岐阜県庁裏金問題」で一時ミソをつけたことがありましたが、今回の調査報道で一気に息を吹き返したといえるでしょう。日テレの「未解決事件取材班」に、こころから拍手です。
有楽町マリオン前で、「報道が社会を変えるきっかけをつくることができる」「海賊対処法案」も、調査報道の如何にかかっている」と発言させてもらったのです。そのあと、川崎の革新懇話会でも話をしましたが、そこでも同じ話題に触れました。いま、テレビ報道も頑張り時です。