「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

わかりやすかった『サンデーモーニング』(TBS)の視点

2007-12-30 13:39:54 | Weblog
 年末になれば、各局ともそれぞれの「視点」で一年を振り返ります。
 テレビの前にへばりついているわけではないので、各局比較ということにはなりませんが、TBSの『サンデーモーニング』(30日)はよかったですねえ。
 この日は、時間枠を拡大して「格差と環境」をテーマにしていました。「格差」「環境」の共通点は ”人口増””CO2””石油消費量”。
 格差と環境は「いまに始まったことではない」「産業革命にさかのぼる」という紹介からはじまりましたね。技術の発達で 大量生産 大量消費。エネルギーは石炭。資本と労働が分かれていきます。はやくも労働者の賃金切り下げがはじまります。
 やがて 大国による植民地支配。資源を求めての「第一次世界大戦」。
 大戦後のファシズムの台頭。そして「第二次世界大戦」。
 1940年代、アメリカの歌姫ビリー・ホリデーの歌が流れます 「強いものはますます富み、弱いものはますます貧しくなる・・・・」という歌詞です。


 誰かが「”いまに始まったことではない”も重要だが ”いま始まったこと”を見ることも重要」といいます。
 『ダーウィンの悪夢』というドキュメンタリーの一部が紹介されます。アフリカのヴィクトリア湖は多くの種類の魚がいて 住民は自給自足で生活を営んでいたのですが(誰が放ったのか)ナイルパーチという大魚が繁殖したことで、生活は一変するのです。この魚が(輸出できるというので)商売になると知った資本家が、工場をつくります。雇用される人数には限度があります。環境破壊と格差の発生が まるで絵に描いたように見えてきます。


 話はいまの日本へと展開します。
 新自由主義(市場原理主義)の導入です。
 日米構造協議という名のアメリカからの要求(黒船の再来)です。「改革」という名の「規制緩和」がはじまります。小泉純一郎は「”改革”は悪いことではない」といいつづけます。竹中平蔵は「頑張れるところから頑張る。そして底上げする」といいます。
 その結果は 「労働者派遣法」(ネットカフェ難民 ワーキングプアの続発)であり郵政民営化などなど。
 夕張市に代表される地方自治体の苦悩。北九州市での孤独死は4月から9月までで24人だそうです。
 「勝ち組が引っ張る」といっていたのですが、「底上げ」どころか「格差」は拡大の一途です。富める者はさらに富み、貧しいものはますます貧しくなる。このままでは この図式は変わりません。利益の拡大は格差の拡大につながっているのです。環境問題もこれに連動していることを この番組は訴えつづけました。

 コンパクトでわかりやすい内容でしたね。
 一時期 「軍事費を削って福祉に回せ!」という要求にピンとこない向きもあったようですが いまはどうでしょう。国の予算の使い方、政治の在り方がいまほど見えやすくなっている時期はないんじゃないでしょうかね。
 亀田問題など いろいろ問題をかかえたTBSでしたが 『サンデーモーニング』のスタッフに拍手を送りますよ。月に一度は こんな特集(わかりやすいもので)をつくってください。もし視聴率を気にするなら こんな「視点」のものであれば必ず視聴する人は多いはずです。

 さて 来年は「子」年。干支もはじめに還ります。
 ぼくも 心機一転 健康にだけは気をつけていくつもりです。
 どうぞ いい年をお迎えください。
 外は強い風が吹いています。悪いものは吹き飛ばして・・・などと思ったりしがちですが 風に頼るようではダメですね。


あ 忘れていました。番組は最後にガンジーの言葉を伝えていました。たしか「私が目指す最大の幸せは すべての人が幸せになること」だと。