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廃棄物焼却と被曝の関連性

2016-12-26 08:09:16 | 環境
ひろがる内部被曝 Q&Aプラス最新解説
矢ヶ崎克馬
本の泉社


 1987年9月10~13日ブラジルのゴイアニアでは、廃院に捨てられていたセシウム137入り(93g/50.9Tbq)の医療用装置が盗み出され、廃品回収業者に売り渡された後に、249人が被爆。内20名が急性障害、内4人が死亡し、1人は腕半分を切除となり、3万4000人以上が汚染検査を受けるという事故が発生した。国際原子力事象評価尺度ではレベル5と認定された。29日にゴイアニアに来ていた放射線医学専門家が測定をした事により事件が発覚した。約半年の除染作業の末、汚染廃棄物はドラム缶で3800本、コンテナ1400個、合計3500立方mにも及ぶ汚染廃棄物を出した。教訓として「プライマリ・ケアに携わる医師は、他で説明できない症状を呈する患者がいた場合、いつでも放射線障害を疑うべきである」とWikipediaに記述されている。
 この事件だけ考えても福島第一原発事故がもたらす健康被害が膨大なものとなるのは確実である。
 被曝影響を考えると、個人的に蘇る案件がある。かつて、所沢ダイオキシン闘争と呼ばれた産業廃物焼却に伴う健康被害である。埼玉県所沢市・狭山市・三芳町の境目付近にあるとくぬぎ山周辺に産業廃棄物業者が軒を連ね、小型の焼却炉で産業廃棄物の焼却処理をおこなっていた。
 当時、新進党が国会で所沢市におけるダイオキシン被害について国会で厚生労働省を追求した。流産の多発と、手首から先がない子供(写真を掲げて)が生まれたと国会答弁で述べている。これに対し厚労省はダイオキシン汚染との関連について否定的な見解を示した。
 私自身が隣接しているふじみ野市(旧上福岡市)に在住しており、三芳町や所沢市の知人で病んでいる人が多かった記憶がある。精神病を患って長期休職中の人や、酷いアトピーの人や、癌による病死などの人々がいた。周囲の動物にも変化が見られ、飛べなくなった鳥を見たという証言も得た。産廃業者に隣接する市立柳瀬中学校の女生徒が校庭で運動中に突然死したという事も聞いた。突然死する原因は何か。ダイオキシンや重金属では突然死はしない。化学物質漏洩なら、周囲の人間にも変化が見られたであろう。
 ダイオキシン闘争も下火になった頃、市民団体の人に誘導されながら、関連施設を見て回った。くぬぎ山周辺の「産廃銀座」も見て回った。焼却灰を道に刷り込んでいるので、道路が凸状になっていた。産廃業者が焼却灰を敷地に鋤き込んで、敷地がせり上がっているところもあった。医療産業廃棄物引受業者の前に来ると、何か燻っているようで煙い。最盛期に抗議活動に来た若い学生の中には、その医療産業廃棄物業者の敷地前に来たら「鼻血」が出たそうである。鼻血はα線急性被曝症状の一つである。
 数々の話題作を撮影した伊丹十三監督はNHKスペシャル「医療産業廃棄物の闇」作成中に亡くなった。医療産業廃棄物が随意で特定業者に回収され、処理過程が不明瞭であるという趣旨であった。他殺が強く疑われた。
 産廃焼却に反対し訴訟を闘って人達は、汚染原因を3つ考えていた。ダイオキシン・重金属・放射能である。ダイオキシンで催奇性をもたらすのは極一部の分子構造を持つものだけであり、ダイオキシン測定も1兆分の1(ピコ)という極めて微量なレベルだった。健康被害をもたらすレベルで重金属が環境中に存在すれば、すぐに判明するだろう。しかし、放射能である場合は微量でも強い作用をもたらす。特にα線核種の吸引は極めて危険である。
 精神疾患も放射能による脳機能低下で説明できるし、鼻血や突然死も説明できる。推測になるが、医療産業廃棄物の中には検査や治療で使った放射性物質が付着しており、それらを焼却したため環境中にα線核種を含む放射能が拡散されて健康被害を発生させたと思われる。当然、放射線を扱う医療機器自体は管理されているが、治療に使用したガーゼや、注射器の中に残った放射性物質まで事細かに管理されているとは思えない。これらを野放図に焼却したために健康被害が出たと考えると辻褄が合う。
 2011年10月東京都世田谷区八幡山のスーパーで170μSv/hを観測した。雨樋排出孔付近や排水溝で次々と高線量箇所が見つかった。世田谷区八幡山の現場は千歳清掃工場から東方500mぐらいの地点だ。世田谷は西からの風が吹く地域である。付近一帯の植物に沈着した放射能が焼却場に持ち込まれる。千歳清掃工場の煙突から出た煙は西風に乗り東側に流れる。その煙を雨が叩き落とし、スーパーの排水路に堆積し、浸透した雨水が汚泥を蓄積し、高い放射線源となっているのだろう。
 後に岡山県に移住した小平市小児科医三田茂の証言では、首都圏では原発事故直後よりも血液中白血球の数値が低下が見られ、汚染ゴミ焼却が原因だと指摘している。
 ベラルーシでは人口密度が希薄なこともありゴミは焼却せず穴を掘って埋めている。ベラルーシやウクライナは森林火災による放射能汚染を抑止するために監視員を置いている。日本ではゴミを焼却処分するため、環境中に沈着した放射能が焼却施設を通じて再度大気中に放出されている。ゴミ焼却処分から考えても福島第一原発事故による悪影響がチェルノブイリを越えるのは必定である。


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