わんわんらっぱー

DIYやオーディオから社会問題までいろいろ書きます。

玉置成実 Gundam SEED (Destiny) 三部作

2018-08-26 17:54:04 | 音楽
(敬称略)かなり、大雑把な言い方をすれば、アニメ思想史的には(20)00年代はTBSプロデューサーの竹田青滋が主導したと行っても過言ではない。竹田はプロデューサーとして作品の内容に関与して政治的メッセージを込めて来た。
 商業的成功と政治的意思表現の両立は対抗概念ではない。作品に社会的な深みを与えることにより、一層現実味を帯びる。竹田の発案でGundam SEEDにおいて、従来型人類のナチュラルと、遺伝子操作をされた人造人間コーディネイターという対立構図が描かれた。その対立構造は現代における人種間の軋轢よりも遥かに大きなものであり、Gundam SEEDとはナチュラルと「スーパー人類」とも言えるコーディネーターとの相克と融和の物語なのである。

 Gundam SEED 50話+続編Gundam SEED Distiny 50話と合計100話であり、1クール作品全盛の現在から考えると恐ろしく長い尺であり、合計8クールもあったので、オープニングとエンディングの歌だけで16曲もあり、更に作品中に挿入歌や総集編で使用される歌も入れると、かなりの数になった。中島美嘉の「FIND THE WAY」などの名曲にも恵まれ、Gundam SEEDという作品を軸にして、多数のアーティストの才能が結集した。

 玉置成実はGundam SEEDの楽曲でデビューを果たした。
当時、若干14歳の玉置は音楽番組にて激しいダンスをしながら「Believe」を歌ったのである。スタジオが騒然としたのを覚えている。

玉置はOPED曲で3曲を担当した。

Gundam SEED 3期OP 「Believe」
Gundam SEED 4期OP 「Realize」
Gundam SEED Destiny 1期ED 「Reason」

 ダンスの複雑さや難易度から言えば、Realizeの方がBelieveを上回る。ぜひオリジナルのPVをみて欲しい。

 1987年のマドンナ来日公演で、日本の音楽シーンは震撼した。露出度の高い衣装も話題となったが、歌いながら極限を攻めるようなダンスを長時間演じたのである。
 後にSPEEDなどのダンスユニットが出てきて、激しいダンスをしながら歌い続ける事がある程度一般的にはなった。玉置はSPEEDのファンであったとされる。

 玉置のダンサーとしての能力とダンスアレンジはミュージックシーンを敷衍して見た上においても明らかに傑出している。Youtubeには香港でのイベントの映像があるが、ぜひオリジナルのPVを見て欲しい。
 私は楽曲の背後にGundam SEEDが描き出した壮大な叙事詩を感じ取って、玉置の演ずる以上の情感を抱いている可能性は高いが、それにしても、玉置のずば抜けた身体能力が繰り出すダンスに魅力されずにはいられないのである。

 玉置は2006年には「白銀の意思アルジェヴォルン」後期のEDを担当している。
私は再び玉置が重要なプレイヤーとして活躍することを願って止まない。




玉置成実 - HEARTBEAT青年音樂祭@香港動漫電玩節2012 (Part 1) (歌詞付き)


玉置成実 - HEARTBEAT青年音樂祭@香港動漫電玩節2012 (Part 2)(歌詞付き)



TRY UNITE! Megumi Nakajima

2018-08-02 20:21:32 | 音楽
(敬称略)音楽やアニメ評論は本当は可能な限り調べ尽くして、行うべきだという信念があるのだが、そんなことしていたら、自分の寿命の方が先に尽きてしまうし、時節的なものもある。なるべく同時代に思ったことを発信することに意味がある、とも思うようになった。
 ラジオを聞いていたら中島愛が登場。アニメ「輪廻のラグランジェ」のオープニング曲TRY UNITE!についても話が出てくるかな?と思ったら、やはり、出てきた。「まめぐ」にとっても、北欧出身の作曲家ラスマス・フェイバーRasmus Faberとの出会いが大きかったと述べている。

 2012年当時、輪廻のラグランジェのオープニングを見て驚愕したのである。
凄まじい映像密度と、裏声を多用した魅力ある歌声に、豊かな音楽性を含んだ編曲、それらが渾然一体となって迫ってくる。この[オープニング]こそは大画面・大音響が生きる作品であるし、アニメーション史上に残る屈指の傑作といえる。
 スタッフロールを見ると、オープニングアニメーションのために監督と作画監督が2人、原画が14人、第二原画が4人という布陣である。
 unite とは、合体させるという意味だ。物語としては3人の少女が協力しあいながら、困難を切り抜けていくのだが、そういった作品の雰囲気をまさにアニメーションとして演出するために物凄い動画量を詰め込んでいる。

 正直、「輪廻のラグランジェ」の物語そのものに特段の革新性があったという訳ではない。XEBECが得意とするSF・メカ・「異星人との遭遇」という要素に3人美少女を配し、無難に学園を舞台として、千葉県の鴨川というローカルな場所のご当地アニメとしての企画だったのだろう。
 普通、製作委員会に隠れてパチンコメーカーの名前は出てこないが、この作品はパチンコメーカーがスタッフロールに出てくる。当然パチンコにもなったようだが、作品イメージを壊すので、検索で出てきても見ないようにしている。

 アニメーションに使われた楽曲ということで言えば、マクロスフロンティア(2008)のインパクトが大きく、歌唱力で圧倒的に秀でていたMay'nの存在に押されていたかの感じもあった中島愛が、独特の魅力を引っさげて、再登場してきた、という一つの成功譚を見て、清々しい気持ちになったというのも、私に強い印象を残した理由の一つである。

Rinne no Lagrange OP HD 720p


TRY UNITE Megumi Nakajima OP Full Live


TRY UNITE!-Rasmeg Duo- リハーサル風景


輪廻のラグランジェ オリジナルサウンドトラック
flying DOG

【音楽】THE FIVE STAR STORIES GREEN and GOLD

2017-01-17 08:38:49 | 音楽
THE FIVE STAR STORIES GREEN and GOLD
日本コロムビア


敬称略
 永野護原作・作画の「ファイブスター物語」というマンガがアニメ雑誌「ニュータイプ」で連載されていた。角川で映画化もされ、人気絶頂の頃「ファイブスター物語」をイメージしたコンセプトアルバムの一つとして発売されたのが「GREEN and GOLD」である。
 本作「GREEN and GOLD」一連の関連音楽CD作品群からは突出した存在である。(言い回しを汲み取って欲しい)ボーカルを務めるのは5オクターブ半の音域を持つと言われる川村万梨阿。楽曲「バーニングブルー」では、そのハイトーンボイスをいかんなく発揮している。
 声量や表現力もあり、作曲そのものが川村ならではの歌い手としての力量を反映させるために作られたと言っても過言でない。
 プロデュースは根岸孝旨。名盤を産むのはプロデューサー次第という音楽界の定石通りの一作。音楽的な切れ味が映えるのは根岸の力量によるものだと推測される。
 私が本作を含めアニメ系サウンドトラック作品に思い入れがあるのは、音楽を通じて背後に映像や原作を透過して見ているからなのかもしれない。その点は差し引いても、前衛的な演出や、アルバム全体を通じての一体感、何か独特の世界観を作り上げようと歌い上げる歌詞内容と、美しいボーカルと確かな音程推移など、それらが渾然一体となって作り出される音響空間に身を置いていると、どこか郷愁的な感じすらする。


 惜しむらくはファースト版は音がくぐもった感じとなっている点である。同時代の他のアニメサントラはもっと音質は良い。本作が使用した「ドルビーSR」という録音方式の影響なのか、エンヤのような音響空間を作り出すためのオーバーダビングもしくはエフェクトによる劣化のなかは分からない。
 それでも、本作をAVアンプで擬似的にサラウンドを作り出して4chで聞くと、空間の広がりが感じられて心地よい。
 「GREEN and GOLD +2」としてリマスター版が2012年に発売になっている。私はまだ入手していないので、音質などがどの改善したのか不明である。
 
 元々、私が音楽マニア(自作スピーカー派)になったのはビートルズなどのブリティッシュ・ロックを聞いた影響が大きかった。その他にもアニメ系で傑出した作品がポツポツと出現したという事もあって、手元にある珠玉の名作をより良い音響システムで聞きたいという欲求が持続した。
 今後とも、私が聞いて名盤だと感じた作品を紹介して行きたい。