わんわんらっぱー

DIYやオーディオから社会問題までいろいろ書きます。

75Ω同軸デジタルケーブル小柳出電気商会408-SR

2018-07-01 10:37:20 | オーディオ
 音声はホームシアター用途ではHDMI伝送、オーディオではi.Linkを重視してきた。
DENON PMA-60(前機種PMA-50)の登場でオーディオ用途でもCD再生を押しのけて、PC再生が重要となり、USBや同軸デジタル接続での品位確保が重要となった。

 USBの場合はアンプ側にUSBアイソレーターが搭載されているので、さほどPC側やケーブルのノイズ対策に神経質になる必要性は低いようだが、同軸デジタル伝送の場合はノイズ対策が重要になる。
 伝送による信号減衰ロスも最小限に抑えたい。伝導体として銀が数値が良好であるのだが、市場価格が反映されるので、銅に比べて高値となる。

 オヤイデの408-SRは導体が4N銀ということで比較的価格が抑えられている。
マニアは圧着式のコネクターを用いて自作するようだが、面倒なので、私は既成品に頼ろうと思う。

 HDMIやi.Linkでの経験上、デジタル伝送規格上、周波数た高いほど、内部・外部のノイズ対策が重要になる。ケーブルの品位が音の品位に直結する。アナログ伝送よりもケーブルの品質が直接的に影響してくる。

 デジタルだからケーブルなんて何を使っても同じ、どいうわけではない。それどころか、HDMIの18Gbps伝送になると、ケーブルの長さや品位によっては絵が出ないという事が起きている。長いケーブルほど抵抗値が高くなるのである。
 同軸デジタルでの周波数はHDMIやi.Linkよりも低いと考えられるので、それほどシビアではないのだろうが、音は良いに越したことはない。


 上位のDR-510の方がケーブルが太い。値段も高い。品質はDR-510の方が上だと思うが、下位の408-SR方が良いという評価もある。408-SRの方が値段も安く、取り回ししやすい。
 75Ωの抵抗値のものでデジタル伝送を行わないと、波形に乱れがでて伝送が上手くいかない場合があるそうだ。オーディオ用のRCAケーブルとビデオ用のRCAケーブルで抵抗値が違うようである。ビデオ用のRCAケーブルならデジタル同軸ケーブルとして流用できる。



FTVS-408を使用した直営店・オンライン限定75Ω同軸デジタルケーブル!4N純銀デジタルケーブル~408SR
https://oyaide.com/catalog/products/p-2028.html
408-SRはオヤイデ直販でしか売ってないようです。








小柳出電気商会 デジタルケーブル(RCA-RCA) 0.7m DR-510/0.7
オヤイデ

アニソン試聴会2018夏:オーディオフィルさんのアニソン試聴会に参加しました。

2018-05-14 11:21:21 | オーディオ


 FE203さん作の「共鳴管型スピーカー」が登場し、その低域再生能力に驚愕しました。
43-64Hzがかなり高いレベルで出ています。
1回折返し型の共鳴管ですが、かつては低音が出ないという事であまり作例が無かったのですが、カノン5Dさんの共鳴管に関する研究発表及びハイブリッドレゾナンス共鳴管スピーカーが出てきてから、ちらほら見かけるようになりました。

サイドブランチ消音を利用した共鳴管エンクロージャー
http://www.audifill.com/event/004_010/fe203.pdf
↑ここに説明書きのPDFが有ります。

後ろ側の共鳴管には吸音材が詰まっており、両脇後部下方に円形で開口が空けられております。
仮に共鳴管2m長で40Hz共鳴再生とすると、43Hzで186cm、64Hzで125cmとなります。
高さは推測で90cmから100cmですから、全管動作で43Hz、途中の円形開口部までの動作で64Hz共鳴していたのではないかと思います。
吸音材を入れても共鳴管は動作するのでしょうか?

作例は3倍音や5倍音を消音するための空気室があります。

この作例が長岡BHに比べて革新的である理由は、
1.消音室を考えなければ、かなり簡単な構造になる。
2.長岡BHよりも音道が短いせいもあって、更にハイスピードの低音であり、バスレフ型のような独特の共鳴音ではなく、比較的自然な感じの低音である。
3.長岡BHのように極端にQoの低いユニットではなくて、Qoが0.3から0.4のようなユニットでも実用になる。

ということで、比較的低廉(作例ではFF105WKを使用)なユニットと比較的簡単な構造でハイスピードで量感もあり、癖のない自然な低音が得られるわけです。

長岡BHは構造が複雑であり、Qoの小さいユニットを使わないと低域の制動が上手くいかないという、高コストで大変に労力を必要とするスピーカーキャビネットでしたが、その「苦行」から逃れる事ができるわけです。

共鳴管型は非常にスリムで幅を狭くできます。開口が両脇にあるので、ある程度両脇を開ける必要がありますが、それでも、設置場所が小さくできるという利点もあります。

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オーディオアクセサリー

電源ケーブル
 一時期電源ケーブルに凝っていて、あれこれ取り替えていたのですが、ある程度のグレードのコンポを買うと、それなりのグレードの電源コードが付属してきますので、電源ケーブルを換えても顕著な変化はありません。
 ただ、ゲーム機などに付属しているしょぼい電源ケーブルはそれなりの品位の電源ケーブルに換えると、音への変化はそれなりに感じられます。
 グレードの高い電源ケーブルは医療グレードのソケットがついていたりして、ちょっとやそっとでは抜けないので、安心感はあります。むしろパソコンの方が電源ケーブルに拘った方がよいかもしれません。
 それなりの品位の電源ケーブルをとっかえひっかえすると、音場の出方などにわずかな差がでます。音が良くなったのか悪くなったのかというよりも、音の品位は同じ程度であるが、聴覚上の感じ方の差がわずかにでます。殆ど「気のせい」のレベルなので、私は電源ケーブルは「そこそこ」のもので十分だと考えています。

RCAケーブル
 RCAケーブルは電源ケーブルよりも差がでます。市販の物を買うときは、ある程度のグレードの物を買ったほうがよいでしょう。1.4sqの単芯ケーブルとコネクターを買って自作するという方法もあります。
 ちなみに、デジタル伝送ケーブル系は品位と音質が直結しています。最低でもオーディオグレードを謳ったケーブルを使いましょう。

インシュレーター
 メーカーのスピーカーインシュレーターは鋳鉄製のがっしりしたものを用意したりしています。個人的には「鉄板を敷く派」で極力制振したいという考えです。

 やみくもに比重の高い金属で制振するという考え方も絶対ではいようで、M5銅ワッシャー+2mm厚foQシート15*15mmの組み合わせの方が、M8真鍮ワッシャー+M6銅ワッシャー×3+Φ30mm×10mm厚真鍮円柱インシュレーターよりも、聴覚上は良く聞こえました。FoQシートの制振効果が良い方に転じたのかもしれません。
 スピーカー下にFoQシートの小片を敷いてみるのも良いかもしれません。





FOSTEX 10cmコーン型・バスレフ専用設計のフルレンジユニット(1本) FF105WK
フォステクス

パソコンに接続するアンプをPMA-50にした。

2018-05-08 20:37:44 | オーディオ
 パソコンの音声をUSB端子からKenwoodのR-K731に繋いで聞いていたが、16bit音源にしか対応していないので、24bit 196Khzまで対応しているDENONのPMA-50に切り替えた。
使用スピーカーはFostex GX102である。

 当初は廉価な中国製のデジタルアンプを探した。中華製は安いが製品によってはホワイトノイズの問題がある製品がある。また、USBアイソレーターを内蔵していない。

 PMA-50や60はUSBアイソレーターを内蔵している。電源もそこそこしっかりした物が入っている。加えてDSD対応DACを搭載しており、フルデジタルアンプの特性として省電力である。
 値段を考えれば中華アンプが良いのだが、性能や機能面をトータルで考えるとUSB-DAC搭載のPMA-50か後継機種のPMA-60の2択ということになる。(DRA-100はUSB-DACを搭載していない。)新型DDFA搭載のPMA-60の登場でPMA-50の中古価格が安くなってきている。それでも、DDFAのチップを2→1チップ化したPMA-60の性能上の利点を考えればPMA-60を選択すべきだが、ヘッドフォンを接続時にときたま電源が落ちるという製造ロットがあるようだ。2018年4月モデルから対策された模様だ。故障個体を引くのが怖いので、PMA-50の中古を選択した。

 PMA-60が搭載する、DDFAモジュールは最新世代の「CSRA6620」となる。DDFAはDirect Digital Feedback Amplifierという言葉が示すように、アナログ信号に変換せずデジタル信号のまま入力できるD級アンプであり、出力した信号をフィードバックして、入力する信号自体を補正することで特性を改善できるのが特徴だ。
PMA-50では「PWMモジュレーター」CSRA6600+「アナログフィードバック」CSRA6601の2チップ構成だったが、PMA-60では「CSRA6620」へと1チップ化、パッケージサイズも9mm×9mmに小型化した。(2)


 PMA-50の音は、パキっとした感じの音であり、細かい音も再生する。ストリングス系はスピーカーが金属系振動板なので、独特の響きが伴う鳴りがする。
 電子音は目が覚める程にかっちりと鳴る。自然音や生活音はとても生々しいので、ビクっとする事がある。また、ボーカルの細やかな情感を拾うにはうってつけのアンプだと思う。
 S/Nはとても良い。(S/N理論値117dB)情報量が多いのだが、音量を上げてもあまりうるさく感じない。
 24bit系のいわゆるハイレゾ音源は一聴して情報力が大きく、小さな音も聞き分けられて、なおかつふわっとした感じにしなやかになる。16bit系の方がバリっとした存在感があるが、音楽と向き合って楽しむにはハイレゾ系音源の方が聴きやすい。

 アナログアンプよりもデジタルアンプは全体的に音の線が細い。解像度が高いことの代償でもある。それはアナログアンプの音が「滲んでいる」のであって、私にとってはデジタルアンプのフォーカスがピタッとあった音の方が好みである。

 SonyのTA-DA9100ESなどのS-Masterは無帰還型であり、裸特性を良くするという考え方だが、PMA-50/60/100などは負帰還型であり、PWM信号基準で演算処理の補正(NFB)をかけている。
 SonyはS-Master搭載のAVアンプから撤退している。PioneerのAVアンプは音が硬い。DENONの現行機種のAVアンプがどのような音が分からないが、DENONが最新のCSRA6620を搭載したAVアンプを発売してくれることを願っている。
 AVアンプはチャンネル数が多いので、変換効率が高いがゆえに発熱の少ないD級アンプが向いている。できれば、フロントを4chか6ch積んで各chに対してデジタルグライコエコライザーを実装して欲しい。

 ちなみに、私が使っているWindows7(32bit)接続のPMA-50は音が途切れる症状がたまにでるので、オーディオ関連のタスク優先順位を上げるソフトを使い[Realtime]設定にした。このソフトの導入で音飛びはなくなった。
http://www.fidelizer-audio.com/download-fidelizer/

●フルデジタルアンプとは?
 フルデジアンプとはUSBやSPDIF等のデジタル信号入力をライン入出力レベルのアナログ電圧信号に変換することなく、スピーカーを直接駆動する電力信号に直接変換するアンプである。

内部的には、
デジタル信号>[PCM/DSD-PWM変換回路]>PWM信号(時間軸方向のアナログ信号)>
 [高速大電力スイッチング回路]>[ローパスフィルタ]>スピーカー駆動出力信号
となっている。
生成されたPWM信号は連続的に表現しうる物理量であって本質的にアナログである。よって現行のフルデジタルアンプはフルデジタルではないという見解がある。加えてデジタルアンプではなくてパルスアンプと呼ぶべきという考え方もある。

 DAC内部でデジタル信号からアナログ信号に変換するときにも一旦PWM信号に変換しているので、DAC内部のPWM信号生成している回路と、デジタルアンプの最終段を直結してしまえば、余分な回路が入らない。オーディオ業界ではPWM生成前の信号がデジタルな製品をフルデジタルアンプと呼んでいるに過ぎない。

 DDFAは、PWM変調された信号を基準PWMと比較し、その差分をデジタルベースで処理してエラー訂正を行う回路、ローパスフィルター後の成分をフィードバックしてフィルターの非線形性を補正する回路などで構成され、既存のデジタルアンプに比べて高精度な補正処理を行うことができる。出力段と電源それぞれにエラー補正を行うことで歪の低減効果と電源変動の補正を両立させることに加え、出力インピーダンスを最小に抑える効果も発揮する。(1)

 私自身はアナログアンプはフルデジタルアンプの性能向上により、その役割を終えたと考えている。アナログアンプは音の解像度が低いので、映像ソフトの細かく音を聞くという点ではデジタルアンプにはかなわない。アナログアンプ自体が価格と音質が比例するので、音質を求めると高額の費用が必要である。また、再生機側のDAコンバーターの影響を強く受けるので、再生機にも費用がかかる。この点はHDMIデジタル音声出力でも、結局上位機種の方がクロック精度が高いなどの理由で、音質と比例するから同じではあるが、パソコンを音声出力機にした場合は、USBアイソレーター搭載のUSB-DAC内蔵のフルデジタルアンプが有利である。

 趣味としてのオーディオが単に音の厚みや濃厚さを追い求める時代は、とっくに終わっているのである。それは単に音に解像度が低いとか、歪み率が高いとかの理由で発生しているのであって、本当に素の音はそっけない。立ち上がりが早くて、立ち下がりも早く、余韻も少ない。音は刺々しいのが本当であって、現代ではミキシング段階でフィルターをかましてノーマライズしている。
 原音再生こそがオーディオの本道であり、ボーカルにしても映像の台詞にしても、感情を聞き取るには、解像度が高く、S/Nに優れており、低歪みのフルデジタルアンプが適している。DDFA搭載のデジタルアンプは20Khz付近からノイズ成分があるようだが、加齢で聞こえない周波数帯域であるのであまり問題ではない。
 PMA-50を聞いてOPPO UDP205→HDMI接続→TA-DA9100ESで感じたボーカルや台詞の比較的抑えた情感すらも聞き取れる精緻な音を連想させた。最新の技術による正確なクロックによる時間軸上のジッター成分が少ない音とは、細やかな変化を表しうる能力を秘めているのである。
 以後はDDFAデジタルアンプとハイレゾ音源がオーディオの新時代を切り開くのであり、アナログアンプなどを中核とした古きオーディオは陳腐化により過去の遺物となり、博物館に収蔵されるのがお似合いの品々となってしまったのである。


(1)英CSRが開発、ハイレゾ時代のデジタルアンプ技術「DDFA」。その実力を山之内 正が検証https://www.phileweb.com/review/article/201502/06/1519_2.html
(2)ただ小さなデジタルアンプじゃない、デノン「PMA-60」発表
http://ascii.jp/elem/000/001/535/1535601/index-2.html

DDFA の実測特性、UCD方式との比較
http://innocent-key.com/wordpress/?page_id=3304
[転載]デジタルアンプ特性比較と試聴テスト
http://innocent-key.com/wordpress/?page_id=3222

DENON プリメインアンプ USB-DAC搭載/ハイレゾ音源対応/ヘッドホンアンプ搭載 プレミアムシルバー PMA-60-SP
デノン

DENON プリメインアンプ USB-DAC搭載/ハイレゾ音源対応 プレミアムシルバー PMA-50-SP
デノン

祝・フォステクス「FE208-Sol」再生産決定!

2018-04-29 12:03:54 | オーディオ
 FE208-SolはQoが1.5なので、ハイ上がりで低音が出にくい。よってFE208-Solはバックロードホーンか共鳴管型キャビネット専用ユニットである。
 今後、ダブルマグネットのユニットが再販される確率は低いと思われる。
 過去の20cm級FE208シリーズでBHキャビを使っている人たちは208-Solへの置き換えを考えたほうが良いだろう。

 今どきは椅子に座ってオーディオ鑑賞するのが一般的なので、長岡BHの場合はD-55よりも、D-57のほうがキャビネット高さとユニットの位置を考えると向いていると思われる。それどころか、私の座高が高いせいか、もっとスリムで背丈のあるBHの方が良いとすら思う。
 D-58だと音道を含む空気室が大きすぎて、制御しきれないのではないかと思う。私がD-58にFE208ESを付けて動作させていた経験に基づいた判断である。
長岡先生はD-58やD-58ESはFE208ES用に狙って設計したが、フェライト磁石で制動するにはキャビネットが大きすぎた。ネットにはD-58が「上手く鳴らない」怨嗟の声もある。結果的に、D-58やD-58ESはFE208ES-R専用ということで蘇り、その長大き音道を活かす事ができた。そのぐらいFE208ES-Rは制動力があるのだが、再販される可能性は全く無い。
 メーカーの人によると、仮にFE208ES-Rが再販されても、現在ではアルニコ磁石ユニットの調達価格がかなり高額になるとのことである。仮に発売されても昔の値段(7万5千円)の倍(15万円)位になるそうだ。

 FE208-Solは1本3.5万円もする。高いといえば高いが、この磁石を強化した限定ユニットとBHでしか聴けない音がある。市場に出ているバスレフ型の大型SPは、様々な形で制約を受けた悪い意味で「リミテッドスピーカー」なのである。
 背圧が低く、ネットワーク回路が無く、強力な磁束密度による高い過渡特性、これらの利点を備えたバックロードホーンの伸びやかで現実味のある低音こそが本物なのである。背圧を受けながら特性の周波数周囲だけを強調したバスレフポートで低音を増幅したバスレフ型スピーカーは小型化を優先したが故のまがい物スピーカーなのである。

FOSTEX 20cmコーン形フルレンシ?ユニット FE208-Sol
FOSTEX




20cm径のコーン型フルレンジユニット
2層抄紙ESコーンと低歪み大型フェライト外磁型磁気回路を採用
高剛性のアルミダイキャストフレーム
再生周波数帯域はf0~20kHz
出力音圧レベルは96dB/W(1m)
最低共振周波数は43Hz
インピーダンスは8Ω

美音過ぎて発売停止のテレフォンケン085aはなぜ美音なのか?

2017-12-30 21:45:56 | オーディオ
 世の中には美音スピーカーというのが存在する。本当に美しい響きがするのである。

Telefunken 085aモニタースピーカー


http://jirou.jugem.cc/?eid=1203
http://www.gokudo.co.jp/

 以前、三上先生の所で、Telefunken 085aを聞いたが、びっくりするほど美音だった。
美音過ぎて発売停止になってしまったという噂まである。メーカー名から察するにドイツ製のようである。写真にあるとおり、プリアンプや真空管アンプはかなり高価な品物である。


 Telefunken 085aはステレオ時代の到来に対応すべくテレフンケンが開発した希少モニタースピーカーである。高域のツィーター、中域のスコーカーを上下左右にそれぞれ8基、その下に30cm口径のウーファーを二基を搭載している。高域のユニットはコーンタイプでフレームはプラスチック製、ウーファーはアルニコ4Ωの仕様となっている。(1)


 一聴して三上先生が所有している他のシステムとは違う音色なのが分かる。
よく観察するとテレフォンケンは実質的に密閉型のようである。キャビネット内に吸音材が張り込んであり、低音はあまり出ない。

 このテレフォンケンがなぜ美音なのか謎なのである。真空管アンプが美音を産んでいるのかとも考えたが、他のテレフォンケンも美音だとの評価である。(写真では真空管アンプが映っていないが、私が聞いたときには真空管アンプで駆動していた。)

 他に考えられるのは「振動板の材質」「キャビネットの材質」である。
ところが振動板の材質はツィーターもスコーカーもパルプのようである(未確定)。
金属系振動板は美音がするのだが、パルプで美音のものは聞いたことが無い。
キャビネットの強度はあまりなさそうである。キャビネットの振動とも考えがたい。

 Fostex GX103も似たような美音がする。GX103はマグネシウムツィーター+マグネシウム合金ウーハー×3発(内一つはスコーカー)の組み合わせである。金属系振動板特有の響きがあり、弦楽器はとても美しい響きになる。しかし、低能率ゆえに、ある程度以上音量を入れると美しい響きがする。小音量ではあまりパッとしない。
 ツィーターの磁石がネオジムなので、過渡特性が良いというのも美音に寄与しているのだろう。

 GXシリーズは当時100/102/103と3タイプが併売された。
GX100はマグネシウムツィーター+マグネシウム合金ウーハー×1
GX102はマグネシウムツィーター+マグネシウム合金ウーハー×2
GX103はマグネシウムツィーター+マグネシウム合金ウーハー×3(内一つはスコーカー)

はっきりいって、GX100はあんまり美音というわけではない。ところがGX102はかなり前面に張り出してくる音で、幾分美音である。
GX103はユニット口径が10cmであるので大型フロアスピーカーに比べると抑制的ではあるが、低音も充実しており、なおかつとても美音なのである。

美音度でいうと
GX100<GX102<<<GX103 なのだ。

 加えて言うと、13cmユニットのFOSTEX MG130HRは単独使用でも美音である。だから、ユニット数の増加と美音は絶対的な関係ではないかもしれない。

 そもそも、「美音」などというと非科学的であるように感じる。美音とは原音とは違う音色で鳴っているのだから、原音に対して何がしかの付帯音の量が多いという事と考えることも出来る。オーディオとは原音の忠実再生である、と考えると美音スピーカーは本則から外れる存在であると捉えることもできる。しかし、美音には麻薬的魅力があるのである。
 ということを前提にして、推論すると、テレフォンケンの美音の源は、スコーカー×8という多連装ユニット構成にあるのではないか?という仮設が成り立つ。ツィーターも×8であるし、ウーハーも×2も装備しているが、美音の元となっているのはスコーカーだと思われる。
 しかも、スコーカーやツィーターはあっちゃこっちゃを向いてユニットを装着してある。これはモニタースピーカーとして、部屋のどこにいても同じような音を聞くてために、全方位に音を出す狙いがあったのだと思われる。中音を発する音源が複数あることにより、微妙にズレて耳に到達する。音が滲むことにより、人体が美音だと認識しているのではないかと推論する。
 そうとでも考えなければ、あの異様なまでの美音を奏でるテレフォンケンの源泉を探り当てようもない。



(1)Telefunkenのスタジオモニタースピーカー、O85aを買取
http://highsound.net/blog/archives/5421

GX103スピーカーシステム
https://www.fostex.jp/products/gx103/


FOSTEX スピーカー GX100MA(DB) [ダークブラウン 単品]
FOSTEX