探偵映画 (文春文庫)我孫子 武丸文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
「探偵映画」我孫子武丸
新作映画撮影中の映画監督・大柳登志蔵が失踪した。ラッシュが完成し、世間的には予告編まで流れているのにも関わらず、作品の全貌をただ一人しか知らない。その監督がいなくなった。
監督の行方の捜索を上司から命令された助監督(といっても下っ端)の立原は、ちょっと気になるバイトの女の子・美奈子さんと共に、素人探偵の真似事を始めるのだが……。
うーん、懐かしい。
といっても、この作家さんの本は初見なのだけど、名作ゲーム「かまいたちの夜」の制作に関わっただけあって、文章や台詞回しやキャラクターがいちいちそれらしい。とてもかまいたちっぽくて、ノスタルジーな気持ちになってしまった。
監督不在の中、誰も知らない真相を皆で模索しながら、なんとか整合生のある結末を撮影して映画を完成させようとする作中劇が良かった。美奈子さんと立原との、映画通だからこその距離の縮め方も微笑ましい。真相もそこに至るまでの流れにも特別大きなサプライズはないのだけど、作品全体の雰囲気が好きだったので、まずまず読めた。