月光条例 3 (3) (少年サンデーコミックス)藤田 和日郎小学館このアイテムの詳細を見る |
「月光条例(3)」藤田和日郎
「うしおととら」、「からくりサーカス」の作者が描く現代のおとぎばなし第3巻。
条例執行者として鉢かづき姫と共に戦うことを決めた主人公・月光の前に立ちはだかる敵は、「シンデレラ」だ。黒いゴスロリドレスに身を包み、ゴーグルとパンキッシュなメイクで武装したとっても「らしくない」シンデレラが、現代の日本に現れ暴走するかぼちゃの馬車を乗り回して様々な乗り物にスピード勝負を挑む。
王子に助けを求められた月光。5日間主役が留守にした物語は消滅(デスアピア)するルールを守るため、主人公以外の男をとっかえひっかえする史上類を見ない尻軽ヒロイン・エンゲキブを物語世界に送りこみ、自身は鉢かづき姫と一寸法師を従え、ライバルにしてシンデレラに敗北した走り屋・天道と共同戦線を張るのだが……。
前巻の一寸法師編のような熱さはないが、キャラ造詣が深まったことで、より味わいが深くなった。月光の家業のラーメン屋を手伝う鉢かづき姫や、月光と共に爪楊枝で小旗を作る一寸法師との日常が楽しい。こういった何気ないシーンの連続があとあと効くんだよなあと思いつつ、しみじみと読んだ。
シンデレラの世界で孤軍奮闘するエンゲキブも、尻軽なだけではない月光への純情を見せ始めたし、尻上がりにどんどん面白くなっていく作品だ。