はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

京大M1物語(1)

2008-12-15 15:56:53 | マンガ
京大M1物語 1 (1) (ビッグコミックス)
稲井 雄人
小学館

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「京大M1物語」稲井雄人

 子供の頃からテスト用の勉強だけは得意だった最上は、過大な実家からの期待を「裏切るべく」、東大を卒業した後、京大の大学院に進学する。そこで役に立たなそうな学問を学び続け、世捨て人となるのだ……。
 歪んだ決意に支えられた逃避行の末にたどり着いた動物民俗学は、学び舎からしてわけがわからない。かの有名な京大の、しかしうら寂れた一角にあって、暗く潰れそうで、よそ者を寄せ付けない一種異様な雰囲気を放っていた。
 事実足を踏み入れてみると、タコ部屋には雑多な「成れの果て」の群れがごろごろしていた。何を何のために研究しているのかわからない、そして完成させる気もあまりないゴミどもの中に混じって過ごし、あげく最初の研究課題を「ハサミムシ」に設定されたりして、自らの将来にいまさら疑問を持つ最上。
 賀茂教授の助手で人妻の高梁さん、秘書の中川さん、新入生の淀などの綺麗どころの色香に吸い寄せられ、しかし同じく新入生にして女喰いのイケメン利根川に注目を根こそぎさらわれ、塵芥にしかなれない最上。
 人間的に終わっているから当然といえば当然なのだが、あまりにあまりな主人公・最上の寂しいキャンパスライフを上から目線で楽しむのが吉(感情移入すると切なくなる)。まだ始まったばかりでとらえどころがないこの話、逆にいえばここからどうとでもなる将来有望(?)な最上みたいなこの漫画。続巻の刊行はあるのだろうか。それすらもまだわからない。