花と泳ぐ 1 (1) (まんがタイムコミックス)口八丁 ぐりぐら芳文社このアイテムの詳細を見る |
この時僕は どうして普通に「また」と答えたのだろうか 次があるなんて保証はどこにもなかったのに
やっぱり幽霊にとってもクリスマスは楽しいもんです またこんな楽しい日が来るといいな
菊子はごく普通の生活をふみちゃんに送って欲しかったんだろう それは自分が送れなかった人生のやり直しを託す事 今ならそれがよくわかるのに
ふみちゃんはあの日知った真実を僕に話さなかった それはしばらく経ってから僕を少し怒らせる原因になる わかっていたら菊子があんな目に遭う事もなかったのに 今となってはもう遅いのだけれど
僕たちはこんなに狭い世界ですれ違い続けていた でも今ならすれ違いの理由が解る気がする 僕はきっとそれに気付かないようにしていたんだ
「花と泳ぐ①」口八丁ぐりぐら
口八丁ぐりと口八丁ぐらのコンビによる、幽霊との共同生活をテーマにした本作品は、日常、ブラックユーモア、エロ、オタク……基本的にドラマ性のない4コマ漫画の世界に殴りこんだ意欲作だ。
人より霊感の強い大学生・笹川幸太と、幸太の部屋に転がり込んだ料理好きで記憶喪失のとぼけた幽霊・菊子。菊子を追って隣の部屋に住み着いた見習い霊媒師の女子高生・下田ふみと、幸太の親友で海より深い寛容さを持つが霊感ゼロのフリーター・梅ちゃん。黒猫の会長も含めた4人と1匹をメインとしたシュールギャグ。というのが基本だが、そこに冒頭に上げたような「取り返しのつかない結末の暗示」が時折ノイズのように混じり、なんともいえない物悲しさを生み出している。それは幸太たちの日常が楽しければ楽しいほど効果的に響くのだ。