![]() | 神のみぞ知るセカイ 11 (少年サンデーコミックス) |
若木 民喜 | |
小学館 |
「神のみぞ知るセカイ」若木民喜
檜・楠の、春日姉妹の話の決着。ハクア・天理と桂馬のトライアングル遊園地デート。桂馬の「女の子がいてエンディングがあれば、僕にとってはすべてがギャルゲーなんだよ」神発言などなど、いろいろとトピックスはあるが、一番はエルシィ・桂馬の遊園地デートだろう。ファン待望のエルシィパート来たか? という期待はもちろんのこと見事に裏切られたものの、桂馬との関係を小なりとはいえ意識し始めたエルシィが可愛かった。アニメ版でも好評だったが、本当にこの娘は紙面に映える。
それに比べるとちょいと落ちるが、春日姉妹の話もなかなか良かった。他人からの期待と根拠のない自負心と、下の者(この場合は妹)からの追い上げによって追いつめられた檜の気持ちはなんとなくわかる。なんとなく、というのは僕とはまったく境遇が違うから。でも「そういう」プレッシャーがどういうものかはよくわかる。作者がこの話は読み返したくないという気持ちも。思い出したくない辛い記憶。通過しなければならないハードル。いつも思うことだが、この作者は作品に自己投影してそのつど凹むくせに、そこから逃げない。好感がもてる。
メイン部分の古悪魔や、桂馬との記憶を保持している女子探索についてはまた次巻……かな。