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はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

インジェクション・ミート

2007-12-19 19:18:36 | 出来事
 新聞の社説を見て知ったことであるが、世の中にはインジェクション・ミートというものがあるらしい。直訳するなら「注射した肉」で、言葉の通り、豚、牛、鶏等の畜肉に一手間加えたものを指す。一手間は調味料であったりとろりとした牛脂であったり様々だが、程度の良くない肉を高級な肉と勘違いさせるほどには効果があるそうだ。
 このインジェクション・ミート。加工販売しただけでは罪にはならない。むしろ美味しい肉を安価で提供できるのだから、家計の力強い友だともいえる。実際このからくりを知ったあとでも、「健康に害がないならいいや」という向きの方々は多そうだ。
 俺もその一人ではあるが、嘘をつかれるのは気分が良くない。死ぬまで騙して、とまでは言わないにしても、技術者たちの作り上げたいじましい努力の結晶を、もう少しマシな形で活用してほしいと切に願う。

2007/06/22

2007-06-22 14:05:39 | 出来事
2007/06/22

平均4.0。残念ながら夏のボーナス率ではない。睡眠時間だ。昨日は3時間。一昨日は5時間。時に1時間になることもあるが、決して6時間を超えることはない。目の下に隈があるのが常態で、眠る時は耐え兼ねて沈みこむように落ちる。そんな生活が、ずっと続いている。
素直な子供であったと自覚している。常にハンカチとティッシュを携帯し、出かける前には必ずトイレを済ませた。特に反感を持つことなく親のいいつけを守ってきた。だがこと睡眠となると話は別。何度寝るよういわれても聞かず、隠れ潜むように起きていた。
夜は自分だけの時間だった。静寂に満ちた世界は、同時に楽しみで溢れていた。本の中の英雄に憧れ、マンガの中の美女に恋をし、ゲームの中の悲劇に心打たれた。どこにも存在しないはずの、造られた感動。だけどそれが、今の自分を形作った。夜は、己のレベルを上げる時間だった。
今だって、それは変わらない。DVDにインターネット。発信源が増え、痺れかたも変わったものの、本質的な部分は一切変わっていない。いつだって時間は貴重で、そして常に不足している。成人男性にとって必要十分な睡眠時間を貪ることなど夢のまた夢……。そんなことを思いながら、今日もきっと、唐突に意識は途絶えるのだ。

2007/06/03

2007-06-03 16:22:40 | 出来事
2007/06/03

 脱北者が自害用の毒薬持参で日本海を渡っている頃、Yが肩の重みに悩まされている頃、Yの彼女のHは痛みをともなわない生理に悩まされていた。生理が終わった頃、もう一度生理がきた。調べてみたら、流れていた。気付かぬうちに、彼らの子供は死んでいた。それを聞いていたK兄ぃが、自分も水子が三人いるとカミングアウトした。毎年命日になれば供養にいっている。K兄ぃの先輩は、自分の水子のことを忘れぬよう、体に梵字を掴む降り龍の墨を入れている。
 世の中には、そんな絶望がたくさんある。ありふれた悲しみの末に、誰もが今を生きている。難しくて、切なくて、事の重みに泣き崩れそうになりながら生きていく。
 赤ん坊になる前に死んでしまった命のことを思った。生きようとして生きられなくて、この世に生れ落ちる前に儚く散った命のことを思った。思いながら、牛乳プリンを食べていた。うまくはなかった。ぼやけたような味しかしなかった。抜けるような青空。窓から微かに風が吹き込んできた。虫の鳴き声。遠くはない夏の訪れ。それを感じられぬということを思った。

2007/05/27

2007-05-27 09:35:48 | 出来事
2007/05/27

今月3日。米国アラバマで巨大豚が仕留められた。体長2.74メートル477キロ。横綱朝青龍に換算して3.2人分。トンカツなら1600枚分に相当するという。それほど巨大な生き物が今まで誰にも発見されず、森の生態系を壊さずに存在してこれた。世の中に不思議は尽きない。
先日近所のレンタルビデオ屋が中古ビデオのセールをしていた。弾丸ランナー、アンラッキーモンキー、金融腐食列島呪縛、ファイトクラブ、グラディエーター、スナッチ、ナチュラルボーンキラーズ、RONIN、8mm。名作佳作合わせて9本が900円。DVDタイトルの拡充に押し出されるようにして生まれたこれらの不良在庫はますます増えていくことだろう。日本中のレンタルビデオ屋に眠る億単位の在庫。それらは一体どこに消えていくのか。世の中に不思議は尽きない。

2007/5/20

2007-05-20 09:19:55 | 出来事
2007/5/20

 70年代、犯罪の凶悪化に伴い極秘裏に設立されたSAT。「六機の特殊」と呼ばれ、警察最後の切り札として存在した特殊急襲部隊。情報公開された今も、その内情は謎のままだ。構成員は身体能力に優れた精鋭で、家族にすらも職務を明らかにすることはできない。明らかにしてよいのは殉職した時だけ……。
 愛知県長久手市の元暴力団組員篭城事件で殉職した愛知県警機動隊の林一歩巡査部長(二階級特進により警部となった。23歳)は、県警察学校を主席で卒業し、柔道を始めて3年で3段に昇段し、そして持ち前の職務遂行への強い意志で将来を嘱望されていた。妻(24歳)と生後11ヶ月になろうとする長女に恵まれ、順風満帆の未来図を描いていたところだった。
 事件当日、先に銃撃され負傷したまま放置されていた大本巡査部長の救出に向かった警察官の支援をしていた林警部の首筋を、元暴力団組員の銃弾がとらえた。防護マフラーと防弾チョッキの合間に潜り込む、最悪の一撃だった。
「家に来た時は職務上、仕事の話はほとんどしなかった。SATになったのも事件で知った」
「機動隊となればこういう事件もあり得るが、まさか一歩が……という思い。志願した仕事だったので、ご苦労さまと言ってあげたい」
 これは林警部の父、千代和(51歳)さんの言葉だ。自分の息子が実はSATの一員で、殉職したなんてことを聞かされ動揺しながらも、しっかりと現状を見つめ、報道陣に答えてくれた。
 29時間にも及ぶ長期戦。大本巡査部長の救出に要した5時間。発砲行為と二次被害を恐れる警察組織としての行動力に疑問の声が上がった。
 これが仮に映画や漫画の世界ならば、誰か仲間思いの無鉄砲者がいて、危険をおしてでも突入することだろう。命がけの攻防の末に大本巡査部長の身柄を確保し、勝利を高らかに歌うことだろう。だが、これは現実なのだ。誰が味方のために命を賭ける?自分が撃たれるかもしれないのに。自分が撃たれなかったとしても、人質が殺されてしまうかもしれないのに。どんな結果であれ、被害が出れば責任をとらなければならない。それが他人の命か、自分の命なのかはわからないにしても、贖わなければならない者は確実に出る。その認識が刃を鈍らせる。臆病が足を竦ませる。それが当然だと思うし、そのことで誰を責めようとも思わない。慎重策だってひとつの正解には違いないのだし、強攻策に出て被害を広げる可能性はおおいにあった。だが結果として、ひとりの有望な警察官が命を落とした。事件現場に献花に訪れる人の姿は、今も絶えることがない。

藤原伊織

2007-05-17 17:45:40 | 出来事
藤原伊織

今日、大事な人が死んだ。午前10時14分。都内の病院で息を引き取った。治療不能の食道癌との闘病。それがどれほどの苦闘なのか知らない。だが、最後まで明るさを失わなかったという話を聞いて嬉しく思った。彼の小説の主人公のような孤独な死に様は、悲しすぎるから……。

2007/5/17

2007-05-17 11:43:29 | 出来事
2007/5/17

会津若松市の首斬り男子高校生について。朝の某ワイドショーでこんな話が出た。
「犯人の男子高校生は、周囲から嫌がらせされていたと供述しているが、それには疑問が残る。 校長が否定しているし、なにより男子高校生はクラスでは存在感がなかった。皆の眼中になかった、ともコメントしていた。だから、いじめはなかったのだ。彼には被害妄想の気があったのではないか」
しばし唖然とした。人道にもとる殺人犯にかける情など微塵もないが、これではあまりにも恣意的にすぎる。それともただのバカなのか?
世間の耳目を集める重大な事件だからこそ、慎重にコメントしてほしかった。放送に関わる人間の倫理感、もしくは洞察力の欠如が頭にきた。

凍結

2006-12-07 13:59:59 | 出来事
その日は仕事で早出しなければいけなかった。いつもより起床時間を30分早めた午前4時半。事件は起きた。

その日は寒い日だった。早朝であることを差し引いても、いつもより一際震えるような気温だった。部屋からダイニングに出ると、素足が床に凍って張り付きそうになった。
生理現象、空腹、眠気、鳥肌。やらなければならないことと耐えなければならないことが山ほどあった。その中から選んだのが、風呂にお湯をためるという行為だった。バスタブに栓をし、蛇口をひねる。得られる代価のことを考えれば……なにより時間効率的にもっともよい。
風呂の戸を開けると、窓から寒風が吹き込んでいた。そういえば、昨晩眠気のあまり閉めるのを忘れていたのだった。後悔の念に襲われながら窓を閉め、蛇口をひねると、「シュルル」と遠くで何かがうねるような音が聞こえた。それは小さく、注意していなければ聞き逃してしまいそうなほどに微かな音で、でも、事の重大さを告げるに十分なものだった。
音が止むのと同時に風呂を飛び出し、洗面所の蛇口をひねった。台所の蛇口をひねった。トイレの給水タンクには昨日の名残の水が残っていて、わずかながら安堵した。
ポットに残っていたお湯と、冷蔵庫にあったペットボトルの水。ガスコンロとヒーター。出社までのわすかな時間に、やれるだけのことをやらねばならない。腕組みし、僕は考えた。僕と入れ違いに会社から帰宅してくる二人。その失望を想像した。
火をともしたガスコンロに薬缶をかけ、ペットボトルの水を注いだ。タオルを蛇口と、蛇口につながる管に巻く。ポットのお湯を洗面器に開け、ぬるまるのを待った。慌ててはいけない。凍結した水に熱湯をかければ化学変化で管が破裂する。それだけは避けねばならない。
万一に備えて二人のために書置きを残した。この事態への対処。間に合わなかったときの事を詫びた。
お湯の温度が下がると、それをゆっくりと管にかけた。タオルに染み込んだ温かいものが、じわじわと氷を溶かしていく。薬缶からの湯も同様にした。電気ヒーターを近づけ、最大温度で熱した。
時間切れが迫っていた。出社まで間もない6時ジャスト。着替えと準備を済ませてから蛇口をひねった。
「シュルルルル」長い音だった。はっきりと、力強いうねりの感触を手に感じた。遠くから、何かが迫ってくる。命の源。希望の象徴。努力が満たされていく感覚。

達成感を噛み締めながら僕は寮を出た。
出社し、多少得意げに、同僚のW氏に事の顛末を話して聞かせた。
冷め切った口調で彼はいった。
「今朝、あのへん6時まで断水でしょ」

手近にある無数

2006-09-15 21:45:47 | 出来事
一に二を足せば三。
十にノを足せば千。
漢数字には改竄しやすいという欠点がある。
だから
一は壱
二は弐
三は参
四は肆
五は伍
六は陸
七は漆
八は捌
九は玖
十は拾
百は珀
千は阡
万は萬
という書き換えの表記法が存在する。これが大字。一般的には金銭証書などに使われることが多い。中国などでは今も日常的に使われているらしい。
さて実際に129円を表してみると、壱珀弐拾玖圓(円は圓)。
圧倒的に手間だが、それもまた荘厳で良い。
ちなみに零を基点に上下に手を伸ばしていくと、下限は清浄、上限は無量大数へと到達する。
空に星々を求めずとも、百万ドルの夜景を眺めずとも、こんな手近に無数であることのロマンがある。

ラクダとガチャピンの共通項

2006-09-07 19:43:19 | 出来事
ガチャピン日記によるならば……。
ガチャピンは恐竜の子供。
年齢は5歳。
誕生日は4月2日の牡羊座。
身長165センチ体重80キロ。
左右の手に7個ずつのイボがある。
しかしこれは実際のところイボではなく、虫刺されでもない。
エネルギーボール。
海に潜ったり空を飛んだりするときに、勇気と力を与えてくれる予備タンクだそうで……。
イメージとしては、あれに近い。ラクダの背中にあるコブ。あの中身は水ではなくて脂肪の塊。ガチャピンのイボの中身は子供たちの応援。
よくできた愛玩動物。