goo blog サービス終了のお知らせ 

はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈8〉日常の価値は非凡

2011-05-16 01:30:32 | 小説
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈8〉日常の価値は非凡 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(8)」入間人間

 紆余曲折を経て、いつも通りとなったみーまーの2人は、主にまーちゃんの気分によって、ちょっとしたバカンスに出ることに。といっても海外や国内の有名観光地ではなく、ちょっとした、ほんの些細な旅行なのだが。2人のたどり着いたホテルでは、やはり今回もいろいろと起こりまくる。
 緑の帽子のロリコン探偵と、その寵愛の対象の尊大な少女。自殺志願の少女。部屋の死体の処遇に困る中年。後輩の女の子と初めてのホテルに舞い上がる大学生。ホテルで生活する人間嫌いな小説家。行方不明の夫を捜す人妻。訳あり人間たちの起こす騒動に、しかし今回はほとんど巻き込まれないみーまーなのだった。

 まさかの群像劇。しかもみーまーほとんと出番ないとか、かなりの変化球。主人公って誰だっけ……?
 だがまあ、面白かった。奇人変人大騒動に振り回されまくったり、入間人間のあのシリーズやこのシリーズからいろんなキャラが友情出演しまくってたり、見所が豊富にあった。
 謎解きはいつも通りで、たぶんこの人なんだろうなという人がやっぱり犯人だった。入間人間らしすぎて、そのへん意外性が欲しい気もする。
 ところで、最後の最後に提示された次巻への含みは……これはまじなのか……?

花×華

2011-05-08 23:02:06 | 小説
花×華 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「花×華」岩田洋季

 夭逝した天才映画監督・園端朝地の息子・夕は、「はな」という少女からの美しいラブレターに呼び出され、桜舞う中1人の少女に告白された。彼女の名は東雲華。同じ学校の同級生でアイドルでお嬢様な彼女からの告白に動転していると、そこにまさかの「ちょっと待った」コール。華とは対照的な、運動神経抜群小動物系の少女・成宮花。彼女もまた夕のことが好きで、同じようにラブレターを出したと宣言する。あれ? でも、ラブレターは1枚。名前はどちらも「はな」。あれれ?
 学校のアイドル2人からの同時の告白。それは速やかに同じクラス内での奪い合いに発展し、夕の学校生活は、にわかに色合いが鮮やかになっていく。
 夕が所属する映像研にまで入り込んできた2人の「はな」は、夕の向けたカメラの先で、彼女たちだけにしか放てない特殊な光を放つ。それが、父親へのコンプレックスにがんじがらめな夕の中の何かを揺り動かした……。

 ある少年の映像に賭ける情熱と、2人の少女とのハーレム。
 微妙。若き天才の卵を描こうとしているのにそれが描けてない。「映画」ではなく「映像」を撮らせたのは、作者が「映画」をうまく描写できないから、あえて触れずに曖昧に誤魔化したからなのではないだろうか。そう邪推してしまう。
 だって、なんのシナリオもない、意味ありげな美少女2人を撮ったってだけの映像なんて、見るほうもつまらないだろう。その映像にしたって、美麗な言葉(というほどでもない手垢のついた表現)で飾っただけの代物で、良いところが何ひとつ見えてこなかったし。
 演じる側の天才を描いた作品の成功例に、恩田陸の「チョコレートコスモス」というのがあるが、作者にはそれを100回ぐらい読んで出直してきていただきたい。

叫びと祈り

2011-05-03 18:45:06 | 小説
叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)
クリエーター情報なし
東京創元社


「叫びと祈り」梓崎優

 砂漠の真ん中という密室で起こった連続殺人。風車の中に入ったままいなくなった彼女の行方。何百年経っても朽ちない不朽体のシスターの聖人認定を待つ修道院で起こった殺人。アマゾンの奥地の村で発生した感染症と連続殺人。どこか見知らぬ国の見知らぬ施設に隔離された男の脱出行。
 ジャーナリストの斉木が体験した、世界を舞台の珠玉のミステリー。

 異国情緒あふれるお話が多く、そういう意味では興味深かった。動機とか、手段とか、時々えっと疑問に思うことはあれど、まあ読めた。しかしどこかが常に軽く、平坦に思えた。最後のお話がいただけなくて、そこでようやく気がついた。
 斉木という人間の中身がまったく伝わってこなかったのだ。生き方とか考え方とか、どういう育ちなのか人とどういう距離をおいて接するとか、そういったスタンスがまったく伝わってこない。作中の彼は、事件に対処することにばかり終始していて、僕らに自分を語ってくれない。キャラ小説じゃないとはいえ、それでも最低限ってある。他の登場人物とも積極的に関わりあいになろうとはしないし。人間性が感じられなかった。面白くなりそうな下地はあるだけに、残念。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(7)死後の影響は生前

2011-05-01 02:41:38 | 小説
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈7〉死後の影響は生前 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(7)死後の影響は生前」入間人間

 体育館猟銃男乱射事件のせいで退場したみーくんに変わって、クローンまたはクローンの原型こと大江湯女が主役回。
 クローズド・サークルな4・5巻の影響で下界に放り出され、妹(本当は他人)の茜と共に安アパートで暮らしている湯女は、当然生活能力ゼロで、大江家からがめてきたわずかな現金を食い潰しながら生きている。まあ戸籍とかも怪しいし、学力もないし、働きようもないっちゃないんだろうけど、だったら大江家本家に駆け込めば……と思うんだけど、湯女はさすがに素直じゃないから駆け込まない。湯女の側から離れない茜ともども、餓死する覚悟。
 そんな湯女の楽しみは、相変わらず人の世の業を弄ぶこと。ひょんなことから同じアパートに住むガキめらが、殺人犯人当てゲームに興じていることを知り、いそいそとそれに混ぜてもらいにいって……?

 おうう、さすが湯女。ぶっ飛んでるぜ。みーくんも大概だけど、こいつも相当だな。嘘つき加減もなかなかのクオリティで、正直主役が交代してもやっていけるレベル。湯女ファンとしては、彼女が主役のスピンオフが読みたいと切に願う次第。
 話のほうは、ミステリ調だけどミステリじゃないいつもの感じ。キレた悪役がキレた犯行を繰り返し、主人公が苦労してまとめるっていう。今回は湯女がぼろくそになるかと思ったらさにあらずで、後半復活したみーくんが代わりにぼろぼろになってました。合掌。
 見所としては、復活みーくんに訪れたもう一つの悲劇のシーンかな。いや、むしろご褒美な感じはするのだけどもね。そこはちょっと良かった。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(6)嘘の価値は真実

2011-04-27 00:25:34 | 小説
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈6〉嘘の価値は真実 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(6)嘘の価値は真実」入間人間

 大江家での騒ぎからちょっとたったある日のこと。体育館のステージのカーテンの陰でいちゃいちゃねちゃねちゃしているみーまーはさておき、猟銃を持った男が乱入してきた。すかさず発砲して体育教師を行動不能にし、生徒たち全員を一カ所に集め、手足を縛って拘束状態にした。その中にはみーくんと同じクラスになった長瀬透や、まーちゃんと同じクラスになった伏見柚々もいたが、肝心要の2人がいなかった。
 昼ご飯が食べられないとご機嫌斜めなまーちゃんが空気を読まずに騒ぎ出す前に、犯人をなんとかしないと……みーくんのダイ・ハードが、今始まる。全部本当。

 退院したばかりのみーくん、派手な事件に巻き込まれるの巻。
 まあいつものことなんだけど、本当に巻き込まれ体質だなおい。んで、その都度味方は近くにいないし、近くにいる人はだいたい敵だしで、気が休まる暇がなさすぎて哀れ。
 ハーレムが揃っているのになんだか華が無いなあと思ったら、長瀬、伏見共に、同じ空間にいながらも出番が少ないせいだね。捕まってるから当然っちゃ当然なんだけど。まーちゃんはみーくんが騒がないようにコントロール(ぎりぎり)しているので、動きがあるのはみーくんのみだし、舞台も体育館だけだから、奈月さんも恋日先生も出てこれないしな。
 んで、話自体もそんなに面白くなかったのだ。いままでの巻と比べて、犯人に謎がなさすぎ。変人成分も少なすぎ(多けりゃいいってもんでもないが)。最後の展開は意外だったけど、それだけ。次巻に期待、だね。

初陣~隠蔽捜査3.5~

2011-04-19 13:54:26 | 小説
初陣 隠蔽捜査〈3.5〉
クリエーター情報なし
新潮社


「初陣~隠蔽捜査3.5~」今野敏

 竜崎伸也・46歳。東大卒のキャリア組。仕事面ではすこぶる有能。偏屈で、曲がったことが大嫌いで、本気で職務のために一命をなげうつ覚悟がある、ベストオブ警察官僚。
 の、幼なじみ・伊丹俊太郎が主役の短編集ということで、いつものような峻厳な竜崎節は見られない。常に周囲と自分との関係を気にする伊丹らしい繊細さが随所に見られる。そんな、竜崎ならぬ普通の人間な伊丹の、組織の中での苦境を、竜崎との一本の電話が毎回救っていくという、安楽椅子探偵風な展開が主だ。
 なので、それほど面白くはなかった。伊丹がどれほど竜崎に劣等感を感じているか、同時に精神的支柱にしているか、という視点は面白かったけど、まるまる一冊費やす価値があるかどうかとなると、首を傾げざるを得ない。1~2話で十分だよね。どうせなら、竜崎家の人々から見た竜崎、という視点の話があってもよかったのではないか。父に考え方の似ている娘さんからの、とか。妻とのなれそめ、とか。父に自分の好きなアニメを見てほしい息子の、とか。けっこう堀り返すと面白いと思うんだよね。あと、本編3作目で登場した畠山美奈子も出てくるが、シーンとしてはあまりに少ない。彼女の破壊力をもうちょっと味わいたかった。こういうおじさんキラーな女の子は需要あるでしょ。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈5〉欲望の主柱は絆

2011-04-18 01:05:58 | 小説
 お久しぶり、更新再開です。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈5〉欲望の主柱は絆 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈5〉欲望の主柱は絆」入間人間

 資産家令嬢で無駄に金持ちな妻・景子。景子に養われる無能な大黒柱・耕造。みーくんのドッペルゲンガー疑惑の嘘つき長女・湯女。自分の意志皆無の父母の操り人形・貴弘。使用人の子なのに次女扱いの桃花。すべての発言は裏返しに聞け、な三女・茜。おどおど潔、おっとり菜種の使用人夫妻。本気で曲者しかいない大江家で起こった連続殺人に巻き込まれたみーくんは、食事を与えてもらえなかったり、背後から殴られて閉じこめられたりといった様々な妨害の果てに、ようやく犯人にたどり着いた。
 しかし、めでたしめでたし、とはならなかった。驚愕の真相のあとに待ち受けるのは、閉ざされた館での文字通りのサヴァイヴァル。足りない食料、逃げ場のない空間。基本無力で、あげく満身創痍なみーくんは、愛しの柚々嬢と共に、無事脱出を果たせるのか。一部嘘だけど。

 うん、面白かった。謎解きはいつも通りの奇想天外ぶりで、ミステリとしてみるといまいちなんだけど、入間人間の真骨頂はそこから。まさかのサヴァイヴァル展開で、非常に飯がうまかった。
 あと、前にもいったけど柚々が可愛すぎた。これは親父が親バカになるのも無理ない。みーくん的に柚々エンドはあり得ないだろうから、妄想で我慢しとこう。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(4)絆の支柱は欲望

2011-03-11 08:17:25 | 小説
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈4〉絆の支柱は欲望 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(4)絆の支柱は欲望」入間人間

 ふとしたことからみーくんを認識できなくなり、自我が崩壊して入院したまーちゃんを元に戻すため、菅原のほうのみーくんとまーちゃんの思い出の品を探すことにしたみーくん。しかしこれがなかなか難しくて、探索行は、流れ流れて旧みーくん邸にまで及ぶこととなった。あの事件から数年が経ち、もはや事件の関係者のひとりもいないそこには、謎深き大江家が住んでいた。
「あの事件」の関係者の来訪を喜ぶ大江景子の招きにより、一宿一飯の恩を与えてもらうこととなったみーくんと伏見柚々(何故か同伴することになった)。朝目覚めた彼らの耳に飛び込んできたのは銃声と悲鳴。大江景子が死に、玄関扉が壊されていた。すべての窓には堅牢が鉄格子がはめ込まれ、外部との連絡手段である電話線は切られ、みーくんの携帯はトイレに水没させられていた。
 これは……クローズドサークル!?
 叫んでも誰にも聞こえない郊外の住宅に閉じこめられたみーくんと伏見柚々の、生き残りをかけた戦いが今、始まる。

 おお……なんだこの柚々の可愛さは? 初登場だった前巻から薄々そうじゃないかとは、ていうかむしろあからさまにそうだったと思うのだが、彼女はみーくんのことが好きで、それが故にのこのこ大江家まで出ばってきて事件に巻き込まれることとなるのだが、その恐がり方やいじましさやみーくんへの懐き具合が異常に可愛すぎた。元々まーちゃん派ではない僕としては、思わずこっちでいいよと首肯してしまうほど。これだけでも見る価値がある。まだ上下巻の上巻だけど。
 さて、クローズドサークルものということで、ばんばん、というほどではないが、キャラは死にまくります。大江家の人間は、お手伝いに至るまでキャラの立った癖者揃いなのだけど、それがあっさりとなんの執着もなく殺されていく様がちと恐ろしい。夫の耕造が無能力の無職で、資産家の令嬢である妻の景子のお金に頼っていて、子供たちを一歩も外に出すことなく家の中だけで育てている。歪んだ家庭の崩壊の原因は次巻にて。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(3)死の礎は生

2011-03-08 08:04:05 | 小説
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生 (電撃文庫 い 9-3)
クリエーター情報なし
メディアワークス


「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(3)死の礎は生」入間人間

 無事? 退院したみーくんとまーちゃん。血みどろの戦いから離れて束の間の平和を満喫……したりは当然できない。いや、まーちゃん的には平和なのかもしれないけど、みーくんの日常は理不尽に危険がいっぱいだった。まーちゃんに殴られたり刺されたり小指に穴を開けられて無理矢理赤い糸を結ばれたり。それでもまーちゃんの笑顔で癒されて、なんとかバランスを保っていた。
 ところへ、再び殺人事件が起きた。被害者は同級生。偶然現場近くに居合わせたみーまーの目の前に現れたのは、幼き日に失踪したまま死んだと思っていた妹。当時から動物殺害を趣味としていた彼女の手には、血塗れのバットとナイフが握られていて……。

「電波女と青春男」の作者とは思えない、って毎回書くけど、やっぱり何度読んでも信じられない。それくらい、まったく違うお話。電波人間大集合、な感じはおおむね合ってるけど、そいつらが基本暴力的で人殺しを屁とも思ってないあたりがすごい。主要キャラ? と思っていたキャラが情け容赦なく退場するあたりもさすがの切れ味。ちなみにほめ言葉。
 ストーリー的には若干の謎解き要素あり、ラブ(意外とみーくんてハーレムマスターよね)があり、スプラッターありで、そこに入間人間成分を振りかけた味を想像してみて、親指立てられる人にはおすすめ。
 シリーズ的には1巻で出てた池田兄妹が再登場してきて嬉しかった。杏子かわいいよ杏子。