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はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

神明解ろーどぐらす(4)

2011-03-04 20:34:48 | 小説
神明解ろーどぐらす4 (MF文庫 J ひ 3-10)
比嘉 智康
メディアファクトリー


「おれはよ。千歳も丹下も、ついでにさきっぽも、おれの女だと思ってんだ」

「神明解ろーどぐらす(4)」比嘉智康

 下校マニアの十勝。超絶後ろ向きな美少女・千歳。巨乳ギャル・まりも。美少女写真マニアのさきっぽ。4人の楽しい下校の日々は、ある夏祭りの夜に終わりを告げた。十勝に想いを告げた千歳が、直後自分の脳の中に住む三石留萌に乗っ取られ、十勝に無理矢理キスをして、自分とつき合え、さもなくば千歳の体を使って他の名も知らぬような男とつきあうと脅したのだ。しかもその光景を、まりもが目撃していたのだ。
 というカオスな3巻を経て、4巻はもっとカオスになっていた。衝撃のシーンに心を痛めたまりも宅を訪れた十勝とまりもの胸の痛くなるような失恋トーク。千歳の意識が寝ている夜中に十勝を呼び出し、深夜の下校デートを重ねる留萌。留萌のことをまりもとさきっぽに明かし、留萌探しを求める千歳を責めまくるまりも。
 そして、留萌という存在の謎……。

 …………………………………………。
 おう………………。
 これは衝撃だった。留萌が意外と可愛いかったこと。その出自の壮絶さ。千歳に嫉妬するまりも。ボロボロになったまりもを慰めるさきっぽ。そして、すべての女の子に対する十勝の真摯さ。やっぱいい奴だ、こいつわ。
 楽しい下校シーンはあまりなくて、このシリーズに対する期待としては叶えられていないのだけど、それでもけっこうじーんとくるいい話だった。事の元凶のゲスぶりには怒りを覚えた。そこの部分はあまりにもいらっときすぎて、流し読みした。4人の楽しい日々をぶち壊しにしたあいつとの直接対決の第5巻が待ち遠しい。

神明解ろーどぐらす(3)

2011-03-01 09:40:21 | 小説
神明解ろーどぐらす 3 (MF文庫J)
比嘉 智康
メディアファクトリー


「神明解ろーどぐらす(3)」比嘉智康

 うわーーー、やっぱりやりやがった!! 「ほーんてっど」の作家だからもしかしたらとは思っていたけど、やっぱりドロドロになったじゃないか、こんちくしょう!
 と思っている人は多いと思う。「ほーんてっど」云々はともかくとしても、後半の部分はみんなそうだよね? みんな、ほのぼのにやにやな「ろーどぐらす」が読みたかったよね? なのになぜ・・・!

 下校を楽しむことに青春を燃やし尽くす男・池田十勝を囲むハーレムメンバーは3人。スーパー後ろ向き美少女・千歳、「うちサイコー!」なギャル・丹下、大食い写真部・さきっぽ。そのうち、十勝への恋心に気づいてしまった丹下が序盤から攻勢をかける中、遅れて登場したメインヒロイン・千歳が横からかっさらう流れで、千歳好きな僕としては、心にしこりが残りながらもどこかほっとしていたのだが……だが……。なあああああぁんですかあの展開はっ!? だれがあんなのを望んでいましたかっ!! あんなキャラ登場させる必要がどこにあったっ!!!!
 と、誰もが思うはず。みんな、十勝や女の子たちの変わらない下校風景を楽しみに読んでたはずなのに……。恋心に気づきながらも十勝の鈍感でかわしつつにやにやさせてくれると信じてたのに……。こんな、昼ドラも真っ青な泥沼にしてくれるとは……。

マリシャスクレーム(2)

2011-02-23 08:04:03 | 小説
マリシャスクレーム〈2〉―MALICIOUS CLAIM (メディアワークス文庫)
範乃 秋晴
アスキーメディアワークス


「マリシャスクレーム(2)」範乃秋晴

 やっと出た。クレーム対応小説、待望の続編。
 うん、今回も面白かった。いや、むしろ第一作よりも格段にレベルが上がっていた。IPBC(非人間的異常性悪質クレーマー)というものの存在を、読んでいる側が完全に把握しているから入りやすかった、というのもあるけれど、それだけではない。話の作り込みや導入が凝っていた。派手な見せ場があり、それが不自然でない。見せるべきキャラを絞り、書くべきエピソードを書き込んだ。最初から最後まで、本当に綺麗にコントロールされた小説だった。
 いきなりのエマージェンシーカスタマーセンターへのプルートフォースアタック。鳴りやまない電話。内通者の存在。1人しかいない榊原に対して、複数のIPBCが同時攻撃を仕掛けてくる。ハラハラドキドキの展開に、何度も手に汗を握った。最終決戦での榊原の切り替えしには、拍手を送るしかない。
 一方日常パートでは、たくさんいるヒロインの中の1人でしかなかった宮ノ内可憐が、メインヒロインはわたしだといわんばかりに、榊原への猛アタックを敢行。人を疑うことしか知らない、本気で恋の意味を知らない彼を変えてみせると、不退転の決意で恋人宣言をした。恥じらいも初々しさも忘れず、きちんと属性をキープしたままで。そのぶん他のヒロインズはおざなりになっているけど、もともとが手を広げすぎな感があったのでちょうど良かった。うん、可憐はいいキャラです。
 作者がもともとゲームクリエイターや演劇畑に行こうとしていた人間だというのをあとがきで知って、思わず深く納得した。これは、映画かドラマか、いずれにしろそういった生の役者に演じてもらいたい作品だね。

菜々子さんの戯曲~Nの悲劇と縛られた僕~

2011-02-21 19:55:25 | 小説
“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫)
高木 敦史
角川書店(角川グループパブリッシング)


「菜々子さんの戯曲~Nの悲劇と縛られた僕~」高木敦史

 3年前、小学生だった僕こと坪手と仮称・菜々子さんともう1人は、ある事故に遭遇して大きな傷を負った。もう1人は命を、坪手は体の自由を、菜々子さんは本名で呼ばれると発作を起こすようになり……つまりは名前を失った。
 それ以来、病院のベッドに縛り付けられることになった坪手の病室には、土日を抜かした週5日間、欠かさずに菜々子さんが見舞いに来てくれるようになった。意識はあれども指一本動かすことも、言葉を喋ることもできない、でも物音は理解できる坪手のために、彼女は身の回りで起こったあれやこれや、面白かった小説の話を、彼女流のフィルターを通して聞かせてくれる。可憐で快活だけど独善的で陰険な、菜々子さんの語る世界。それが、今は坪手のすべてだった……。

 小学校時代の坪手と菜々子さんのやり取り。
 今の坪手に一方的に語りかける菜々子さんの言葉。
 小学校時代にいじめられていた坪手の辛い日々。
 おおまかに分けて3つのパートから作品は成り立っている。めんどくさがりでその場しのぎでシニカルな小学生の坪手がどうにも好きになれなくて、そこがクローズアップされるいじめのパートは嫌いだ。いや、あんまり好きな人もいないだろうけど、とにかく小学生らしい残酷さが読んでいて辛くて、なかなか読み進めることができなかった。一方、菜々子さんの出てくる場面は文句なく面白い。クールで非道な菜々子さんが、小学生らしからぬ知力で周囲の人間を思うように動かし、目的を達成していく様は痛快そのもの。主目的が坪手に貸しを作ること、というのも良い。最後のまとめもすっきりしていて、2人のこれからを思うときゅんとなって、良い読後感に浸れた。おすすめ。

変態王子と笑わない猫

2011-02-16 09:29:20 | 小説
変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J)
さがら総
メディアファクトリー


「変態王子と笑わない猫」さがら聡
 
 自身の変態性を隠すために、建前の鎧をまとって日々を過ごしていた高校2年生・横寺。その鎧が認められ、陸上部の次期キャプテンに選ばれてしまったことで、彼はそんな自分が嫌になり、町外れの丘の上にある「笑わない猫像」に願った。するとなんと、彼は心で思ったことをどこでも垂れ流しにしてしまう暴露体質になってしまう。
 露わになった変態性に周囲が音を立てて引いていく中、1人の少女が彼に近づいてきた。彼女の名は筒隠月子。笑わない猫像に本音を奪われ、感情が一切表に出ない機械のようになってしまった彼女と横寺、2人は互いに協力し合い、自分たちの失ったものを取り戻そうとアニマル喫茶でお茶したり水着を買いに行ったり、お嬢様のペットになったりするのだった……?

 ほう。
 けっこう面白かった。横寺の変態性がさほどでもなかったり、笑わない猫像を介して他人から本音と建て前を取り戻そうという思考回路が気に入らなかったりしたのだが、話を読み進めていくうちに、その辺の諸問題はきっかり解決してくれた。やっぱり変態性はさほどでもないけど、取り戻し方には筋が通っていた。
 イラストもそうだけど、女の子キャラは総じて可愛い。猫のように小さくて感情が読めない月子。ぺちゃぱいと世間体を気にし過ぎるお嬢様・小豆梓。陸上部を支配する鋼鉄の王。とくに月子のちょこまかとした動きの可愛さは図抜けている。クーデレな彼女の存在だけでも読む価値は十分にある。

深山さんちのベルテイン

2011-02-14 16:49:27 | 小説
深山さんちのベルテイン (GA文庫)
逢空 万太
ソフトバンククリエイティブ


「コタロー殿、起きるであります、起きるであります」

「深山さんちのベルテイン」逢空万太

 女の子より可愛いために、校内でも女子の制服の着用が認められたほどの男の娘・琥太郎。身も心も女の子な彼を再教育せんと、遠く米国で科学者をしている母から贈られたのは、ベルテインという名のメイドロボだった。
 琥太郎の頭くらいのサイズしかない彼女の役割は、琥太郎の身の回りの世話と、前述の通りの再教育としての実地を伴う性教育。つまりはセッ○ス。蓄積したお手伝いポイントを消費することによって、ある程度の時間なら人間サイズになっていられるという彼女は、事あるごとに琥太郎に迫ってきて……。

 なんて話のはずなんだけど、そういうシーンはあまりない。ちびサイズのベルテインさんと琥太郎の、ほのぼのまったり日常パートがメインだ。そこに、幼なじみの理々や耕平、理々の家の犬のディアナや理々母、琥太郎を目の敵にしつつも実は惚れてる金髪ヤンキー(男)などがアクセントとして絡んでくる展開で、なんとなく「あずまんが大王」を思い出しながら脱力しつつ読んだ。
 主人公が男の娘ってのが微妙なんだけど、ベルテインさんのちょこまか具合が好みなので楽しめた。

なれる! SE2

2011-02-11 08:23:36 | 小説
なれる!SE 2 (電撃文庫 な 12-7)
夏海 公司
アスキー・メディアワークス


「なれる! SE2」夏海公司

 ブラック企業・スルガシステムに入社して1ヶ月。ハイパーエンジニアで見た目幼女な室見のしごきにも耐え、なんとかかんとか日々を過ごしている工兵の前に、彼女は現れた。同じくスルガシステムに入社して1年。OA部の姪之浜梢。見た目おどおどとして子犬のような彼女とひょんなことから仲良くなった工兵は、しかしそれが原因でSE部とOA部の、構築と運用の、室見と梢の諍いに巻き込まれることに。なんとか2つの部署と2人の仲を取り持ちたい工兵。しかしそこには、根の深~い対立構造が横たわっていて……。

 ブラック企業はじめて物語、第2弾。
 あんまり室見がヒロイン的行動をしないので(どちらかというと戦友?)、テコ入れとして登場した新キャラの梢、これがけっこういい味出してる。工兵に惚れているというのもポイントだが、仕事に関する情熱が、室見に負けず劣らずなのも良いところ。もともとマゾい仕事への情熱が売りのシリーズだけに、こういうキャラは生きる。
 構築と運用の対立構造とジレンマ、というテーマも良かった。こういった、学校では教えてくれないリアルな社会構造を描いてくれるのがとても好きだ。お仕事マンガだと普通だけど、ライトノベルでこの試みは珍しい。「電撃SSガール」なんかがそれ系ではあるけれど、あっちはもっと大きな戦場だしね。こういう身近なほうが好み。
 個人的に今回一番のツボは、室見と梢のメールのやり取り。社会人としての最低限の礼儀をわきまえながら、それでいていかに相手をこき下ろしてやろうかという悪意の応酬が見もの。

笑わない科学者と咲く花の魔法使い

2011-02-09 10:59:46 | 小説
笑わない科学者と咲く花の魔法使い (HJ文庫)
内堀優一
ホビージャパン


「笑わない科学者と咲く花の魔法使い」内堀優一

 何者かの陰謀で、隔界から解呪され、現実世界に放り出された磐長。彼女を保護し、束の間の平和を謳歌する耕介を、とうとう現れた黒幕の魔の手が襲う。科学ならぬ怪しき術で意識を飛ばされた彼は、囚われの身となった咲耶を救えるか? 物理と魔法の化学反応ファンタジー第3弾。
 そして最終巻……なのかな。もうちょっと先のある話だと思ってたけど、まさか3巻で終わるとは思わなかった。残念。黒幕があの人で、あんな動機ってのは唐突すぎる。フラグも回収しきれていないし、化学反応だってあんまりしてないし、このまま終わっちゃうのは寂しいね。
 エピローグは綺麗だった。当初から作者の想定した終わり方なんだなというのはわかった。ついでに短編とか出してくれると嬉しいかも。せっかく取り戻した平和と、これからが楽しみな日常パートと、味わい尽くしていない部分がたくさんある。あすみと咲耶と耕介の、3人の微妙な三角関係が好きだっただけに、ひじょーに残念。もっと読んでいたかった。

王ディション!(2)

2011-02-06 08:04:36 | 小説
王ディション! 2 裏切る場合もございますが使用上問題ありません。 (集英社スーパーダッシュ文庫)
淺沼 広太
集英社


「王ディション!(2)」浅沼広太

 突如として王位継承レースに強制参加させられたものの、育ての親のしつけが行き届いていたおかげで緒戦をさっくり勝った天斗。当の敗者のアンジェラが居候同然に転がり込んでくるというアクシデントがあった以外はおおむね順調に推移していた。
 どMでどこでも即座に妄想発情体質の頼奈は相も変わらず様々なものでエレクトしていて。スク水姿がデフォの燐は、天斗と頼奈をくっつける為に細やかな気遣いを見せ、天斗に対しては一歩引いた位置に落ち着いた。アンジェラは客将を自称して、天斗陣営内での有力者を気取るものの、天斗にもみんなにも残念がられるばかりであまり相手にされていない。
 そんな中、燐が次なる戦いに備えた人材登用を提案する。素直に同意した天斗が裏の世界に人材募集の公告を出すと、即座に1人の人物が名乗りを挙げた。その名はネイ。裏の世界に名を轟かすゲーン一派のエリートの彼女は、明晰な頭脳で様々な有益な作戦を立案するが、どうにもおかしな態度が目について……?

 王様系ラブコメ第2弾……は、残念な結果になってしまった。どこかの歯車がおかしい。何かが噛み合っていない。そんな違和感を覚えた。
 アンジェラがでしゃばりすぎ。頼奈がメインヒロインのくせにサブキャラみたい。燐が天斗への想いを抑えすぎ。などキャラ的にもいろいろあるのだけど、一番の問題は戦いがつまらんところ。玉当てやら料理対決やら、色々と趣向を凝らそうとしてはいるのだろうけど、それが逆に浮いている。だって、仮にも裏の世界の王様目指してるんでしょ? あんたら。なのになんでそんなことしてんの? そんな疑問ばかりが浮かんできて、ラブにもコメにもいまいち乗り切れなかった。

カンピオーネ!(7)斉天大聖

2011-02-03 20:11:41 | 小説
カンピオーネ! 7 斉天大聖 (集英社スーパーダッシュ文庫)
丈月 城
集英社


「カンピオーネ!(7)斉天大聖」丈月城

 6巻からの続き。話の流れ上、羅濠教主と義姉弟の契りを交わした護堂の次なる相手は、あの斉天大聖。不完全ながらもひかりの体をヨリしろとして蘇った無敵の神が、日光付近の人間を猿にし、豚やら河童やらという例の方たちを属神として呼び寄せた。そのあまりにも強大な力を前に、護堂と羅濠教主、そしてアメリカのカンピオーネ・ジョン・プルートー・スミスの3人は手を取り合い、共同戦線を張る。ここに、日・中・米の、夢の3国同盟が締結された!

 熱い。強力無比な斉天大聖を前にしてもまったくくじけない護堂と、そんな彼を信じてやまない女の子たちの信頼関係が熱すぎる。
 みんながみんな真剣なので、ちょっとすると厨二病全開だね、なんてバカにして切り捨てられそうな呪文の詠唱や、大仰な動作の一つ一つまでにも、バカにできない迫力が満ちている。
 そして、そっち方面でも、過去最大級の出来事があった。6巻読了時点で、18禁じゃないのか、なんて思っていた自分を殴ってやりたい。これは確定で18禁です。儀式のためとはいえ、権能を振るうためとはいえ、まさかハーレムガールズ全員との秘め事のシーンがあろうとは……。護堂の騎士になりながらも常に冷静な自分であろうと努めているリリアナに、まさかあんな台詞を吐かせるとは……。さらにさらに、羅濠教主やプルートーまでもが彼に深い興味を寄せていて、ハーレムインも遠い話ではないかもしれないときた。草薙護堂、恐るべし!