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サティ入口 消えた横断歩道

2024-02-22 23:18:54 | 秋田のいろいろ
2022年にイオン秋田中央店前の県道28号の停止線を取り上げた
信号機のある交差点の停止線が、その交差点の直前にあるイオン敷地内への入口の分岐と重なる位置に引かれており、手前でイオンへ左折する車は、信号機に従うべきか否か、どちらにも解釈できる状態で長らく運用されていた。秋田県公安委員会・秋田県警察本部・秋田中央警察署の怠慢と言わざるを得ないだろう。
それが、2022年度に、左折車線のみ停止線が前方(交差点内寄り)へ引き直され、手前からイオンへ入る車は、信号に従う必要がないことが(交通法規を理解している者にとっては)明確に分かるように改善されていた。
(再掲)2022年・停止線移設後
2024年始時点でも停止線は変わっていないが、その場所のほかの白線が、いつの間にか変わっていた。2023年度内のどこかか?
2024年2月撮影
車道ではなく歩道のほう。
2022年の記事でも触れているが、県道の北進車線には、[信号に関わらず左折できる“第2の入口”]と[信号に従って左折する“第1の出入口”]が連続して存在する。2024年の写真で自転車が通っている手前が第2の入口。第2の入口は交差点外なので、横断歩行者、通行車両とも信号機に従う必要はない(ここへの影響で停止線が移設された)。
以前は、どちらもゼブラの横断歩道の白線(道路標示)で、第2の入口は県道の進行方向から見て横方向に5本の線だった。今はゼブラを消した跡があり、進行方向と平行・縦方向の両端に1本ずつの線が新たに引かれた。

この標示は何を意味するのか。自動車教習所や運転免許更新時講習で教わった記憶もない(と思う)。
同じようなものが、秋田市内のほかの場所にもある。
(再掲)2020年4月
県道28号・手形陸橋の東詰め(手形側)で、県道と小さな市道が交わる箇所の、県道の歩道が途切れた部分。以前は何もペイントされていなかったが、2019年の全面開通からしばらくした頃、縦の白線が2本引かれ(イオン前より細い)、間が緑色にカラー舗装された。
上の写真では、市道をまたぐ白線部分のみ緑色だが、この後、手形陸橋本体の歩行者通行部分も、ここに連続して緑色(自転車部分は赤茶色)にされている。
ほかに、泉外旭川駅の駅前広場には、線の間が歩道部分の舗装に合わせたピンク色や、駐輪場付近は水色で塗られたものがある。

ネットで調べても、あまり情報がない。例えば「路面表示一覧」などで検索しても、これを取り上げていないページばかり。ただ、法令に基づくものではある。「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」第五条別表第三に定める「歩行者横断指導線」なるもの。「区画線」に分類され、「横断指導線」と略されることもある。【23日補足・まれに「指導横断線」とする用例もある。】
別表第三において、設置場所は「歩行者の車道の横断を指導する必要がある場所」とされている。線の太さは0.15m~0.30m。
1992年までは、ゼブラの横断歩道でも横線と合わせて縦線が引かれていた。それを考えれば、昔の横断歩道からゼブラ模様を取ったのが、この横断指導線と見ることができそう。

実際の運用としては、横断歩道を設置する条件を満たさない箇所において、横断歩道に準ずるものとして設置されることが多い。最近は、通学路や生活道路の交通安全対策が重要視されて、カラーペイントとともに導入されることがあるようだ。
神奈川県秦野市のホームページ「通学路の安全対策(https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1659485774324/index.html)」では、「交通量が多く、児童生徒が横断するのが危険とされている箇所について、設置基準により横断歩道の設置が困難なため、代替案として、歩行者が横断する場所を明確に示す「歩行者横断指導線」(緑色の部分)を施工しました。」と紹介されている。

横断歩道ではないので、通過車両は横断しようとしている歩行者を優先させる義務は生じない。しかし、横断禁止箇所ではないわけで(指導線があろうとなかろうと)、すでに横断している歩行者を妨害するのは違反。


では、歩行者横断指導線を引く(管轄する)のは、警察か道路管理者か。
道路標識では、上記「~命令」において、どの標識はどちら(一部は両者)と明示されている。ところが、道路標示や区画線については言及がない。Wikipedia「日本の路面標示」には「路面標示は都道府県公安委員会が設置する道路標示と道路管理者が設置する区画線」とあり、個人サイトなどでも同様のものが見られる。
しかし、国土交通省サイト内にある昭和40年1月26日付の通達「道路交通安全施設の整備について」の「区画線の設定区分について」では、「区画線は、道路構造の補完的施設として、舗装整備に合せて効果的な設置をはかるべきものであるが、従来道路管理者の設置すべき区画線と公安委員会の設置すべき道路標示との間に明確な設置区分がないため、設置計画上問題が多かった事情にかんがみ、今回暫定的取扱いとして設置区分の原則を下記のように定めた」として、区画線のうち、どれを誰が設置するかが表で示されている。
「歩行者横断指導線」は、「道路管理者の設置すべきもの」欄は斜線で、「公安委員会の設置すべきもの」欄は「全箇所」となっている。秋田県では、横断指導線の設置工事は、たしか秋田県警から発注されている。実態としては、道路管理者と警察が共同で連携して設置することもあるだろう。ただし、泉外旭川駅前は、公道ではなさそうな場所なので警察の入る余地がなく、秋田市(建設部ではなく、駅前広場を所管する都市整備部)が独断で設置した可能性がある。
ネット上で、横断指導線が道路管理者管轄とされているのは、「停止指導線【23日訂正】指導停止線」と混同している可能性もあると思う。停止指導線【23日訂正】指導停止線とは、「止まれ」の白線に類似した、停止義務がないもの。長崎県警察本部のホームページで詳しく説明(https://www.police.pref.nagasaki.jp/police/kotsu-anzen/kotsu-kisei/teisisen/)されていて、それは道路管理者管轄とのこと【23日追記・秋田市内では「広小路西」交差点に1本あるのが指導停止線だと思われるが、信号機がある交差点なので意味合いは複雑そう。本来の用途と違う気もする】。


イオン秋田中央店入口では、長年横断歩道だったものが、歩行者横断指導線に“格下げ”されたことになる。警察が改めて調べてみたら、横断歩道の基準を満たしていないことが判明したのかもしれない。
近年は、運転者の横断歩道での歩行者保護意識が高まりつつある(それでもまだまだまだ不充分)が、横断指導線が何を意味するのか知らない人は(歩行者も含めて)多いだろう。仮に知っていたとしても、「横断歩道ではないから止まらなくていい」と都合良く解釈して傲慢な運転をする者もいなくはないかもしれない。
上記の通り、横断指導線とは、歩行者に対して横断位置を指導するものとされている。手形陸橋や泉外旭川駅駅前広場の場合、交通量の少なさと線形から、ショートカットなど危険な部分で渡ってしまう歩行者がいる可能性があり、指導線で示して誘導する意味はあると思う。でもここの場合、指導されるまでもなく、たいていの歩行者はその部分を通行するだろう。むしろ、運転者に対して歩行者が横断する場所であることを指導する意味合いのほうが強そうで、横断指導線の本来の用途とは違ってしまっている気もする。

格下げによって、危険な場所になってしまわないか、心配ではある。
繰り返すが、横断歩道でなくても、横断禁止箇所以外において、すでに横断している歩行者を妨げるのは違反。
それは、横断歩道も横断指導線もない、小さな交差点でも適用される。
さらに、沿道の店舗や駐車場など道路外へ、歩道を横切って出入りする時は、一時停止し、歩行者を妨害してはならない(道路交通法第十七条第2項)。イオン秋田中央店の第2の入口の場合、これに該当しそうな気もするが、横断指導線が引かれたということは、そうじゃないのだろうか。
とにかく、どんな場所でも歩行者も運転者も充分に注意して通行しましょう。

【5月3日追記・他の箇所でも同様の変更を確認】MEGAドン・キホーテ秋田店の北側、県道56号に面した、長崎屋バスターミナルの出入口も、同様に横断歩道から横断指導線に変更されていた。
イオンと比べると、こちらは路線バスと搬入車などの業務用車両しか出入りせず、幅が広い(横断歩道・指導線が長い)という違いはある。
【5月14日追記】一方で、同じような条件である、県道56号のイオンタウン茨島には、横断歩道も指導線もなし。

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