春の花の話。季節・風景カテゴリーの前回に続いて、今回は植物カテゴリーにします。引き続き、盛りを過ぎて終わりかけの花で恐縮です。
今回はツバキ(椿)。
日本に自生するのは、赤い花弁で、おしべがたくさんあるヤブツバキ。その寒冷地版(近縁の別種の位置付けらしい)をユキツバキと呼ぶようだ。
秋田県男鹿市と青森県平内町が、ヤブツバキの自生北限地として知られる。じゃあ、ユキツバキはどうなのかと調べたら、秋田県仙北市田沢湖が北限(秋田県指定天然記念物)ということを、初めて知った。
栽培は、少なくとも秋田市内では容易で、民家の庭や生け垣などでよく見かけ、放っておいても育って咲く。サザンカも珍しくはないが、ツバキのほうが多い(サザンカの自生北限地は山口県だそう)。そういえば、弘前ではツバキを見たことないかも??【2日補足・弘前城植物園などにはツバキがあるとのこと。】 柿やイチジク【2013年11月27日の記事】、ヒガンバナもそうだったが、この辺が栽培でも北限なのか。
ツバキは、全国的には冬の花ととらえられるかもしれない。秋田では冬に咲かなくもないが、春の花のイメージが強い。品種や環境の差もあるのだろうが、ソメイヨシノが散った頃には、ツバキもそろそろ終わりか。
乙女椿(オトメツバキ)
ピンクの花の八重咲き(ツバキでは「千重咲き」と呼ぶらしいが、植物全般の一般的呼称として八重咲きとします)で、そこそこ見る品種。秋田駅前のかつてのJR東日本秋田支社社屋前にもあった【2010年5月10日の記事】。
ネットでは、乙女椿にはおしべやめしべがあるとする記述も見られるが、誤りだと思う。「乙女サザンカ」というのもあり、それはおしべめしべができるものもあるそうで、混同しているのでは。乙女椿は、典型的な花の器官形成のABCモデルに従い、おしべとめしべが花弁に変わったのだろう。したがって、種はできない。
今回の乙女椿は、
大きな木が1本
乙女椿もこんなに大きくなるのかと驚く、というか野生のヤブツバキも見たことがないので、これまでに見た最大のツバキかも。
樹形は不格好
この木が生えているのは、階段の脇の斜面。2012年3月24日の記事の最後にも、少し出てきた。
右奥は市立明徳小学校
所在地は千秋北の丸。明徳小学校裏の道路と、東側の谷底にある住宅地を結ぶ階段。高い所も、東の谷の下も、反対の西のふもとも、全部千秋北の丸。
乙女椿の階段は、途中で折れ曲がるくの字というかヘアピン状に近い形で、柵兼手すりと自転車用スロープ付き。さらに、写真手前に写っている、使うことができない、手すりのない古い一直線の階段も残っている。過去の航空写真を見ると、今の階段は1975年から1984年の間にできた。明徳小が現在地へ移転した(1981年)のと同時期の設置かもしれない。

階段があるのは斜面というか崖であって、昔は何かの敷地だった(その自体に植えられていたものが残った)というわけではないだろう。種ができない乙女椿だから、何の拍子に種が運ばれて発芽してということもなさそう。
ツバキはこの1本だけだが、階段沿いの隣には、別の樹木が何本か生えているので、この階段ができた頃に、地域の人(人たち)が植えたのかもしれない。
違う場所。
もうかなり散ってしまっていた

赤と白が混ざる花弁(絞り咲きとはちょっと違う?)で、少なくともおしべはあるが、花弁は八重というタイプ。見るからに園芸品種なのだけど、咲く場所は、
放置自転車の上?
千秋久保田町、秋田県立循環器・脳脊髄センター(旧・脳研)裏の崖の途中。

ここは、道路拡張前は大きなソメイヨシノがあった【2011年4月21日の記事】し、近年はキウイ? も生えている【2023年9月19日の記事】。ほかにも、乙女椿も1本咲いていたし、アジサイもある。
このツバキは種子ができるはずだから、アナグマとかハクビシンのような動物が運んだのだろうか。ただ、アジサイもあることからすれば、誰かが植えたのか。道路拡張前は、崖下に民家が並んでいたはず。だけど、その人たちがわざわざ崖の上に登って植えるものだろうか。
どちらのツバキも生えた経緯はともかく、おそらく今は手入れする人がいなくなって野生化した、“野良椿”。それでも、毎年咲く。
今回はツバキ(椿)。
日本に自生するのは、赤い花弁で、おしべがたくさんあるヤブツバキ。その寒冷地版(近縁の別種の位置付けらしい)をユキツバキと呼ぶようだ。
秋田県男鹿市と青森県平内町が、ヤブツバキの自生北限地として知られる。じゃあ、ユキツバキはどうなのかと調べたら、秋田県仙北市田沢湖が北限(秋田県指定天然記念物)ということを、初めて知った。
栽培は、少なくとも秋田市内では容易で、民家の庭や生け垣などでよく見かけ、放っておいても育って咲く。サザンカも珍しくはないが、ツバキのほうが多い(サザンカの自生北限地は山口県だそう)。そういえば、弘前ではツバキを見たことないかも??【2日補足・弘前城植物園などにはツバキがあるとのこと。】 柿やイチジク【2013年11月27日の記事】、ヒガンバナもそうだったが、この辺が栽培でも北限なのか。
ツバキは、全国的には冬の花ととらえられるかもしれない。秋田では冬に咲かなくもないが、春の花のイメージが強い。品種や環境の差もあるのだろうが、ソメイヨシノが散った頃には、ツバキもそろそろ終わりか。

ピンクの花の八重咲き(ツバキでは「千重咲き」と呼ぶらしいが、植物全般の一般的呼称として八重咲きとします)で、そこそこ見る品種。秋田駅前のかつてのJR東日本秋田支社社屋前にもあった【2010年5月10日の記事】。
ネットでは、乙女椿にはおしべやめしべがあるとする記述も見られるが、誤りだと思う。「乙女サザンカ」というのもあり、それはおしべめしべができるものもあるそうで、混同しているのでは。乙女椿は、典型的な花の器官形成のABCモデルに従い、おしべとめしべが花弁に変わったのだろう。したがって、種はできない。
今回の乙女椿は、

乙女椿もこんなに大きくなるのかと驚く、というか野生のヤブツバキも見たことがないので、これまでに見た最大のツバキかも。

この木が生えているのは、階段の脇の斜面。2012年3月24日の記事の最後にも、少し出てきた。

所在地は千秋北の丸。明徳小学校裏の道路と、東側の谷底にある住宅地を結ぶ階段。高い所も、東の谷の下も、反対の西のふもとも、全部千秋北の丸。
乙女椿の階段は、途中で折れ曲がるくの字というかヘアピン状に近い形で、柵兼手すりと自転車用スロープ付き。さらに、写真手前に写っている、使うことができない、手すりのない古い一直線の階段も残っている。過去の航空写真を見ると、今の階段は1975年から1984年の間にできた。明徳小が現在地へ移転した(1981年)のと同時期の設置かもしれない。

階段があるのは斜面というか崖であって、昔は何かの敷地だった(その自体に植えられていたものが残った)というわけではないだろう。種ができない乙女椿だから、何の拍子に種が運ばれて発芽してということもなさそう。
ツバキはこの1本だけだが、階段沿いの隣には、別の樹木が何本か生えているので、この階段ができた頃に、地域の人(人たち)が植えたのかもしれない。
違う場所。


赤と白が混ざる花弁(絞り咲きとはちょっと違う?)で、少なくともおしべはあるが、花弁は八重というタイプ。見るからに園芸品種なのだけど、咲く場所は、

千秋久保田町、秋田県立循環器・脳脊髄センター(旧・脳研)裏の崖の途中。

ここは、道路拡張前は大きなソメイヨシノがあった【2011年4月21日の記事】し、近年はキウイ? も生えている【2023年9月19日の記事】。ほかにも、乙女椿も1本咲いていたし、アジサイもある。
このツバキは種子ができるはずだから、アナグマとかハクビシンのような動物が運んだのだろうか。ただ、アジサイもあることからすれば、誰かが植えたのか。道路拡張前は、崖下に民家が並んでいたはず。だけど、その人たちがわざわざ崖の上に登って植えるものだろうか。
どちらのツバキも生えた経緯はともかく、おそらく今は手入れする人がいなくなって野生化した、“野良椿”。それでも、毎年咲く。