広く浅く

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公営交通バス停上屋

2021-01-28 20:30:24 | 秋田市営バス
通町下りバス停の続き。今回は過去へさかのぼって。
現在
上の写真の通り、上屋の梁というか、屋根の下の道路と平行な部分には、秋田市章のほか、「財団法人日本宝くじ協会 協賛」「社団法人 公営交通事業協会」と表示されている。

市章や「公営交通」は、今となっては場違いだが、ご記憶の方も多いように、2000年度までは、通町を通る全路線を秋田市交通局(秋田市営バス)が運行していた。2001年度から段階的に中央交通に移管され、2006年度から全路線中央交通。
市営バス時代に設置された上屋ということになる。
それに通町は、1990年代後半に道路拡幅・再開発が行われ、現在の街並みになった。それ以降に設置されたことになる。
ちなみに、拡幅前には、小さめで(たしか内部に椅子や接近表示器も備えた)壁付きの上屋というか待合所があったが、おそらく民地内に設置。歩道はとても狭かった。

県立体育館前下りのソーラー照明付きポールの記事で触れているが、この上屋は公営交通事業協会の「モデルバス停留所施設 設置事業」で設置されたらしい。
全国の加盟事業者にも設置されていて、ほぼ同じ上屋が全国的にあるようだ。近年も継続していて、仙台市交通局には2015年度に設置されていた。通町のと色も形もよく似ているが、屋根は平らで、全体にやや細身な印象。同局ホームページには「宝くじの収益金により社団法人公営交通事業協会を通じ寄贈されたものです。」とある。


公営交通事業協会ホームページによれば、秋田市交通局にこの上屋が設置されたのは1992、1996、1999年度。通町はそのどれかになるけれど、拡幅の時期からして、通町は1999年度設置だろう。
各年度に複数設置された可能性もなくはないが、知っている限りでこの上屋があるのは通町とあと2か所。それぞれ細部が異なるので、違う年に設置された可能性が高く、各年度1つずつではないだろうか。

残りの2か所は、市立病院西口上りと新屋西線側の豊町上り。そちらを見ておく。
2018年撮影。市立病院西口
市立病院裏の通りは、道路改良工事が行われた。写真はほぼ完了した頃。
微妙な距離を置いて、交通局末期に設置された、埋込式・赤色LED点滅のポールが立つ。

2019年撮影。豊町
こちらはダルマ型で、移管直後に交換された、JTCウインRの表示板。

3つの上屋は梁に表示された内容が、それぞれ多少違う。書体はいずれも写研「ゴナ」かな。
冒頭の写真の通町の内側(歩道向き)では、市章が緑(公式な市章のカラーである若草色)、やや小さめで「通町」のみ。右に宝くじと公営交通協会名。そして梁中央部が、幅は同じで少し凹んでいる。
裏の外側(前回記事に写真あり)では、左が宝くじ・協会。右に内側と同じくらいの「通町」。中央には大きな文字で「ここは大町一丁目2番」と所在地表示。
なお、通町と他の2つでは、屋根の支えや透明板の色が違うが、後述。

市立病院西口
内側は市章が白。右に宝くじ・協会。
中央のくぼみがなく、幅いっぱいに通町より大きな文字で「次は/市町村会館前」「ここは市立病院西口」。
外側は通町と同じだが、所在地は「ここは川尻総社町6番地先」と微妙に異なる書き方。

豊町は、内側は市章白、文字は通町程度の小さい文字で上下に「豊町」「次は新川橋」。中央には枠の下に飛び出た「枠」というか「額」みたいなのがある。
外側はやはり所在地のみ異なり、わずかに小さい文字で「ここは新屋豊町地内」番地なし。
2012年12月撮影ストリートビュー。縦に圧縮されて写っている。「地内」右下に何か書いてあるように見えるのは、Googleの著作権表示
上のストリートビューでは、外から見て右側(バス進行方向先方)の屋根の上に、何かが飛び出ている。2015年8月のストリートビューではなくなっているが。
これは記憶にあった。
記憶になかったが、昔の通町でも…
2002年3月撮影
豊町と同じ進行方向先方側に、丸いアナログ時計が飛び出ている。
豊町、通町とも同じ時計のようで、両面、蛍光色の文字盤と針で、ソーラー駆動。

僕はこの頃、下り通町バス停をとてもよく利用していたのに、時計の記憶がない。バスを待つ客の視点では、見えにくい位置ではある。
そして、おそらく通町のほうが先に撤去されてしまった。

市立病院西口に時計が付いていた記憶はないが、実際は不明。
ちなみに全国的には、時計のあるものもあるが、近年のものは元からなさそう。
以上そこそこ違いはあるわけだが、市立病院西口と豊町、どちらが1992年、1996年なのかは特定できなかった。
また、バス接近表示(バスロケーションシステム)が設置されても良さそうなものだが、3か所とも設置されたことはなかったかと思う。でも豊町の額みたいな部分には、取り付けられなくもなさそうだけど…


2001年3月の夜の通町。左上に時計がちょっと写っている
設置から2年くらいのはずだけど、もうサビが出ている。屋根のアーチ状の支えは、他の2つと同じ構造で今と異なり、後年に交換されたことになる(後述)。

この頃のポールは、1986年度に50基設置された「二面体」と呼んでいたタイプ。面積が大きく軽くて風に弱くすぐ倒れる上、プラスチックだから壊れやすい。(過去の記事)改めて上屋と比べると、とても背が高い。
写真の通町のものは、枠は目立った破損はなさそうだが、表示板にはナールらしき活字で「通町」だけなので、オリジナルとは異なる。オリジナルは「市営バス」や「次は~」があり、バス停名は手書きだった。
移管後、ポールごとダルマ型・JTCウインRに交換されたことになる。


移管後の屋根の変化。
2013年6月頃(この記事後半)に、屋根にソーラーパネル4枚と、先方の柱に「秋田県EVバス技術力向上事業 スマートバスストップ(太陽光発電式 自立型バス停) 株式会社アイセス」と表示されたベージュ色の箱、さらに梁中央に小さなLED灯具が設置された。この時までに、屋根が変わっている。
これは秋田県が主導したコンソーシアムが作って、中央交通に委託して走らせた蓄電池式のEVバスに付随した事業。近年はEVバスは行方不明、ここの照明も光ってはいないと思う。
(再掲)設置直後。光ってもこの程度ですが


この上屋は全国共通仕様らしく、風よけの壁がなく、積雪や潮風にも弱そうで、構造と材質が寒冷地・積雪地には向いていないように見える。そのほかにも、各地の実情やバス待ちの風習(?)の違いもあるだろう。
そして、秋田では上屋のあるバス停は減少傾向。老朽化で撤去されたり、道路改良や経路変更があると、新設されないことが多いため。
宝くじさんには、公営交通に限らず、民営交通に対しても同様の支援をしてもらってもいいかもしれない。
※前後する時期に、交通局が独自に設置していたと思われる、壁付き上屋について
コメント (12)
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