田神六兎の明るい日記帳

田神六兎の過去、現在、そして起こるであろう出来事を楽しく明るくお伝えします。

「宿題代行業は詐欺罪?」その2

2014年08月29日 | 日記
 女子大で非常勤講師を勤めていました。コンピュータ実習はおよそ半年間続きます。一週2コマ3時間の講座を12~13回です。一人一台のパソコンに向かい、自分の作品を作るのですが、評価はとても難しいのです。表現は素晴らしいが、内容が充実していない。着眼点は素晴らしいが結果に至っていないなどです。作品は稚拙だが、一生懸命さが感じられる作品もあります。それぞれの作品にはそれなりの評価をしてあげたい思いがありました。

 PC教室はPCにのめりこむ娘、講師ばかりをあてにし何かとヘルプを頼みに来る娘、PCに音楽CDを入れ遊ぶ娘、それはもう金魚鉢の金魚状態でした。半年間の結果、実習の評価は作品を提出すれば単位は与えました。実習の第一目標はPC操作とソフトの習熟です。さらに作品がキラッと光れば『優』一生懸命さがあれば『良』提出さえすれば『可』としました。データには作品を作る半年間の間のソフト稼動時間が刻まれます。作品のデータを解析すれば作品完成までに費やした時間が分かりました。授業外でも開放していたPC教室へ来たり、情報館へ行ったり、持ち帰って自宅のPCで製作したりコツコツ努力した子は評価してあげました。

 
 ある年度の受講生、彼女のご両親は私と同業者でした。講座を休みがちだった彼女は作品が少しも進捗せず、提出が危ぶまれました。提出期限の中ほどに提出しましたが出来栄えは素晴らしく、学生の手による作品には見えませんでした。プロの私から見れば、この作品が彼女の手によるものではないことは明白でした。評価を大いに迷いましたが、私は逐一隅々までチェックし赤ペンを入れました。この実習は実務と変わらない作業であり、この作品が受講生の保護者の代筆であれば、それに正しく答えるのが教育者の立場であり、かつプロ同士のお付き合いだと思ったからです。

 試験結果の評価は、期日までに学校に届けると同時に、再試験要綱も学校に送らねばなりません。彼女には赤ペン入りの作品を学校から郵送してもらいました。同封した通信文に「赤ペン部分は訂正が必要です。正しく訂正できれば『優』を与えます。訂正する時間がなければ自己評価を申告してください」と書きました。

 後日、彼女と母親連名の手紙が届きました。「自己評価『可』でお願いします」と書いてありました。してやったりと私は思ったのでした。いま彼女はご両親の下で働いているそうです。とても活躍しているという噂です。