森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

クモマグサ

2011年03月20日 | 自然観察日記
園芸店でよく見かける洋種クモマグサ。ユキノシタ科の花で日本にも高山植物としてクモマグサという種があります。高山植物はめったに観察できませんが、こういう花を使って勉強もいいものです。
クモマグサというのはアップで見ると雌しべが2個あってそれが独立していて子房の部分がかなり分かれているのが面白いですね。雌しべの柱頭の構造も、花粉が付着しやすいように工夫してあるのでしょうか、もじゃもじゃ頭です。

スノードロップ

2011年03月19日 | 自然観察日記
春先の庭にはしばしば見られるスノードロップ、そう遠くない時期に見られなくなるかもしれないと知人が話をしていました。理由は産地ヨーロッパでは絶滅危惧種で手厚く保護されるようになっているとのこと。もちろん採取や売買にも制限がかかっているはずです。一方、過去に採取し増殖していたのですが、この種の栽培がなかなか難しくて沢山増やせないのだそうです。ふやすより死滅するほうが多いためいづれ周りから消えるのだという話でした。そういう話を聞くと、それほど興味関心を持たなかったスノードロップ、単なる消耗品扱いしていてはいけないと強く思いますね。

イベリス

2011年03月18日 | 自然観察日記
1000年に1度の震災という話もあるくらいの巨大地震、その爪跡は計り知れないものがあります。自らも規模は小さいながらそれほど遠くない時期に2度の地震の災禍に合いました。被災された方の気持ちは少しは分かるつもりです。原発の事故についても憂慮しています。でも、うろたえていません。歳のせいかもしれませんが、この事故は理論上決してスリーマイル島のそれ以上にならないと確信しているからです。マスコミのせいもあるでしょう付和雷同する方が多いような気がします。単純なことを言えば立ち直ること以外にないのですから、被災された方々は周りの力を借りてその方向に進まなければならないのです。周りの人はそれを支えるというのが原則で、買占め買いあさり等というような行動を起こすことは慎みませんか。こういうときこそ、自然に心をおき自らを見つめるといいですよ。

アブラナ科を十字花(あるいは十字状花)という場合がありますが、このイベリスは花弁は4枚でも「十」のイメージとは少し外れます。なんとなく蝶ネクタイをした姿に見えます。
地中海のイベリア半島にちなんだ花とか、すっかり日本の花壇などに定着してよく見かけるようになりました。日本のアブラナ科の多くが性質が強く庭から逃げ出したりして野山に散見されるのに、かなりおとなしいのかあるいは低温がやや苦手なの、ほとんど野生化していません。

ペペロミア

2011年03月17日 | 自然観察日記
目立つ花から一変して、コショウ科・サトイモ科の植物はなんとも目立たない花を作ります。観葉植物の多くに名前を連ねているのですが花についてはほとんど話題に上りません。これはコショウ科のペペロミアの一種の花序。拡大鏡でも使わないと何がどうなっているのか分かりませんが、もやぁーとした毛のようなのがしべで、雄しべか雌しべこの時点では判然としません。一応両性花ということになっているので両方があるのかもしれません。
ここまでくると花粉の媒介は「風」でしょうからこういう地味な形態でも目的は果たせるのでしょうね。植物の適応の仕方に実に幅広なパターンがあるのに感心させられます。興味が尽きません。

アナナス

2011年03月16日 | 自然観察日記
グズマニアというアナナス(パイナップル科の総称)で、これも色鮮やか。栽培の注意点に直射日光は避けるなどという言葉がありますから、これも日陰の植物なのでしょう。この類の主要な山地が中南米でいわゆる雨霧林に生息しています。いつも雲に覆われた生育環境ですね。着生性のものがおおくて乾燥に強い性質があるとのことです。この仲間も色鮮やかなのは花でなく苞葉です。

シラカバ 雄花

2011年03月15日 | 自然観察日記
雄花穂というほうが正確でしょうか。まだつぼみの状態ですが、なんとなく脹らんできたような感じがします。ただの枝先のように見える木々も、細かく見ていくとさまざまな表情を持っているのですね。鱗のような配列や色彩の濃淡、青空に生えて綺麗です。

シラカバ 幹

2011年03月15日 | 自然観察日記
シラカバの枝が枯れた跡の傷が塞がった部分。眼のようでもあり、樹が睨みつけている感じさえします。この部分は白い樹皮が発達しないのですね。それでも、周囲が肥厚しやがてこの傷を埋めるように発達してくるような気がします。
シラカバは標高1000m以上の亜高山帯に良く見られる樹種でしばしば大群落を作っています。いわゆる陽樹で自然の森を伐採した跡に芽吹いて、成長も早いことから案外簡単に純林を作るのことができます。カバノキの仲間は似たような性質があって各樹種の好みの場所に群落がありますね。でもどれも寿命というか陰樹の成長にしたがって消えていきます。
白い色は熱を逃がしにくく性質があるため幹が白いのは寒さ対策という考えも出来るかもしれません。寒地に強い性質があります。

トチノキの冬芽

2011年03月14日 | 自然観察日記
天狗のもつうちわみたいな大きな葉っぱを持つトチノキもこの季節は枝振りの少ない樹として雪の中に突っ立っています。冬芽は芽鱗の上にねばねばした樹液で覆い念には念を入れての防寒対策をしています。葉痕と冬芽をセットで見ると、おとぎ話にでもでてくるようなイギリス辺りの兵隊さんのように見えませんか?ちょっといいですね。

キハダ

2011年03月13日 | 自然観察日記
前日の大地震の衝撃もままならないのに、昨日の中越地震並みの揺れで飛び起きました。東北地方太平洋沖地震の余震だろうという認識で、この大きさの余震なら震源域のゆれは本震よりも大きいのではと思って急いでテレビを点けました。報道の震源は新潟と長野の県境当たり。どこかほっとしたような、しかし、三度の大揺れですから新潟の特に中越地方と地震という因果に落ち込んでしまいます。幸い大きな被害にはいたらなかったことを喜びたいと思います。
地震の衝撃に沈んでばかりはいられません。地震国ですからそういう災害にも負けないでお互い助け合いながらも飄々と日常の生活を営んでいくことも大切なことと思いますね。

このとぼけた顔はキハダという樹の葉痕です。幹の皮を剥ぐとまっ黄色の肌、染料に利用されその苦さから薬用にも利用される有用木です。
かつて、悪さをした生徒を座らせ、この皮を剥いだものを1cmくらいの片にして舐めさせいさめた思い出があります。団子っ鼻のこの顔と苦虫をかみ締めたような生徒の顔、どちらもほのぼのとしていいなぁ。

オニグルミの葉痕

2011年03月12日 | 自然観察日記
いつみてもこの顔は面白い。冬の楽しみの一つです。時たま野外に出て雪の上を歩くとき、オニグルミの樹があるとこの顔を見たさに枝を手繰り寄せます。ヒツジに見えるかサルに見えるか・・。その時々の痕で微妙に顔が違うのも面白いですね。
雪が少なくなってくると、埋もれていた枝などが出てきて、それも裂けたり折れたりと少々痛々しい感じがします。これも雪国の試練の一つ。これを乗り越えないとこの地では生きてはいけない木々の宿命があります。

ポリブルボン

2011年03月11日 | 自然観察日記
順調に季節は進んではいても里山の雪はまだ1mを越えています。もうとっくにマンサクの花は咲いていて、雪の上に出ている枝には鈴なりの花が見られるものもあります。こんな季節はかんじきを履いての雪山散歩がいいのですよ。そういえば先月末にイベントとして実施した時はお天気も良くてとてもいい気分。でも、あまりそういうことを行っているということが知られていなくて一般の市民の方が少ないのが残念ですね。
ポリブルボン(別名ディネマ)は小型のラン。性質も結構強いのでミニ鉢で楽しんでおられる方も多いのではないでしょうか。しかし、これはおそらく山取り品。山地は中南米のようですが、こういう地味なタイプの種を農業的に大量に増やすことなどしませんから産地は大いに荒れているのだろうなぁ。

マランタ

2011年03月10日 | 自然観察日記
今日もキジの雄が我が家の雪消えし土がむき出しになっているところに来てえさ探しです。出掛けに脅かさないようにそっと戸を開けるのですが、気配を察してバタバタと華麗とはいえない飛翔で遠くの竹林に逃げていきます。そういえばキジの姿と入れ替わりにヤマドリの姿がみえませんね。キジとヤマドリではキジのほうが力関係は上なのでしょうか。
絵は観葉植物のマランタ(クズウコン科南米産)。成葉に赤い線が出るのが不思議で、他にこういう性質を持っている植物を知りません。それなりの理由があっての紋様なのでしょうが、いまのところそれを説く手がかりがありません。

ユキムシ

2011年03月09日 | 自然観察日記
真っ白い雪原、生き物など何もいないように見えますが、3月ともなると実に多くの生き物がいるのです。ユキムシといわれる昆虫の仲間もそのうちの一つで、雪面を間近で観察するといろいろな種類が見つかります。小さな黒い染みみたいなものが結構沢山もぞもぞしています。この写真のものはセッケイカワゲラというのだそうで、少し腹部が丸みを帯びているので♀だそうです(♂は細長い)。この時期広い雪原に出てきて何をしているのかというと、子孫を残すための交尾と産卵。産卵はこの雪の中でするのだそうで、雪解けと共に水の中に移動して孵化し水生昆虫として幼虫時代をすごすという話しでした。まだまだ知らないことが沢山あります。このユキムシの仲間にも未知の事が沢山ありそうです。ユキムシを研究している人の話はほとんど聞きません。

クリスマスローズ ①

2011年03月08日 | 自然観察日記
つい先日まで公園ではクリスマスローズフェスタという企画を行っていました。冬の貴婦人という触れ込みで最近特に新潟で栽培が盛んな花ですね。交配させるとさまざまな変異をした子供が出来るので種としては安定していないので「品種」がありませんね。そういえば、この週末から始まる雪割草祭りの主役オオミスミソウなども一つとして同じ個体がないくらいの変異を示します。同じキンポウゲ科の植物で、性質も似ているようです。

クリスマスローズ ②

2011年03月08日 | 自然観察日記
これは原種とされる一つのフェチダス。クリスマスローズの原種はヨーロッパを中心には分布しています。でも品種の改良はおそらく新潟県内がトップクラスではないでしょうか。なかなかパワー溢れる活動があるのです。
雪消えのあと庭の木陰に花を咲かせるのが本来の姿ですが、鉢植えを温かい部屋の中におくと一気に伸びて瞬く間に満開になります。春の植物は温度が上がるにつれ少しずつ成長してくるのが好きですね。