森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

エビネの群落 1

2010年05月24日 | 風景
久々に興奮しました。野生のエビネに遭遇しました。ちょうど開花期で30株ほどの群落が出来ています。紛れもなく野生種で連綿とこの地に生き続けていた集団なのでしょう。越後ではもともと個体数は少なく、さらにほとんど野生のエビネは乱獲されてなくなったと聞いていますが、女神が私に幸運を与えてくれたようです。

エビネの群落 2

2010年05月24日 | 自然観察日記
 豪雪地のエビネ、本当に貴重な存在です。やや傾斜地に生育してはいるものの大木に保護されて土壌は安定しているようで、しばらくは安心していられる環境です。しかし、それほど栄養状態は良いようではなく細々と暮らしている風情です。この種がこれからも永遠に存続していくにはどういう保護をしたら良いのか考えて生きたいと思います。とりあえずは少々皮肉な話なのですが、生育地を秘密にすることなのです。
 そういえばクマガイソウの生育する谷にももう10年も足を運んでいません。その後上手く暮らしているのかどうか、近いうちに訪ねてみようかと思うようになりました。

エビネの花

2010年05月24日 | 自然観察日記
園芸品として市販されているものと比べても意味のあることではありません。しかし、かつて三浦半島で出会った野生のエビネに比べて淡い色が第一印象です。樹林下の少し薄暗い光の中では淡い色に変化するのでしょうか。雪国という厳しい環境に適応し地味ながらも品のある花姿に深い感銘を覚えました。

クマヤナギの若い実

2010年05月23日 | 自然観察日記
クマヤナギというクロウメモドキ科のつる植物です。この実は実は昨年の夏に受精してできたもの。一冬越してようやく成長を始めたものなのです。およそ1cmくらいに成長し赤くなり黒くなって熟します。美味しいですよ。その実の熟す頃に次の花が出てきて、花と実が同じ季節に見られるという雪国では珍しい性質があります。

タニウツギ

2010年05月23日 | 自然観察日記
気が付けばタニウツギが沢山咲いています。再三取り上げているタニウツギですが、先日耳にした話を紹介します。この花を「火事花」として家に持ち帰ることを忌み嫌う風習があることは良く知られていることですが、その理由としての解説です。タニウツギの重要な利用方法は食料の増量剤、いわゆる「糧(かて)」としての存在でしたから、この木をむやみに折り取らないで保護する意味合いで「火事花」という考えが生まれたのだというのです。それなりの説得力はありますが、このタニウツギは枝を切ってさしておけば難なく発根して増やすことの出来る種です。のり面の土砂崩れを防止するのにも利用されるやに聞きます。そういう性質を承知していても、大切にしようとする古人の想いが隠されているのでしょうか。

カサスゲ

2010年05月22日 | 自然観察日記
里山の湿地、ヨシなどが生える片隅にカサスゲが花を見せています。鑑賞するような代物ではないのでしょうが、里山の生活には大切な資源植物でした。名前から分かるとおり菅笠の原料として利用されています。藁細工やつる細工の匠の手にかかると自然にある草木が見事な生活の用具になるのですが、そういうのを目の当りに見るとほとほと感心させられます。
私はそういう技量はないので、ここに生えるカサスゲが笠に利用されることを伝えるだけですね。

ユキグニミツバツツジ

2010年05月21日 | 自然観察日記
越後はツツジの季節になってきました。その中で最も早いものの一つが、このミツバツツジです。庭先にある園芸ツツジの花を見る頃には、もうそのピークは過ぎています。里山ではカスミサクラを追いかけるように花を見せてくれます。でも数がめっきり少なくなってしまった種の一つです。越後のミツバツツジはユキグニミツバツツジという名前が当てられていて、多雪地帯に適応した種とされています。

ユキグニミツバツツジの花

2010年05月21日 | 自然観察日記
何種類かのミツバツツジがありますが、見極めが結構難しいですね。群馬県にある種はトウゴクミツバツツジとされますが、これと比べて一見した違いを見出せません。花の色とか毛の多い少ないなどではなかなか分かりづらいもの。しかし、花の時期はかなりの差があって1週間から10日はあります。残雪の期間の長さに適応した形質なのかもしれません。越後の低山を彩る貴重な種で、やさしい清楚な花は心を癒してくれる存在ですね。

アリアケスミレ

2010年05月20日 | 自然観察日記
刈り込まれた芝地の中になにやら白い花。何かと近づくとアリアケスミレという余り馴染みのないスミレが咲いていました。このスミレは西日本に分布の中心があったようで、新潟県内には自生はなかったのではないでしょうか。公園の緑化事業の際に芝生の中に種子が混ざっていたのでしょう、適応力が強いので元気に生育しています。同じような現象が各地にあるようで、公園の敷地内に良く見られるようになっているそうです。(西日本では市街地や農道などにごく普通に生育している種だそうです。白花よりは紫がかったものが多いとのこと)

カラスノエンドウ

2010年05月20日 | 自然観察日記
八重桜の残り花がまだありますが、寒い陽気もようやく終わっていよいよ草木の盛んになる季節になったようです。足元を見ればカラスノエンドウが可愛い顔を見せてくれています。例年より少し遅い開花のようですが、これからは一気に進みそうですね。草刈や草取りで忙しくなります。

マルバアオダモ

2010年05月19日 | 自然観察日記
どこが「丸葉」なのかと小首を傾げますが、5枚の小葉を一つの葉とみなして輪郭をイメージすると同属の他種に比べて丸といえば丸いでしょうか。花は断トツに同属他種に比べれば優れていますね。昨年よりは少し遅れましたが見頃になってきました。

トネリコ

2010年05月19日 | 自然観察日記
マルバアオダモの仲間でトネリコの花(少し若い)です。トネリコはいわゆる「はさ木」として利用していた樹ですから、農村のあぜ道などにまだ列植されている場所も見受けられます。同じトネリコ属でも花の感じがまるで違うので紹介してみました。野球のバットの素材として利用されるという話は有名ですね。

足元の小さな花 サワハコベ

2010年05月18日 | 自然観察日記
踏みつけてしまいそうな場所に、目を凝らせて見れば小さな花が咲いています。これはサワハコベ。特に湿った場所でないと見れないわけでもなく、日陰の山の小道に普通に咲いています。花弁の切れ込みがハコベの特徴を示しています。