森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

キクタニギク

2017年01月29日 | 自然観察日記
別名アワコガネギク。新潟県内にはないと思われる黄色い花のキク属。キク科の種は沢山ありますが、キク属となると新潟県内では糸魚川地域にリュウノウギクという白い花を咲かせるキク属を観た経験があるくらいです。太平洋側には黄色いキク属が自生していることを知ったときはかなり興奮したもんですが、峰城公園の雑木林の林縁に晩秋の花の少ない季節にひっそりと咲いているのを見つけなぜか懐かしい心地です。

キクタニギクの葉と花

2017年01月29日 | 自然観察日記
黄色いキク属に感激してもいられない事情があることを知りました。元来キクタニギクは日本以外に朝鮮半島や中国大陸に自生しているのだそうです。当然種が同じでも生育場所で固有の進化をしていますから、国産種と大陸系の種ではかなりの形質に差異があるようです。それが、近年道路ののり面などに吹き付けられるヨモギなどの種子に混じって大陸系のキクタニギクの種子が散布されているのだそうです。至る所に中国産のキクタニギクが生育しているのが実情という話です。新潟県内にはないと思っていましたが案外このルートで各所に生育しているのかもしれません。目の前にあるキクタニギクが国産なのか大陸系なのか詳細な知識がないため不明です。

キクタニギクの葉裏

2017年01月29日 | 自然観察日記
葉裏は細かな毛が多いのか白さが際立ちます。
キクタニギクは太平洋側の限られた地域に生育する種のようです。埼玉県は分布域ですから城峰公園に生育していてもおかしくはありません。しかし、群馬県は微妙な地域です。岩手県から千葉県までの海岸を中心に生育し、あとは近畿圏と北九州。環境省の純絶滅危惧種扱いの種。しかし、富山県や青森県などには中国産のキクタニギクが生育しているのだそうで。在来種と混在している県もあり遺伝子の汚染に心を痛める一人です。