馬場政行氏の玄能工場見学

昨日（7/31）三条の玄能鍛冶の馬場政行氏の工場見学をさせていただきました。

鉋鍛冶の碓氷さん、鑿鍛冶の田斎さん、鉋木工職人の西村さんの見学は
あったのですが、玄能の鍛冶屋さんは初めて。


到着すると一番に「洞心斎正行」の銘入り槍鉋を見せていただきました。

通常は「道心斎正行」の銘なのですが還暦を過ぎてから超自信？の逸品には
「洞心斎」と切るとか。

見ているだけで吸い込まれそうな・・・これは自慢したくなる訳だ。



先日、馬場さんの「道心斎正行イブシ木目四角ダルマ玄能150匁」を
販売店を通じてお買い上げいただいた大工さんが工場を見学したいとの
ご希望をいただいたので今回ご案内したのですが、

その玄能を持参してきていたのでラッキーなことに馬場さんがサービスで
山桜の柄を仕込んでくれると・・・

とにかく作業が早い！

山桜の原木の柄を自作の鉈であっという間に・・・



ヤスリで面取して、柄には鉋かけ。



玄能の重さや手の大きさまで見ながら仕込んでくれた完成品！

柄の長さは1尺でした。



通常はこの面にひつ穴を開けるのですが、これは偶然の産物？で
めったにない逸品！




山桜の皮をあえて残して他の木でこすり合わせると艶が出て深みのある
色合いに。　馬場さんが柄を仕込みでくれた証明の「正行」の刻印。



ご存知の方も多いと思いますが、馬場政行（まさゆき）さんが作る製品の
銘の「正行」は「まさつら」と読ませています。

持ち主のひとり言　「これは使えない・・・」　「うん、確かに」



雑談をしながらちょんちょんとあっという間に切った銘は



独特の風格の銘切り。　

右側の玄能には「削ろう会」の文字が見えます。　お楽しみに



馬場さん曰く「昨日酒を飲まなくて調子がいいのでこれも見せてあげる」と
言って鋼付けの工程も。



勘で一番大事な穴あけをした後、ノギスで測定するとナント！！　

両面上下4カ所の誤差はなんと100分の2～3ミリくらい！　まさに神技！！



「ほれっ！」と渡されたので「なに？」と良く見たら。　

こんなにちっちゃいのに、すごい！　どうやって作るの？



後ろに立っているのは「正行 釘〆 角」

バランスよく作ってあるので立つのだそうですが、販売しているのに
知らなかった・・・（汗）

（斜めに立っているように見えるものもありますが写真のせいです）

手前の玄能は先ほど柄を入れてもらったものですが、軽く押すと左右に
揺れたままいつまでも止まらない！（驚）　これもバランスのよさ。



これが釘〆の頭。　（この面で立っている）



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

見学終了後には馬場さんのご贔屓の「そば処 今泉」で
「カレー南蛮そば」をごちそうになりました。



三条は今「カレーラーメン」で町おこしをしているのですが、
馬場さんのこだわりはこれ。

確かに美味かったです。　ごちそうさまでした。



この度はいろんなタイミングがうまく合って馬場さんの工場見学をすることが
できましたがいつもこのようにできる訳ではないのでご了承ください。

販売サイト「越後の大工刃物・大工道具」では「正行玄能」を
まだ紹介しておりませんがお問い合わせいただけばご案内いたします。



私にとっても大変勉強になった一日でした。感謝。