治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

わかりあえないのが普通

2010-02-05 08:12:58 | 日記
「横綱、頑張ってください」

朝青龍を激昂させたのはこの一言だったというニュースをネットで読み
自分も若くてとんがっていたころ、同じようなもんだったなと思い出した。

なんか、励まされるとバカにされているような気がしたもんである。

「オレに頑張れとは何事だ」と横綱は相手を殴ってしまったらしい。
私はこう見えて暴力は振るわない人なのだが
「頑張って」と言われて腹を立てる気持ちが、実は、痛いほどわかる。
かつて私もこんな感じの若者だった。

今はもう、「頑張って」と言われても腹が立たない。成長したな~。
たぶん年をとったからだ。
年をとるのは、ラクになる面もたくさんあるんだな~。

なんでこんなことで腹が立つのかわかんない人多いみたいだし
別にわかんない人にわかってもらおうと思わない。
なんというか、根本のところで、私は人と人はわかり合えなくてもいいと思っているような気がする。
わかりあえないのがデフォルトっていうか。

だから、ASDの人たちの
「わかってほしい」という気持ちの強さにいつも戸惑う。
なぜそれほど自分のことをわかってほしいのか?
わかってもらえると、どういういいことがあると思っているのか?
それがどうしても肌身ではわからない。

たぶん一人の人とわかりあえる人は、世の中にとても少ない。

そして
人はわかりあえなくても、一緒に歩いていける。
腑に落ちなくてもいい脳みその持ち主だから、そう思うのかもしれないけど。
私たち定型発達者は、ペンディングの海の中で、それなりに泳いでいく。
ときどき腑に落ちる回答が出ればそれでいい。
それに満足してまた、ペンディングの海の中をふわふわ泳いでいく。
泳いでいるうちに、ときどきわかることがある。

だから私は決してASDの人に「わかるわ~」と言わない。
それが礼儀だと思っている。
昨日もニキさんと電話で話して、自閉っ子全開エピソードにゲラゲラ笑って
「いやーやっぱり君たちは面白い!」なんて言っちゃいました。
わかんないけど面白いよ、自閉っ子。
無理にわかろうとはしない。そのほうがいいと思っている。

ともあれ。
横綱、お疲れさまでした。
面白かったです。あなたにまつわる何もかも。
でも引き時だと思う。これ以上続けないでほしい。
日本人として、お相撲ファンとして、そして朝青龍を面白がった一人として、心からそう思います。

そして
「これからも頑張ってください」とはもちろん言いません。
他人に応援されてもされなくてもあなたにはなんの関係もないでしょうし。
どれだけ嫌われようと、あしざまに言われようと
どの世界に行ってもあなたは元横綱だ。

40代になったらどんな人になってるんだろう? 元朝青龍ことドルゴルスレン・ダグワドルジ氏は。
本当にモンゴルの大統領とかになるのかな?
私みたいにちょっとは穏やかになるかしら(当社比)。

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