治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

身体の問題から入ったワケ

2010-11-29 11:22:16 | 日記
九州場所が終わりました。
ああ、やっぱり土俵には神様がいるのだな、と思ったくらい
お相撲受難の年を耐えた私たちお相撲ファンへのご褒美のような
見所満載の場所でした。

稀勢の里の金星。殊勲賞。
地元のベテラン大関魁皇の活躍。
そして、なんといっても豊ノ島の躍進。敢闘賞。技能賞。
三役も経験のある豊ノ島ですが、謹慎処分を受け、十両に落ち、先場所十両優勝。
そして今場所も前頭九枚目という低い位置から、横綱相手の決定戦にまでたどりつきました。
身長169センチの小兵。
豊ノ島は時津風部屋所属。
そう、あの暴行事件があった部屋です。

こういう力士が活躍するところに
私は神業を見るような気がするのです。
人間の小ざかしさをはるかに越えるような。

というわけで今日は脱力気味。

フシギなことに本場所期間中は仕事がはかどります。
まず早起きするし。早く仕事を切り上げるために。
よく寝つきとか寝起きの話をする人がいますが、私は肌身でわかりません。
布団に入るとすぐ寝られるし、起きたらすぐ仕事ができます。

今は日常あまり長時間労働じゃありませんが
いざというときには十数時間働いても平気です。
この二週間はそうでした。で、毎日夜は走りに行ってお酒飲んでぱたんと寝ます。
次の日に疲労はまったく残りません。早起きできます。

『自閉っ子、こういう風にできてます!』に書いてあるように
人間はみんな一つしか身体を持っていません。
だから私も、これが人間の標準なのだと思っていました。
インフルエンザの予防接種とかしにいく人がフシギでした。
そんなものかかったことがないからです。
どっちかというと丈夫なほうだと知ったのは、わりと最近です。
どうしてかというと
周囲がみんなこんな感じだから気がつかなかったのです。

で、私の自閉症との出会いは、支援者としてでもなく保護者としてでもなく
とにかく
「諸般の事情からあんまり社会経験のない人に社会人として機能してもらう」必要性を感じるところから始まりました。
変人なれしていたし、変人でも生きていける世界をたくさん見てきたので
個性が強すぎることはあんまり気になりませんでした。

でも身体症状が不安定なこと、これは社会人をやる上で最大のバリアではないかと考えました。
週に五日どっかに通えないと、選択肢が狭くなるから。
我々の業界にも変人はいっぱいいますが、体力ない人はあんまりいません。
私より体力ある人いっぱいいます。

それに身体の問題って
今ここからでも手が打てます。問題に気づけばね。
社会の理解なんていうものを待つ必要はありません。

社会の理解を促すのは賛成ですよもちろん。
でも社会は理解するときとしないときがある。
理解できる人とできない人がいる。
だから理解を促す活動はしつつ
自分でできることはやったほうがいいのでは?

こう考えて身体の問題を取り上げてきたわけです。

自閉症でも身体の問題を抱えていないのなら
それはそれでハッピー。
実際就労を決めていくのは、こういう人たちからです。
規則正しい生活習慣が身につきやすい人。
通勤できる体力が確保されている人からですね。

とにかく私の視点は
「どうやって社会人として機能してもらうか」
そこから始まっています。
そしてこれから自閉っ子の就労が進めば進むほど
私と同じ問題意識を持つ人が増えるでしょう。

だから今度の本では、身体問題だけではなく
とにかく「どうやって社会人として機能してもらうか」
それについて書いてみました。
セルフ・エスティームをどう保ってもらうかとか
認知の特性に合わせた説明とか。


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