治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

何よりも当事者のため

2018-06-15 12:27:05 | 日記
さて、『発達障害者支援法は誰を救ったか?』初日からたくさんの方にお買い上げいただきありがとうございます。

大久保さん@てらっこ塾の書評ブログ、はやっ! と思ったのですが
大久保さんが本文の中で書いていらっしゃるとおり、こうやって電子書籍が出て、あっという間に全国で共有でき、あっという間に書評が出る。それがもう、13年前とは違うこと。炎上があるとはいえ、やはりSNSが存在することで「ギョーカイの大本営発表」以外の情報が入るようになり、ギョーカイのつく四大ウソ

1 生まれつきだから一生治らない。
2 支援があれば生きやすくなる。
3 社会の理解があれば生きやすくなる。
4 二次障害が怖いから頑張らせてはいけない。

を疑う人が出てきたという意味ではいい時代になったということかもしれません。

それにしても当時大久保さんは現場の支援者。しかも全国でも有数のエリート強度行動障害の方たちが集まる方たちの入所施設で身体を張った支援をされていました。そして全国の都市部に研修に出かけ、資格をとり、ギョーカイ人の話を一生懸命メモして帰ってきて、そしてギョーカイ人の言うことを信じていたらよりよい未来になると思っていたのに「こんなはずじゃなかった」と「治る」路線に切り替えられた。私は別の場所で別の職種でその空気感を共有していたのですごくわかります。ほんと「こんなはずじゃなかった」と腹立たしいんですよね。そして治せよ、と言いたくなる。

今度の本の中でも私は支援者にたいして厳しい意見を述べていますが、支援者だからこそそれに共鳴する人もいる。支援者であっても支援者に対する私の意見を「支援者への偏見を広げる!」などと卑屈に受け取らず「もっともだ」と思い支援に活かされる支援者の方も多いのです。

そして大久保さんのブログが上がるより速く感想を送ってくださったのは先日ある場所でお会いしたドクターでした。私はこの本の中で医療についても「虫取り少年が跋扈する」とか書いちゃってお医者さんたちをこきおろしていますが、それでもこういう感想を送ってくださるドクターもいらっしゃる。

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「発達障害者支援法は誰を救ったか?」拝読致しました。多くの反発があるだろうと予想されるなか、よくぞここまで書いて頂きました。何よりも当事者のため、今後ともなお一層のご活躍祈念いたしております。

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こんなこと書いたら非難囂々なことも重々承知の上で、「何よりも当事者のため書いた」ことをわかる方が私が「治さない医療」とこき下ろす医療現場にもいらっしゃる。当たり前です。治したい先生たちもいるのですからね。

要するに、支援者をこき下ろしていても支援者の中にも賛同者はいるし、医療をこき下ろしていても医療の中にも賛同者はいる。だから事件報道があり診断名が伝わってもそれに動じない当事者もいるわけです。がたがた騒ぐのは動じる当事者なのでその人たちが目立ちますが、「あら自閉症だったの。困ったものね」とちらっと思ってその次の瞬間はもっと楽しいこと考えている自閉症の人も多いはずです。

むしろ私は、ここでゴネる自閉症の人に小さな小さな犯罪の芽を見いだします。
「事実を伝えているだけの報道に面白くないと思い突撃する」のと「自分が生きているのがいやだから新幹線で人を殺す」のにむしろ私は類似性を見いだす者です。

「加害者に自閉症の診断があった」という報道が伝えるのは偏見ではなく事実です。そしてその報道を見て、誰か特定の自閉症者を思い浮かべ忌避するのなら、それは普段の行いのせい。自閉症だからではありません。たとえば私は自閉症と犯罪の関係を否定しませんが、ニキさんや藤家さんやこよりさんが犯罪を犯すとは夢にも思いませんもの。

私のような影響力()のものは自閉症と犯罪のリンクを語ってくれるな、と言われましたけど、私にもしそういう影響力()があるのなら

むしろ私のような人間ほど、語った方がいいのかもしれませんね。
何しろ私は被害者経験もあり
しかもその事件の担当刑事さんの本まで出す機会に恵まれました。
これは私のような者にこそ
犯罪との関係を否定するな、という天啓なのかもしれません。

けれども誤解のないよう一応書き添えますが
私は「自閉症の特性」が犯罪を呼ぶとは思っていないのです。
ただ、自他の区別が付けにくいだけ。
そして自他の区別が付けにくいがゆえにごねるとき
ありえない不安や恐怖や妄想を抱くとき
その妄想を接待し
それをもてはやす支援の世界こそが、犯罪の芽を育てていると思う者です。

そうそう。そろそろ「やまゆり園の模倣犯ではなく」も続けましょうね。

ともかく

『発達障害者支援法は誰を救ったか? 電子版』
メールをくださったドクターお気づきのとおり、反発覚悟で(っていうかいつもだし)当事者の未来、社会との共存を真剣に考えて書いた本です。
よろしくお願いいたします!





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1 コメント

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押し売り (373)
2018-06-16 21:33:41
いらないと言っているものをあれこれ理由をつけて、時には脅して買わせるのは押し売りです。
ところが、発達障害界隈の専門職となると押し売りの自覚がないどころか、買わせている自分が正しいとどや顔をしている人も少なくないのですね。

「なによりも当事者のため」であれば、専門職のやることがいつも同じ、誰に対しても同じなんてことはありえません。
保険を含めた公金に頼らない専門職の方が常にそれを心がけているかもしれませんね、そんなことしてたらすぐ会社潰れますから。えらい先生が言うとおりにやっている、なんて主張は言い訳にもなりません。
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