多くの人が一生懸命に人事を尽くせば必ずよい結果が出るとい
う根拠のない幻想を抱いてるから延命治療に走るのかもしれな
い、実際家で看取ると決めていた家族でさえ容態が急変して患
者が苦しみ始めると慌てて救急車を呼ぶことが多いという現実。
1%でも命が助かる可能性があるなら相手が何歳であろうと最
後まで救命努力をするのが正しい、どんな命でも死より尊いと
医師は思っている、実際13年前に亡くなった父は86歳だっ
たが逡巡したすえ私と母は延命治療を選択した、一刻を争うな
かで医師の有無を言わせない説得に正直ノーと言えなかった。
ただ命が助かるという言葉は元どうりになる、元気になると同
じ意味に家族は理解している、一命はとりとめたが植物状態に
なったという結果など想定していないものだ、父はそれから半
年間家族と一度も言葉を交わすことなく亡くなった、それから
9年後、母が大腸がんの末期のときは延命治療を選択しなかっ
た、結局何かをすることでマイナスになることもあるというこ
とだ、そのマイナスを生まないためにには何もしないのが一番
ということもあることを延命治療から学んだ。