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花好きじじい

花を求めて山野を歩き回っています。
花好きの皆さん花にまつわる話をお聞かせください。

ハス開花時の発熱

2016-08-19 15:49:33 | Weblog

 スイレン科の植物(ことに、ハス)の開花時に発する熱の発生メカニズムとか役割についてはまだ解明されていませ。そしに、どれ程まで上昇するのか、発熱の持続時間などについても調べた人によってまちまちなのです。
 前には発熱する植物としてはよく知られたザゼンソウについて温度を測定しましたが、今回はハスについて測定してみました。

 
 測定には2本の熱電対センサーを繋いだThermometerを用い、一方の端子はフリーにして室温を、他方の端子はハス花杯の中心に刺し込んで2分待って測定しました。
 温度上昇は花中の温度から室温を差し引いた値で示しました。
  
 開花直前の蕾から花弁の散って花杯だけが残った時まで測定しましたが、発熱は花弁が開く前日の夜から始まり散り始めるまでの3日間は持続することが分かりましたが、開花日数、測定した時刻のほか天候とか気温などの気象条件とも関連がありますのでどの時点で最も高くなるのかまでは知り得ませんでした。
   
   

 そこで、開花直前の蕾を選んで切り取って花瓶に挿し、一定した室温に置いて経時的に温度変化を測定することを思い立ちました。 

 しかし、この試みは完全に失敗でした。
 蕾は自然状態にあるものと同じく深夜1時頃から花びらが開きはじめ3時頃にはかなり開き、5時頃には満開状態となります(用いた6輪の蕾のうち、3輪が開花しましたが、3輪は翌日になりました)。
 

 しかし、開花した花托に刺したセンサーに反応して温度上昇することはありませんでしたので、花茎が切断された花自体には開花させる自動機能が備わっているのに発熱を起こす機能は無いものと考えられました。
   左から 午後10時⇒12時⇒午前5時

 こうしたメカニズムを調べるには室内で育てて開花させたものを用いなければならないのではと考えています。


植物タカネトンボ

2016-07-30 06:33:27 | Weblog

 タカネトンボ(高嶺蜻蛉)という名を聴けば誰しもが昆虫を連想しますが、ここでお示しするのは同名のラン科(ツレサギソウ属)です。
 7月22日、八幡平畚岳に登った折、中腹のオオシラビソの樹下の湿った場所に生えた小さいが光沢のあるこの葉の植物を見かけました。

 基部についた楕円形で先端が鈍の対生した2枚の葉から直ちに思い浮かんだのはラン科フタバラン属ですが、検索してもどの種とも似ていないことが分り困惑しました。

 そこで、しばしば利用させて貰っている検索サイト画像掲示板・この花なあに】に載せたところ、直ちに返信があり、“タカネトンボ”の名であるとの指摘がありました。

 草丈が8〜15cmほどで、茎頂に固まって付ける淡黄色の小さな瘤状の花が特徴の見栄えのしないこの蘭は絶滅危惧 Ⅱ類 に分類される稀少種だそうです。


面影橋の下に咲くコウホネ

2016-07-15 15:55:37 | Weblog

 秋田市八橋本町の草生津川には面影橋と名付けられた小さな橋が架かっています。その名からは悲恋物語にでも係わるロマンなどを想い抱くのですが、秋田久保田藩時代に草生津刑場に曳かれてゆく罪人が名残の姿を水面に映した橋だったという不粋な由来を知り急に興ざめしたものです。
   
 この橋の下の川床には海草の様な水草が一面に繁茂していて6月から7月にかけて黄色の花が時々顔を出すことは前から知られていたようですが、誰もそれには気を留めず、それ以上調べられた形跡はなかったようですが、山野草同好会「秋田花の会」メンバーの一人の方がそれに注目して、秋田には有る筈のないシモツケコウホネではないかという意外なこと言い出したのです。

 私もこの方の想い付きに大いに興味を持ち、お願いして6月26日にそこの場所まで連れていってもらって見てきましたが、確かにこれまでに見たことのないようなコウホネで、数輪の花が波間に出たり沈んだりしているのに抽水葉(水上に延びた葉)も浮葉が全く無くて水中には沢山の沈水葉(水中葉)が水流に揺らめいているのが見られました。
  
  秋田県ではコウホネは各地の湖沼でかなり普通に見られ、ネムロコウホネ は八幡平の長沼で、そして、オゼコウホネも湯沢市の田代沼で見られるのですが、これまでに栃木県(旧・下野国)でしか見られていないシモツケコウホネが秋田で見られたとなると一寸した特ダネになるわけです。
 その後、梅雨空の晴れ間を選んで幾度となくこの花の撮影に出かけ、挙げ句の果ては長枝切り鋏を携えてこの川に行き、数輪の花と沈水葉を切り取ってきて撮影しました。 
 

 

 この画像を添付したメールをシモツケコウホネを専門誌に最初に報告した(つまり、名付け親)新潟大学教育学部志賀隆準教授に送り鑑定を依頼したところ、返信には『画像を見た限りでは、シモツケコウホネではなく、普通のコウホネである。水流の早い川で生育するコウホネでは沈水葉を多く付けるが、沈水葉だけというのは稀である』とあり、少なからず落胆しました。
 面影橋の下には珍しいドジョウはいなかったというお粗末な顛末を書きました。 


イボタノキ属の3種

2016-06-19 16:41:40 | Weblog

 6月上旬の山道を車で走っていると林縁とか道路の法面など至る所にウツギ、ノイバラ、イボタノキの仲間などの白い花が開花しているのを見ることが出来ます。
                              ウツギ    ノイバラ    イボタノキ
   

  エボタノキとして見ていたものも詳細に見てみるとエボタノキ、ミヤマエボタ、オオバイボタの3種あることが分かりましたのでそれらの区別点について記してみます。
          イボタノキ   ミヤマイボタ    オオバイボタ
   
 樹形、花序、花冠などは類似していてそれによって区別することが難しいのですが、葉を丹念に調べれば明瞭に区別することが出来ます。
 


 

 


二度咲きカキツバタ

2016-06-12 06:16:22 | Weblog

 2015−11−14『落ち葉の中に咲くカキツバタ』には秋田市千秋公園の「あやめ園」の落ち葉の中に咲いていたカキツバタが初夏にも咲くのかどうか知りたいと書きました。
 
 昨日(6月11日)に出かけて撮影した画像です。昨年と同じ場所にカキツバタは咲いていました。
  (6月11日撮影)
 満開の時期はやや過ぎているようで、花弁が萎縮しかかっているものも少し見られましたがよく茂った葉の中に多数の花が見ることが出来ました。
 ここに、先のブログにも載せた昨年11月13日撮影した画像を比較のために再度載せてみます。 初夏と違った印象では、葉の生え方が多少疎らというだけで花には全く違いは見られませんでした。
     (11月13日撮影)
 今回もまたカキツバタの自生地である大仙市宇津野に行き撮影したきましたが、画像(左)のように満開でした。
また、この画像との比較のため、昨年11月13日に同じ場所で撮影した画像(右)も並べてました。     大仙市宇津野の自生地で撮影

          (6月11日)         (11月13日)
 通常、カキツバタの開花期は初夏から初秋とされていますから『あやめ園』の初夏と晩秋の二度に亘って咲くのは稀な種なのかも知れません。

     


ホトケノザーヒメオドリコソウ 

2016-06-04 08:45:45 | Weblog

 シソ科の帰化植物ヒメオドリコソウの繁殖力は旺盛でしばしば大群落をつくりますが、これとよく似た在来種ホトケノザは少ない上にヒメオドリコソウに紛れて見逃され易いのです。
 ホトケノザ(左)とヒメオドリコソウ(右)とが偶々並んで生えている下の画像を見ると一見区別するのが容易でないように思われますが葉と花の違いから簡単に見分けられます。


 
 葉はホトケノザでは丸みを帯びていて葉間の間隔が開いていて茎が見えるのに、ヒメオドリコソウでは先が三角形に尖っていて葉間が詰まっています。しかし、葉の色には変化が多いのであまり参考にはなりません。
 両者ともよく似た唇状花を付けますが、ホトケノザでは葉の間から突出しているのに、ヒメオドリコソウでは葉の間に隠れる様に顔を出しています。


ユウシュンランが咲いています

2016-05-19 11:08:51 | Weblog

 ユウシュンランはギンラン、ササバギンランに近いラン科の植物ですが、それらに比べてかなり小型でひ弱で全く見栄えのしない蘭なのですが、生育場所も生育数も限定されているため絶滅危惧種に指定されています。秋田県でも男鹿半島でしか見つかっていません。
 5月15日、曇り空で小雨のパラつく中を友人に連れられて男鹿半島に出かけ、男鹿本山への登山道傍の薄暗い樹下に数本のユウシュンランが開花しているのを見つけ撮影してきました。
 
 

   ユウシュンラン(祐舜蘭)Cephalanthere erecta var. subaphylla (Miyabe et Kudo)はギンランの変種として宮部金吾・工藤祐舜によって1932年に報告されたもので、和名には工藤祐舜の名を冠されています。

 なお、工藤祐舜(1887~1932)は秋田県湯沢市増田町の出身の植物学者で死亡時は台北帝国大学理学部教授だった方です。


ベニバナミヤマカタバミ

2016-05-19 10:40:11 | Weblog

 5月15日(日)玉川ダム湖から3Kmほど遡った場所にある戸瀬プレーパークに山野草の撮影に出かけました。
 カタクリは既に終わっていましたがエゾノリユウキンカ、ミズバショウ、ミヤマカタバミ、オオバキスミレなどが満開でした。
 ここの場所は八幡平に向かう際にしばしば立ち寄るいわば馴染みのスポットなのですが、これまでに気が付くことがなかったベニバナミヤマカタバミを初めて発見して歓喜しました。
  
 白花の群生する中に紅花の小さな群落と、薄紅色の数本からなる群落が見られた。
            






キジムシロ

2016-05-06 20:32:16 | Weblog

 今日の夕方、帰宅の折りに回り道して通りかかった山道の道肩にキジムシロが咲いていました。
 キジムシロという和名は、横に広がる葉の様をキジ(雉)が座るむしろ(蓆)にたとえたとのことですが写真の放射状に伸びた茎はその表現がまさに適切です。
 

 また、興味あることには、ここでは大型と小型の2種のキジムシロ(?)が見られることです。
 たまたま、この2種が並んだところも写真に収めることが出来ましたが、サイズの違いだけではなく花弁の形にも違いがあるため同一種として良いか否か悩んでいます。
 

         


 


ミズバショウの栽培

2016-04-20 08:31:07 | Weblog

 2015−07−08『ミズバショウの種』ではミズバショウから種を採取して植木鉢に播いたと書きましたが、ここではその後の経過を書いてみます。

 2015−07-06
 前のブログでも書いたように、十分に熟して崩れかっかた集合肉穂から種を採取し、半分は肉穂からもぎ取ったままの種、他の半分は付着した果肉を取り去った種とを別々の植木鉢の湿らした培養土の上に並べて土で覆わず,ナイロンの袋で包んで保湿した状態で発芽するのを待ちました。
 

 2015−07ー29  
 ようやく発芽し始めましたので、数日間は発芽率を調べつため覆土せずに観察し、その後軽く覆土して定着させました。
 発芽率は果肉を付着させたまま播いたものでは果肉を取り除いて播いた種より著しく劣るだけではなく、その後の生育にも歴然とした差が出てきました。
   

 2015−08ー12
 

 2015−10ー01
  

 2015−10ー26
  
10月末になると葉は枯れはじめ、11月に入ると完全に萎縮します。
 
  鉢は湿度を保ち、凍結しないように涼しい室内に置き越冬させます。 

 2016−04−21
  
3月になると芽が出て、ゆっくりと葉が広がってきます。
 

  今年3月初旬に再び芽を出してからまだ1ケ月しか過ぎていませんので葉は伸びていませんが、成長スピードが緩慢で、成長したにしても今年中にはそれほど伸びるとは思われません。
 多分、花をつけるまで成長するにはあと何年かを要するものと思われますが、開花したらまたこのブログに載せたいと考えております。