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花好きじじい

花を求めて山野を歩き回っています。
花好きの皆さん花にまつわる話をお聞かせください。

アギナシの零余子

2018-09-21 16:50:50 | Weblog

 2018−8−30 「アギナシとオモダカの見分け方」の中で、“アギナシのどれほどの割合で
ムカゴを付けるかという知見ももっていませんので調べてみたい”と書きましたが、今朝
(9月21日)通勤途上アギナシ群生のジュンサイ沼わきを通りかかった折、2度目の除草
作業が済んだ直後であったので苅り残されたアギナシを探して抜き取ってきて調べてみま
した。
 そこで分った事は、アギナシでは生育が遅れた株以外の殆どで葉茎の基部に零余子を付
ける
が 、開花しているいる時期には画像で見るような未熟だということです。

 


 このことから、アギナシとオモダカを見分ける決定的な鑑別点零余子の有無と言い切
っても良いのではなかと思います。
 なお、零余子が成熟する頃合いを見計らって(恐らく、11月中旬)採集して、低温保存
をしておき来春発芽させて育ててみたいと考えております。 


ミソハギの花

2018-09-13 10:19:37 | Weblog

 盛夏も過ぎたこの頃、私の生活圏の至る所でミソハギ科の紅紫の鮮やか花がやや黄ばんできた草むらの中に一際目立って見らるようになります。



 ミソハギ科にはミソハギエゾミソハギの2種(メミソハギを加えて3種ともされる)あることが知られていますが、私のちか身辺で咲く花はその何れかを知りたいと考え20ヶ所以上から採集してきて調べてみました。 
 その結果から書きますと、私の生活圏で見られるミソハギ科は、はっきりとミソハギとされるものは意外と少なく、大方はエゾミソハギか,またはその何れとも決め難いものでした。 

Text bookの中で、ミソハギとエゾミソハギとを区別する特徴として挙げられる点は;
 ① エゾミソハギでは全体に細毛が密生している。
 ② 花の萼から伸びた6個の突起はミソハギでは横に開出するのに対してエゾミソハギでは真直ぐ。
        ミソハギ                  エゾミソハギ
  

                          花後の萼
             ミソハギ         エゾミソハギ
 


 ③ 葉の基部がエゾミソハギでは茎を軽く抱く。
       ミソハギ                     エゾミソハギ
 

 ④   花が茎に付く角度がミソハギでやや鋭角のものが多い。
 などとなっていますので、上には両者の違いのはっきりしたものを載せました。
  しかし、各所のミソハギ科を見て歩いていると、この様に明瞭に区別出来るような特徴を備えたものばかりではないことが分かりました。 
 細毛の濃さと長さには違いがあって、短くて殆ど無いように見えるものから濃いものまで幅があるため、細毛の有る無し(つまり、ミソハギとエゾミソハギの区別)をどこで決めるかというのは難しいし、それに、濃い細毛があるのに萼先端の突起が開出しているものがあったり、葉の基部が茎を抱く形をしているかどうか明瞭ではないものなども少なくないなどのことから何れとも区別できないものが多かったのです。
 


パッションフルーツが咲きました

2018-08-31 20:05:56 | Weblog

 昨年8月中旬にたまたま出かけた駅前のデパ-ト地下の野菜売り場にパッションフルーツとドラゴンフルーツとを見かけ(後で、この売り場にはこの時期、常時並べられていると知りましたが)、これらの熱帯〜亜熱帯原産の果実を育ててみることを思い立ちました。

 寒冷地秋田でも冬期の管理にさへ気を配れば結実までには至らなくとも開花まではもって行けるのではないかと期待して両種から種を採集してそのまま播種してみました。
 取り出した種は水で種の周囲を取り囲むゼリー状の物質をよく洗い流してからキッチンペーパーに並べて一晩乾燥した後、プランターに播いて軽く土で覆い、直射日光を避けてやや湿らした状態にしておいたところ、約10日で発芽してきました。発芽率はドラゴンフルーツの方が可なり良かったのですが、その後の越冬の段階でドラゴンフルーツの幼苗は枯れてしまったため、ここからはパッションフルーツについてのみ書きます。

   種の実態顕微鏡による拡大像です
 

  この画像は本年8月1日再度の試みるとして播種して26日経過した新しい苗です。
 

  昨年播種し越冬し、成熟して繁茂したものとを並べて撮影してみました。
 

  8月31日夕刻にようやく念願の花を見ることができましたが、命の短い1日花で翌朝には萎んでいました。

 
  トケイソウ科の仲間特有の複花冠を持った花が美しい。

  花弁が5個、萼片が5個ありますが、前面から見るとどちらも白いため区別がつきませんが後面から見ると萼片が緑なので区別できます。

    (追記:秋田では花は沢山つけますが、開花後は全て落花してしまい結実しません。)



アギナシとオモダカの見分け方

2018-08-30 20:32:39 | Weblog

 私の職場の近辺にはジュンサイを栽培している浅い沼が数多く散在していますが、その中でも最も
近くにある1hrにも満たない小さな沼の周辺の土手の水際にはヒエ、イネ、イグサ科などの雑草など
に混じってアギナシがたくさん生えていてジュンサイ農家の嫌われものの一つになっています。

 

 農家ではジュンサイの摘み取り作業も8月中旬には終了し、下旬から9月上旬にかけて沼周辺の草刈
り作業とか沼の中に侵入したアギナシ、タヌキモ、ヒツジグサなどの抜き取り作業が始まります。
 こうした作業に取り掛かる前に、毎年沼の所有者の許可を得てこれらの植物を撮影をしたり採集さ
せてもらったりたりしていますから、除草作業に入る前に馴染みになった所有者が通知してくれます。
 

  今年は8月31日に除草作業をするとの連絡がありましたので、昼食後の休憩時間を利用して出かけ
てジュンサイ沼から抜き取られた雑草の中からアギナシだけを20株以上を選び出して持ち帰りました。
 なおこの折、この沼と村道を挟んだ水田の端に群生したオモダカも比較するために採集してきました。
 このように綺麗に刈り取られ、抜き取られてもオモダカ科の植物は生命力は強靭なため復活して翌年
夏にも同様の開花が見られるはずです。
 

  幸いにも、私の生活圏にはオモダカ科5種(オモダカ、アギナシ、ヘラオモダカ、サジオモダカ,マル
バオモダカ)の生息地がありますから、これら5種の形状、ことに花とを見るだけでほとんど間違いなく
見分けることが出来ます。
 通常、開花したオモダカ科に遭遇した場合、花冠サイズの大きい(4〜6mm)のオモダカ、アギナシと、
小さな(3〜4mm)のサジオモダカ、ヘラオモダカ、マルバオモダカとは見分けられ、さらに植物の全容
(ことに、葉の形)を観察することで区別することは容易です。
        オモダカ                  アギナシ
  

     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー       

        サジオモダカ               ヘラオモダカ
 

                   マルバオモダカ
            
 

 とりわけ、オモダカアギナとを区別するのが困難だったとした記載も間々見受けられますが、
以下の各点に留意すればそれほど難しくはないものと思います。
 

 ⓵ 輪生総状花序はアギナシでは高く花も離れて付くため葉の上に出るように見え、オモダカでは
低く花も蜜に付くため葉の中に隠れるように見えます。
       ジュンサイ沼の岸に生えたアギナシ

    
       別のジュンサイ沼に群生していたオモダカ
 
  

 ⓶ は矢じり形をしていますが、アギナシでは葉身の狭いものが多くオモダカでは広いものが多
いという違いがありますが、両種とも変異が多いため葉身の幅だけで区別することは困難です。
       アギナシの葉は多様ですが、概して葉身の細い線形のものが多い。
 
      オモダカの葉身は幅広のものが多い。 
 

 きわめて特徴的なのは、アギナシでは頂裂片が側裂片よりやや長いのに対してオモダカでは頂裂片
の方が短いことで、葉身の幅の広狭に関わらずこの関係は変わらないことです。 
 頂、側裂片の先端はアギナシではオモダカより鈍とされていますが、それほどの違いが無く両種を
区別の有力な根拠とはし難いと思われます。

 「顎なし」の名称の元となったアギナシのヘラ状の葉は殆ど1割程度にしか見られれませんから、
この有無だけで両種区別の根拠とはなし得ないと思います(オモダカにも稀に見られることがあります) 
     下の画像の様にヘラ状の葉を多数出している極めて稀な株もあります。
      ヘラ状の葉が成長につれて3裂した葉に変わるということはない。
 

 ⓷ 秋には葉柄の基部に多数のムカゴ(零余子)を付けるとされますが、奇妙なことに、今年8月31日
にジュンサイ沼から抜き取った約20株以上のいずれにもムカゴの痕跡すらも見ておりません。その理由と
して、まだムカゴ形成時期に達していなかったのか、または今年の異常な暑さによりムカゴ形成が遅れた
ためなのかなど種々考えられますが、想像の域を超えていません。
 刈り取りを免れたアギナシが沢山残されているのが分っていますから今月中旬以降にもう一度調べてみ
たいと考えております。(なお、ここに掲げたムカゴの画像は何れも9月中旬以降に撮影されたものです)
 
                         2012.9.14  撮影                      2015.10.1 撮影
 これまで、アギナシのどれほどの割合でムカゴを付けるのかという知見も持っていませんのでこれも併
せて調べておきたいと考えております。 

 

 

 


ノラニンジンの中央花(その2)

2018-08-08 20:26:31 | Weblog

 前の記事には「ノラニンジンの暗紫色の中央花は何の役割も持たない無駄花であろう」と
書きましたが、ここでは少なくとも繁殖には関与していないらしことを示す証拠を示します。 

 ノラニンジンは複散形花序を形成し、大花序は50〜60個の小花序からなり、小花序は約
40個の小花からなっています。 小花は5片の花弁、2本の花柱が立った花盤(溝あり)、5個
の雄しべ、その下に有毛の子房とからなっています。なお、大花序の樹枝状に分かれた総苞片
は9~13個、小花序の苞片は6~8個あります。
  
  

  白小花より雄しべをスライドグラスに取り、水滴を滴下してカバーグラスで覆い圧迫して検
鏡しますと葯より多数の俵型をした花粉粒が出てきました。


 

  中央花には通常1個の雄しべしかありませんが、取り出して集めた暗紫色の雄しべについて
も調べてみました。
  

 中央花の葯の内容物は全く無いか、又は少なく、内容物が有っても正常の花粉粒も少々混
じってるものの、変形して崩れたものが大部分でした。

 

  結果して鳥の巣状の塊となった果序の中心部から萎れた中央花を取り出して撮影したのが
下の画像ですが、暗紫色の花では殆どが結果することなく萎縮傾向を示しているのに、中央
の暗紫色と白色との複数の花を付けたものの中の白花だけが結果しています。
 

  以上の観察から暗紫色の中央花は繁殖には全く関わっていない花だと考えました。




ノラニンジンの中央花(その1)

2018-07-07 10:39:16 | Weblog

 野性種のノラニンジン(野良人参)から栽培種のニンジン(人参)が作られたとするものと、栽培種が逸出して野性化したのがノラニンジンだとする説とがありますが、それほど両者はよく似ていて区別することがなかなか難かしいからなのです。
 両者を区別する相違点は幾つかありますが、最も特徴的なのは、ノラニンジンの約半数近くで白い傘形の大花序(複散形花序)の中央部に花弁の色の異なった(多くは、暗紫色)花が見られることです。


 

 この花を花軸の元から切りとって実態顕微鏡下で花弁を切り離したのが下の画像出てす。
通常、暗紫色の花弁5個(稀に。6個)、花柱2本の出ている花盤(溝がある)、その下に淡緑色の有毛の子房、雄しべは1〜2本がが普通です(5本揃ったものも見られす)。

 

 上がノラニンジン中央花で最も多い形ですが、この花には多彩な形があることが分かります。
 取り出して横から撮影した画像を並べてみます。
   
   
     

 花弁を上から撮影したのが下の画像です。
   

 花軸が分岐して白、暗紫と取り混ぜた色の花を多数付けたものも少なからず見られます。
 
 
 
 

 この中央花のその後を追ってみると、全部の花が結果して鳥の巣状に固まった果実塊(左)となった底部の中心に萎縮して未熟のままの状態で残っているのが見られます(中)。 
  

 この中央花があることの役割についても種々挙げられてはいますが、どれも納得ゆく説明にはなっていないようです。花粉媒介者を誘引するマーカーとなるのではという考えも、この花のドーム花序の中に潜っているアカスジカメムシなどカメムシの仲間とか蟻以外には花の周りに飛来してくる昆虫はほとんど見たことが無いため信じられません。
 私はこの花は何の役割もない無駄な装飾花ではないかと考えております。 

 このノラニンジンを英語圏ではWild carrotまたはQueen Anne's lace(アン女王のレース)などとと呼ぶのは、この中央花を指を傷つけたアン女王の血痕に見立てたものからだそうです。




ヤマトキソウ

2018-07-02 10:20:34 | Weblog

 秋田県内の亜高山〜高山などではトキソウ(朱鷺草)には何度か遭遇していますが、これと近縁種のヤマトキソウ(山朱鷺草)には巡り会うことがありませんでした。
 7月1日山野草同好の友人に案内され男鹿半島に出かけ、それを初めて目にすることが出来て歓喜しました。 
 低い草地に紛れて生育している草丈10cm余のこのランは比較のために後に載せたトキソウに比べると色が淡く、満開でも花弁が開出しないため容易に見逃されてしまいそうな見栄えのしない花なのです。 
 







 比較の為にトキソウの画像を載せてみました(この画像は拡大して見て下さい)。
   

 トキソウ、ヤマトキソウとも秋田県では絶滅危惧 Ⅱ 類に分類される希少種に指定されていますが、『北東北維管束植物分布図 2017版』の分布区画数では、トキソウの94に対してヤマトキソウの40と半分以下にしか見られないとされています。
 


イボタノキ属の播種

2018-06-25 17:10:55 | Weblog

 2016−12−29『イボタノキ属の果実』ではイボタノキミヤマイボタの果実について記載しましたが、その後に採取したオオバイボタを加えた3種の実を播種して苗を育てる試みを行っております。
 

 採取した実は数日間放置して自然乾燥させ、その半分を鉢に播き軽く覆土して戸外に置きましたら、翌年春に殆どの実が発芽しました。今年、越冬した幼苗から発芽する前にやや大きめの鉢に植え替えたのが後列です。
 残った半分の実はナイロン袋に包んで冷蔵庫内に置き、今年の春に取り出して播いたのが前列の小鉢ですが、取り播きしたのに比べて発芽率はかなり劣っているようで(正確ではありませんが)疎らにしか生えてきませんでした。 
 

 花を付けるまでにはまだ数年を要すると思われますので、幼木の葉の形態の違いについて記載します。
 上の全景を見比べても明らかなように3種の葉の形態には顕著な違いが認められます。
 

  ここでは参考までに、幼木と成木の葉の違いを見るため2017−6−20『イボタノキ属の見分け方』で示した成木の葉の画像と比較表を再び出してみます。
 
オオバイボタ

イボタノキ

ミヤマイボタ
 

上の成木の葉と比較表を示します。

 

  追記;私の生活圏ではしばしば見かけるイボタノキ属には3種あることと知って丹 
    念に観察してblogに書いて参りましたが、今回の4回目の本blogをもって一
    応の決着としたいと思います。    

     2016−6−19   イボタノキ属の3種
     2016−12−29 イボタノキ属の果実
     2017−6−29  イボタノキ属の見分け方
     2018−6−25  イボタノキ属の播種

 

 


スプリング・エフェメラル(秋田)

2018-05-03 17:31:49 | Weblog

 残雪の消えた早春の山野にいち早く開花し夏が来るまでに地上の葉が消えて休眠する一連の野の花を総称して“春の儚いもの”を意味するSpring Ephemeralと呼んでいますが、我が国でも可憐さから‹春の妖精›などと呼んでいます。

 秋田で見られるスプリング・エフェメラル
  キンポウゲ科

    

  キクザキイチゲ      アズマイチゲ         ニリンソウ        フクジュソウ

   ケシ科

  
 

  エゾエンゴサク       ヤマエンゴサク     ミチノクエンゴサク      ムラサキケマン
 
    ユリ科

    

     カタクリ        キバナノアマナ       ホソバノアマナ       ヒメニラ   

    ナス科

      

      ハシリドコロ 

 この他に、ショウジョウバカマ、エンレイソウ、ミスミソウ、リュウキンカなどもこの仲間に加えた記載が見られますが、夏場に休眠することがないので適切ではないと考えられます。 

キクザキイチゲ                          藤里町藤琴 4月18日


アズマイチゲ                                 
 仁賀保町金浦 3月20日      
 

ニリンソウ                              
八郎潟町真坂 4月30日

 
フクジュソウ                    仁賀保町金浦 3月20日
 

エゾエンゴサク                             五城目町内川 4月20日


ヤマエンゴサク                              秋田市河辺 4月23日


ミチノクエンゴサク                      五城目町湯ノ又 4月29日


ムラサキケマン                   八郎潟町真坂 5月1日


カタクリ                      三種町森岳 4月9日


キバナノアマナ                       秋田市八橋 八幡神社境内 4月14日


ホソバノアマナ                       秋田市下浜 羽川舘跡 5月1日


ヒメニラ                          五城目町湯ノ又 4月27日


ハシリドコロ                 能代市二ツ井 七座山麓 4月27日





ギシギシ(早春)

2018-04-02 17:37:43 | Weblog

 タデ科の多年草ギシギシは雪の下でも宿根から幼弱な葉が生え、残雪が消えた3月中旬には写真の様な大きさにまで成長しています(3月15日撮影)。

 4月2日に撮影した写真を示しますと:叢生した根生葉はかなり成長し、種特有の葉の特徴がはっきりしてきます。


 


 ナガバギシギシの葉は幅が狭く波状にうねっています。


 アレチギシギシの葉は赤味を帯びています(ただし、ここだけかもしれません)


 葉の形だけからではギシギシとエゾギシギシと区別することは困難で、花の形でのみ区別出来ます。
   なお、ここで両者の区別が出来たのは、昨年開花時期に両者の生育場所を予めマークしておいたためです。
 ギシギシを除く3種が何れもが帰化植物とされますが、道端、荒地、湿地など何処にでも普通に見られるのはエゾノギシギシです。