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花好きじじい

花を求めて山野を歩き回っています。
花好きの皆さん花にまつわる話をお聞かせください。

ノミノフスマとノミノツヅリ

2019-05-17 13:47:55 | Weblog

 葉が小さいという特徴からノミノフスマ(蚤の衾)とノミノツヅリ(蚤の綴り)という紛らわし和名
の付けられたナデシコ科の植物、名称だけからはしばしば混同され易のですが、生育する場所も外観も
異なるため区別するのは容易です。その違いを書いてみます。

 ノミノフスマ 

通常、湿った水田とか畑、荒れ地などに見られます。 
茎はまばらに分枝する。 葉は対生、無柄、長楕円形で先端が尖る。まばらな集散花序を出し、白い
7〜9mmほどの小さな5弁花を開く。花弁は2深裂して10枚に見える。萼片は花弁よりやや短い。雄蕊
は5〜7本、花柱は短く、3裂。
 




 
 

 ノミノツヅリ

乾いた場所、ことに街中の歩道の縁などでも見られます。
茎は根元から分枝する。 葉は対生、無柄、広卵形〜狭卵形で先が尖らない。白い4〜6mmの小さな
 5弁花は裂けない。雄蕊10本。3本に分かれた長い花柱がある。萼片は花弁より長い。全体に短毛が密
生する(腺毛の生えたものをネバリノミノツヅリとされる)。 




 花、茎、葉、種を比較する画像

           (左:ノミノツヅリ 右:ノミノフスマ)




  


リュウキンカ、ミズバショウ、ミツガシワが咲いています

2019-05-05 18:47:41 | Weblog

 5月5日 こどもの日 秋田市は快晴です。
カメラを提げて秋田市郊外の自宅から5kmくらいしか離れていない丘陵地帯に山野草の撮影の撮影に出かけました。
毎年撮影していたザゼンソウの生育していた湿地は土地造成のため無残に埋めたてられいて消滅していましたが、リュウキンカ(おそらく、エゾノリュウキンカ)とミズバショウとはまだ残っていて、湿地と繋がっている荒れた水田には今年初めてミツガシワの群生も確認されました。
    

                     リュウキンカ 
    

             
                     ミズバショウ
    

                       ミツガシワ 
    
    
    


ムラサキ科共演

2019-05-02 18:02:56 | Weblog

 皇位継承日 晴天の5月1日 カメラを提げて秋田市郊外を散策していたら少し離れた路傍の土手が広い範囲にわたって暗紫色に色付いているのが遠目にもよく判り近づいてみました。

    

 ハマワスラグサの群生した中にノハラムラサキタネツケバナヒメオドリコソウスギナカラスノエンドウが混じっているのが見られました。
    
    

 なかんづく、近年各地で増殖が著しい帰化植物ハマワスレナグサ(左)とノハラムラサキ(右)の近縁2種の共演が面白いので拡大してみました。
   
   
    


タネツケバナ・オオバタネツケバナ

2019-04-21 15:39:01 | Weblog

 2019.4.17 のブログには道路を挟んだ耕作前の水田にはタネツケバナ、作付前の畑にはミチタネツケバナの群生が見られたと書きましたが、今回は農業用水路をは挟んだ湿地にオオバタネツケバナとタネツケバナとが向かい合うような形で見られたので供覧いたします。

 山際に通された幅30cm程の狭い水路で画像の上方は山側の湿地で下方は比較的乾燥した土手になっていますが、面白いことに、山側にはオオバタネツケバナ、そして、土手側にはタネツケバナが生育しております。
    

             オオバタネツケバナを拡大してみます
   
   

              タネツケバナを拡大します 
               

 少し離れた場所にはミチタネツケバナも多数見られましたが3種が同じ画面に収まる場所は見られませんでした。


タネツケバナ・ミチタネツケバナ

2019-04-17 14:10:20 | Weblog

  アブラナ科タネツケバナの名前は種籾を蒔く前に水に漬ける頃に咲く花というところから付けられたことが示すように今満開の時期をむかいておりますが、湿地を好んで生育する在来種のタネツケバナより繁殖力の旺盛なヨーロッパ原産のミチタネツケバナが近年(1970年代から)急速に広がって至る所で見られるようになってきています。

 私が通勤で通るコースから少し逸れた場所にある耕作前の水田にタネツケバナが、それと道一つ隔てた耕作前の畑にミチタネツケバナの群落とが見られましたのでその画像と、タネツケバナとミチタネツケバナの違いを示す画像とを供覧したいと思います。

     耕される前の水田で開花したタネツケバナの群落
 
 

        作付け前の畑で開花したミチタネツケバナの群落
 
 

       根元から20~30本に株分かれし、高さ15~25cmに延びる。
 

      ミチタネツケバナには根生葉が残っているが、タネツケバナには花期 には残っていない。   

    茎頂に総状花序、白色4弁花を付ける。円柱状の花柱、雄しべは ミチタネツケバナでは4~5個、
  タネツケバナでは5~6個、果実はミチタネツケバナでは上方に伸びるのに、タネツケバナでは 側方
  に伸びる。
 

     茎はミチタネツケバナでは滑らかだが、タネツケバナではざらつく。
 

    ミチタネツケバナの小葉は短楕円形で長楕円形のタネツケバナの小葉より小さい。
 

            タネツケバナとミチタネツケバナの違いを一括表示しますと
               

     蓋し、タネツケバナ属には変異種が多いため上の表に合致しないものも少なくない。

                        

 

       


キッコウハグマの花

2018-11-19 21:15:17 | Weblog

 私の生活圏にはキッコウハグマの生育する場所が何ヶ所かあることは知ってはいましたが、最近になって毎日通勤に通っている国道からあまり離れていない公園の散策路にも沢山生えることを山野草同好会の仲間から教えて戴いたので帰途に何度か立ち寄って観察しました。

 キッコウハグマはキク科モミジハグマ属の中でも最も小さく、草丈も10〜15cmしかなくて見栄えのしない上に、閉鎖花が多いので見過ごされ易い花なのです。

  

 頭花は総状に数〜10個つきますが、そのうち開花する解放花は1〜3個だけで、あとは開花しない閉鎖花のことが多いことが分かりました。
 
 根は細かく分かれ、かなり深く広がっています。
 

 葉は茎の下部に5〜10個輪生状につき、長い葉柄がある5角形で角には棘状の突起があります。葉表は緑色でやや光沢があり、葉裏は緑白色。両面に毛があります。


  頭花は3個(稀に4個)の小頭花の集合体で各5枚合計15枚(時に20枚)の白色で先端が巻いた花弁をつけます(下の画像は小頭花を切り分けたものです)。


 雌雄両性のこの花でははじめに3本(稀に4本)の雄蕊(葯筒)が表れ、その中から先端が二分した雌蕊(花柱)が突出してきて受粉するとされます。
 下の画像の前方には葯をつけた雄蕊筒をつけた花、後方に花柱の突出した花が見られます。 


 葯をつけた雄蕊筒
 

 雄蕊筒から花柱が突出した花
 

 花が咲いた後、痩果をつけますが、解放花と閉鎖花とでは大きく違います。
 花弁の萎んだ解放花では開花の終わりがよく分かりますが閉鎖花では開花が終了したのか蕾の状態のままなのか右の画像のように冠毛が表れてくるまで分かりません(右は全て閉鎖花)。
  
          開花が終わった閉鎖花と解放花
 
 
下の画像は花筒から覆瓦状の萼片(十数片)を取り除いたものです。
                解放花では 
 
 下の閉鎖花に比べて子房が極めて貧弱で成熟した種子となるとは思われません。

                閉鎖花では 
 
 閉鎖花には花弁の痕跡のようなものは全く見られず、中央に棍棒状に見えるものがありますが、
 これを取り出して袋状の幕を開いてみると褐色の先端が二分した花柱が出てきます。
 恐らく、この花柱嚢(仮称)の中で自家自粉が完了したものと思われます。


 熟すると萼片が脱落して羽状の冠毛をつけた風散布型の痩果が開いてきます。

  冠毛を除いた種子の拡大像
 

 種子を鉢に播き増殖を試みておりますので結果については後日書いてみます。

 

 


秋田で見るハグマの名のついた植物

2018-11-19 20:45:41 | Weblog

 『ハグマ』とはチベットなどに生息するヤクの白い尾の毛を武将の采配、僧侶の払子、旗や槍の装飾に使ったものの名称であるが、花の形がこの白毛の装飾に似るキク科モミジハグマ属の一群につけられている。
 この属の植物は日本から中国にかけて30種ほど知られているが、日本で○○ハグマの名のつけられたものが10種あり、秋田でもオクモミジㇵグマ、クルマバハグマ、キッコウハグマの3種が見られる。

オクモミジハグマ
 草丈:40~80cm 
 葉は4~7個、茎の中央部にやや輪生状につき、腎心形または円心形、掌状に浅裂  し縁には鋸歯がある。長い穂状花序に多数の頭花を横向きにつける。小花は3個、花冠は白色で5裂する。総苞は筒形の覆瓦状。

                     (9月22日岩谷山麓で撮影)

クルマバハグマ
 草丈:30~60cm
 葉は6~8個、茎の中部に車状につく。先が尖り、基部が楔形。茎頭の円錐花序にまばらに頭花をつける。小花は7~10個、花冠は白色で5裂。総苞は鱗状に並ぶ。

                     (9月22日岩谷山麓で撮影)

キッコウハグマ
 草丈:10~30cm
 葉は下部にやや輪生状に5〜11枚、腎形または卵形で5角形。頭状花序は総状または複総状に10個内外つくが解放花は1〜3個でほとんどが閉鎖花。小花は3個で花冠は白色で5裂。総苞は狭い筒形で覆瓦状に並ぶ。


                    (11月3日国花苑で撮影) 

 


アギナシの零余子(2)

2018-10-20 18:10:19 | Weblog

 2018-9-21「アギナシの零余子(1)」では零余子の成熟を待って採集したいと書き、その後も時々抜き取って調べていましたが、かなり成熟したと思われた10月19日に採集して半分はそのままプランターに植え、残り半分は軽く湿らせたマットを敷いた容器に並べて冷蔵庫中に来春まで保存して植えることにしました。
 9月21日の時点では零余子はまだかなり未熟でした

 10月19日には成熟して黒くなり、触れると種子のように簡単に細い柄から離れます


 大きさに違いがありますが大部分は長径3〜5mm先が尖った水滴形をしています

 

 その後の発芽や生育状況については後日書きたいと思います。


野生アズキを使ったお汁粉

2018-10-14 22:08:37 | Weblog

 2017-10-21ヤブツルアズキご飯』には近隣の大豆畑の厄介な雑草ヤブツルアズキから採取した豆を入れて炊いたご飯について書き、この文中で、来年にはこの豆を使ったお汁粉作りにも挑戦したみたいと書きましたが、今年も昨年と同じ大豆畑から相当量のヤブツルアズキが採取できたのと、この畑に隣接した別の大豆畑からはヤブツルアズキとは別種の野生アズキ属と見做されるものも(種名不明)採取できましたので、これらを使ってこし餡を作りお汁粉を作ってみました。
 なお、食感を比べるために市販のアズキでもお汁粉を作って食べてみました。

ヤブツルアズキ
     
    大豆に絡みつくように延びています                                
名称未定のアズキ属(?)の植物 
      
    大豆には絡みついてはいません
                                     (上の画像は拡大して見ることができます)
  
両種は3出複葉で、小葉は卵形または狭卵形、総状花序に黄色の蝶形花を付けるなどよく類似していますが、ヤブツルアズキの方が全体にやや小型で蔓状に延び周辺の植物などに絡みついています。
 豆果は線形で長さは4〜9cmですが、名称未定のアズキ属の方がやや大きく、熟すると両者とも莢が黒くなり、乾燥すると中にある6〜10個の卵形の種子が弾き出されてきます。 
 種子の色はヤブツルアズキ(中央)では薄黒い斑ら模様なのに対して、名称未定のアズキ属(右)は黄土色をしています。
 大きさの比較のために市販のアズキ(左)を並べました。


 畑の所有者の許可を得て、大豆畑の中からヤブツルアズキ(左)と名称未定のアズキ属(右)をかなり大量採取しましたのでぶし餡ではなくこし餡に挑戦することにしました。

 食感を比べるために市販のアズキ(左)でも作って試食しました。
       アズキ       ヤブツルアズキ     名称不明

 
 お汁粉にしてみると3者ともさほど違いがないというのが率直な感想で、強いて言うならヤブツルアズキでは粒子が粗く味覚がやや劣るかというところでした。

 ここで、名称未定のアズキ属としたのはヤブツルアズキに極めて近縁の植物らしのですが蔓性ではなく種子が黄土色なので別種なのです。インターネットで検索してもヒットしないため今のところ未定としておきます。何方かご存知の方がおられましたらお教えください。 

 追記:インターネットで検索したところヤブツルアズキは野生アズキ、別の名称不明とした植物は雑草アズキ(ノラアズキ)と呼ばれていることが分かりました。