8月20日、内戦が激化しているシリアのアレッポで、政府軍の民兵と見られる者に銃撃され死亡した、フリージャナリストの山本美香さん(45)の遺体が、親族や同僚に付き添われて、今日、無言の帰国をした。
彼女が死直前まで撮っていた生々しい映像がテレビに映し出され、危険地域にもかかわらず、逃げることもできない市民や、幼児を連れた父親などの姿が映っていた。これら市民はあたかも普通の日常生活を送っているようにも見え、若しかしたら、山本さんもそれほど身の危険が間地かに迫っているとは思わなかったかも知れない。
しかし、一方で新聞は、間違いなく日本人記者をターゲットにしたと思われる身振りをしている男の写真を掲載した。シリアの政府軍側は、市民殺戮の現状を世界に知られたくないためか、多くの外国人ジャーナリストを殺害しているとのことだ。不運にも山本さんもその1人になってしまった。本来、戦場のジャーナリストを意識的に殺害することは、国際条約上違法とのことだが、シリア政府はそんな決まりを守るだけの余裕はないようだ。
日本の警察も、山本さんを殺害した犯人を特定するために動いているようだが、シリアは、犯人捜査の国際条約に加盟していないことや、山本さんを狙撃したのが政府軍関係者と思われることもあり、実際には犯人探しは困難性があろう。
山本さんは、高い志をもって、今日まで数々のドキメンタリー映像をメディアに送って、その功績で表彰されたこともある優秀なジャーナリストだった。同じジャーナリスト出身の父親が、涙ながらに娘を誇りに思う旨語っていたが、本当に惜しい人を失った。心からご冥福を祈ります。(写真:成田空港に到着した山本美香さんの遺体が納められたひつぎに黙とうをささげる航空会社の関係者=毎日)「関連:8月22日」